暗黒神と神殿始末
あらすじ 神殿長と王室顧問はまとめて粛清。女性の年齢ネタをするなんてなんて恐ろしい事を・・・・・・・・・
その後の混乱振りが大変であった。
銀扇を振り回して肉塊を量産している王妃に止めることができない近衛隊、逃げ惑う神職共。
王妃の年齢自体は機密でもないけどそれを知って思った感想だけで粛清されるというのはどうかと思うのだが・・・・・・・
下手な言い訳をした私は吹き飛ばされ、壁のシミとなりながら思うのであった。
陛下と宰相がおっとり刀をぶら下げて駆けつけたときには嘗て荘厳な建築を誇っていた神殿が神職達の汚いシミでまだらになっていたのだった。
「王室顧問、お前もシミの一つなんだが。」
宰相閣下ごもっともです。
「王妃、少し落ち着け・・・・・・・・・・・誰も年のことなんて気にしていないか・・・・・・・・・げふっ!」
ごげしっ!
陛下も不用意に近づいて下手な発言するから・・・・・・・・・・
ああ、壁に人型の穴を・・・・・・・・・・これって、ある意味器用だよなぁ・・・・・王冠の形まで細かく作ってる。
今の状態で復活するのは簡単だが、また壁のシミにされるのは勘弁願いたいので暫く壁のシミに擬態しているとしよう。
一刻後、何とか落ち着いた王妃を連れて陛下と宰相は王城に帰る。
因みに、神職達は平均3回壁のシミになって、神殿長は4回、陛下は2回壁のシミとなっていた。
私は最初の一撃だけでやり過ごした。近衛隊は平均4回どつかれていた。
「王室顧問、何時まで壁のシミに擬態していれば良いのだ?」
「そろそろ良かろう。」
私は護衛官と二人王妃という名の暴虐の嵐が過ぎるのをやり過ごしたのだった。
我等二人が無事やり過ごせたのは日頃の行いがよかったからであろう。
護衛官は知らないが私に関しては絶対そうである。
「王室顧問、我輩だって善良な一貴族だぞ。少なくとも後ろ指刺されるようなことをした覚えはない。」
「はいはい、最近不敬罪で処刑していないからな。」
「そこか!」
「だって、市場で酔っ払いに絡まれた娘さんを助けようとして露店を一つ全壊させたとか、酔っ払いに対して鼻を潰したとか・・・・・・・・・・・向こうに非があるとは言え市民に対する事ではないだろう。」
「・・・・・・・・・・あの時は牢から出てつい開放感と鬱憤が・・・・・・・・・・」
「気持ちは判るが、程ほどにしておけよ。あの露店の親父が泣いていたぞ。」
「うむ・・・・・・・その後で勝気な餓鬼がいただろうお前の養い子の・・・・・・・あれの母親に怒られたよ。」
「ふむ、小売婦人も中々やるな、王妃付護衛官を叱り飛ばすとは・・・・・・・・・」
そんな馬鹿な話を二人でしていると・・・・・・・・
「我等神に仕えるものを何だと思っているのだ!」
「どうしてわれらまでとばっちりが来るのだ?悪いのは口と性格と根性が捻じ曲がった王室顧問ではないか!」
「この壁のシミをどう修繕すればよいのだ?」「って、いうか陛下の形をした壁の穴をふさぐのが先決だぞ!」
「飛ばされたやつらはまだ戻ってこないのか?」
「あの糞婆が!」
「若作りの分際で・・・・・・・・・・」「王家のものは神殿に対する礼儀を知らない!」
「歳位でがたがた言うな、だから言われるのだろうが(何者かの手により発言を消されました。)」
ああ、これはヤバイ。
「退却するぞ王室顧問。」
「それは同意だが、護衛官お前軍人だろ?退却とか良いのか?」
「ふむ、普通退却とかはまずいのだが生き残れる自信あるか?」
「ない。」
「それにこんなくだらないところで我輩も死にたくない。」
成程納得。あたりの空も黒いものが混じってきた。
って、いうか王妃の地獄耳といいこの気配といい人族なんだろうか?
下手な魔族・・・・・・・・・・・魔王だって纏ってなかったぞこの気配。
当代の魔王は魔力ではなくて行政能力を買われて王位についているからなぁ・・・・・・(by魔王領地方担当地方神)
「聞こえましたわよ。」
口々に文句を言っていた神職達の背後から銀扇を構えた王妃がどす黒い気配を背後から漂わせて存在していたのだった。
哀れ神職。そんな彼等に言葉を送ろう。
【口は災いの元】
「この様子を見ていたら、私から神職達を責めるのは哀れになってきた。私としては護符をこれ以上売られることが無ければよしとするか。名簿は欲しかったが・・・」
「そうだな、神職共は放置して久方ぶりに呑むか?」
「悪くないな。でも、今夜は乾杯はしないぞ。」
「当たり前だ!また牢屋に逆送だぞ。」
あはははははっ!
我等二人は町に消えて酒を求めるのだった・・・・・・・・・・・・
「何を其処で綺麗にまとめて逃げようとしているのかね?王室顧問。」
「いやぁ、私は神殿に苦情を申し立てに行っただけですよ。そしたら破門だの脅されて被害にあった身なんですけど・・・・・・・宰相閣下、重ねて言いますけど私は被害者ですよ。」
「その辺は理解するがどうして王妃様の年齢が出てくるのかね?」
「・・・・・・・・・・・・・・えっと、慣用表現で。」
「慣用表現で王妃の年齢ネタを出して脅すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
顎の真芯を捉えた宰相の拳は私の体を吹き飛ばすのであった。
ごげしっ!
「王室顧問は忙しそうだから、我輩は帰るとするか・・・・・・」
がしっ!
「職務放棄は許されぬぞ。護衛官。」
「近衛隊小隊長!」
「何、壁のシミに擬態してやり過ごしているのかね?我等が苦労して王妃様をなだめているときに・・・・・・・・・」
「あはははははっ!我輩が行ったら逆に逆上して大変だろうなと思いまして・・・・・・・・」
「そうか、そうか、話は後で詰め所でじっくりと聞こうではないか!飲み物代はお前もちでな!この護衛官を連行しろ!逃がすではないぞ!」
「了解いたしました!ほらっ!行くぞ、護衛官様仕事をサボるとは不届きな!」
「小隊長、一名を街に派遣して物資の調達に向かいたいと思います。」
「否!この護衛官を持っていって、市民達に無用の負担をかからないように物資の調達をするが良い!」
「はっ!小隊長のご配慮、感服いたしました。」
「では、私は一足先に王城に向かおう。君たちは調達に行くがよい・・・・・・・・・・・・・」
こうして関係者は皆捕まるのだった。
私は無実だ!
眠い