女傑寮母と貧乏孤児院
あらすじ、山ほどの菓子を見た。男衆は涙目。
そもそもあらすじは必要か??
菓子を孤児弟に持たせて孤児院に向かおうとしたら、持ちきれなくて仕方なく馬車を用意する。
なぜか寮母がついてくる・・・・・・・・・
「どうせ馬車に空きはあるだろう?あんただけだと孤児院の連中を泣かしかねないからね。」
人を何だと思っているのだろう?
「貴族も黙らす外道法務官、王家を敵に回しても変わらない暴露癖、決して宰相にしてはいけない官僚『貴族50人に聞きました』」
酷い評価だ、貴族50人ってなんだろう? アンケートに答えた貴族達にしっかりと聞くとしよう・・・・・・・
「旦那、おいら馬車なんて初めてだよ!!」
孤児弟ははしゃいでいるなぁ・・・・・・ さすが10にも満たない子供だ。
「おいら12歳だよ・・・・・・・」
「「えっ!!」」
私と寮母はそろって驚いていた・・・・・・・・・・
栄養状態が悪かったから成長できなかったんだなぁ・・・・・・だの、子供の年齢はわからんとか・・・・・・・だの好き勝手に言い合う。もしかして、孤児姉のほうはどうなんだろうか?
「私は14ですが・・・・・」
あぶねぇ・・・・・・ 手を出していたら王兄殿下一派の仲間入りだった・・・・・・・
「言っていた事は最低だが手を出さなかった事だけは評価するよ法務官。」
そりゃどうも・・・・・・・・・・ でも、この二人を王宮へあいさつ回りに連れて行こうかと思ったが危険だなぁ・・・・・・・
王兄王妹兄妹一派の変態どもから守りきれる自信がない・・・・・・・・・
「後で、性教育とか護身法とか教育してもらうのがいいかねぇ・・・・・・」
性愛神殿の青少年向け講座でも受けさせるかねぇ・・・・・・・ あそこはあそこで連れて行くのは危険だが・・・・・・・
「表門から行けばよいのでは。いつも裏門(娼館入り口)ばかり使っているから忘れているのではないかね?」
ごもっとも、表門も結構えげつないけど・・・・・・・・・
あの愛を語り合う人々(婉曲表現)が絡み合う無駄に芸術的な門構えなんかは子供に見せたくないんだが・・・・・・・・・・・
時間帯によっては猥歌が神にささげる供物だとばかりに歌われるし、説法なども・・・・・・聞かせられないなぁ・・・・・
世界中の娼婦や男娼、性的被害者や奴隷達の守り神なんだから合っているのかいないのか?
私も敬遠なる信徒として娼婦買いをして多額の支払いをしているのだが・・・・・・・・・
「それはあんたの趣味でしょう!!」
否定しません。
その話は後で考えるとして、孤児院に着いた・・・・・・・・・・
建物自体は堅牢で清掃は行き届いているが、どうも子供達は痩せこけて元気がないようだ。
先日の護衛官が渡した財布の中身があるから多少は食いつなげるはずだが・・・・・・・・・・
姉弟も古巣に戻るできた安心感からか弟妹達を捕まえたり抱きしめたりしている。
とりあえず馬鹿みたいに大量の菓子は寮母が子供達にばら撒いて餌付けをしている。私は院長に会うとしよう。
院長は元は恰幅が良かったのだろうが痩せて肌がたるんでいる。
我々の来訪と孤児姉弟の貴人聖域法適用に戦々恐々している。そりゃそうだろう、私のような貴族様が場末の孤児院に来ているのだ。しかも、粗相をして殺される寸前だったとなれば尚の事。憂さ晴らしに皆殺しにされても文句言える立場ではないのだから・・・・・・・・・・・・
取敢えず、建前として孤児院の衛生状態を査察しに来た旨と孤児姉弟の身柄については無事である事を伝え安心させておく。査察については清掃が行き届いているし孤児たちを定期的に風呂に入れろと命令する・・・・・・
風呂は公衆浴場を使わせてもらえとか提案すればとか解決策はこれで十分だろう・・・・・・・
でも、この経営状態の酷さはどうだろうか?
お世辞にも十分な食べ物を与えられていない、栄養失調からの疾病も見受けられる。
こんな状態を見たら孤児弟が護衛官の懐を狙うのも理解できる。
貧困は犯罪の温床である。それしか生きる道がなければ人はどこまでも落ちていくだろう・・・・・・・・・・・
遠く異国の荒野で盗賊を生業とする一族がこんな歌を歌っていたのを思い出す
殺せ奪えや 生きてくために
彼の血肉で 私は生きる
祈れ縋れや 来世のために
今も無力で 明日も無力・・・・・・
取敢えず、話を聞くことにする。
「あの寄付はありがとうございました。あれで付を支払えましたし子供達にも腹いっぱい食べさせる事ができました。」
「いえいえ、礼は王室護衛官に言ってください。彼にしてみれば不覚を取って我を忘れた事に対する口止め料なのでしょうが・・・・・・」
「それでも私どもが助かったのは事実です。」
「・・・・・・・・・・・・・・・しかし、この状態は酷いですねぇ・・・・・・一応王立なのでしょうが資金が足りなくなるような事がありましたか?」
「資金のほうはここ数ヶ月入ってきていませんし、王宮のほうに問い合わせても話がつながらない・・・・・・・・・・・・・」
「責任者は誰だかわかりますか?」
「南方河岸都市侯だったと記憶してますが・・・・・・・・・・」
やべぇ、数ヶ月前南方河岸都市侯護衛官の不敬発言即処刑にかこつけて色々黒い噂の裏づけをとって廃絶したけど仕事の引継ぎまで気が回らなかった・・・・・・・・・・・・跡を継いだのは居たはずだがこの仕事まで引き継いでいるとは思えない・・・・・・・・・・・
これは私の怠慢ではないが・・・・・・・・・・・・ 何とかしないと・・・・・・・
「判りました、私の方から話をつけておきましょう。今まで不自由をかけまして申し訳ございませんでした、王国に成り代わりまして私法務官が謝罪をいたします。今後不自由があれば私の名前を出していただければ微力ながらお手伝い致しますのでお声掛けください。」
「法務官様、そんな貴方様ともあろうお方が孤児などという取るに足らないもののために頭を下げていただくわけには」
「いえ、王国が理不尽を強いたのであれば繕うのが我ら臣下の役目!懐に入った窮鳥を無碍にするなぞ王族、貴族の嗜みにはありません、ましてや民草に対して無体を強いるのは頭を下げるだけで許されるとは思いません。せめてもの誠意を見せる機会を与えてください。」
「法務官様・・・・・・・・・・・・」
孤児院院長の涙なんて見るに値しない、ましてや勘違いで感動している涙なんて流させる価値もない。
「今日の所は少ないですがこれを運営の足しにしてください。」
銀貨を十数枚渡す、院長は驚いたように私を見て、
「こんな大金を私達のために・・・・・・・・・・・・」
「いえ、子供達に存分に食べさせてください・・・・・・・・・・・ これは私自身の偽善行為です。王国が私が不備あるばかりに子供達に不自由をかけたのですから・・・・・・・・・・・・・」
「法務官様・・・・・・・・・・・・・・・」
嗚呼、気分が悪い・・・・・・・・・・・・
私はもやもやした気分のまま孤児院を出るのであった。
どうしてシリアスになるのだろう?
酒が、酒が足りないんだ!!
そうだ酒を買いに行こう!!