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平穏無事と貴族子息

馬車はガタゴトと進んでいる・・・・・・・・・・

俺達は商会公の隊商に便乗して温泉町に進んでいる。


本当はかーちゃんも連れて行きたかったのだが

「二人の邪魔するなんて・・・・・・・・・野暮なことは言わないわ。でもね、判っているわよね。まだ、私がおばーちゃんと呼ばれるには早いんだから、そんな羽目になったらどうなるか・・・・・・・・・・」

俺達は子供なのに何を言っているのやら・・・・・・・・・・・・


「あたし、子供産めるよ・・・・・・・・・・・ そして生みたい・・・・・・・」


「ぶっ!」

「補佐見習君、汚い!唾を飛ばすな!」

「あっ!ごめんなさい。って、傷跡娘。いきなり何を言うんだ!」

「だって、王妃様が補佐見習みたいな子を繋ぎとめるには子供作るのが一番といっていたから・・・・・・・・・・」

「あの婆・・・・・・・(ぞくっ!」


なんだ?今悪寒がしたぞ。そう言えばあの腐れ賢者が忠告していたな。王妃の年齢ネタは命を縮めると・・・・・・・・・これがそうなのか・・・・・・おそろしや・・・・・って、傷跡娘。人前でろくでもない事言うな!


「いやぁ、こんな可愛い子に其処まで言わせるなんて隅に置けないねぇ・・・・・」

「会計女史、からかわないでくださいよ!こいつが俺のために視野を狭めるのが困るんだけど・・・・・・・・それに毎晩二人きりの部屋割りをするのは何の悪意なんですか!」

「善意の積りなんだけどねぇ・・・・それとも私と寝る?」

「・・・・・・・・・・・・・・むぅ」

「あらあら、取らないわよ。補佐見習は傷跡娘ちゃんのものだとここの女衆は認識しているから。」

「俺の意見は?」

「ない!そして、痴話喧嘩する暇があったら手を動かす!旅費をただにしているんだからそれくらい良いでしょう。」

「旅費出すといったんだけど・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・補佐見習、いいじゃない。旅費のほかにも小遣いももらえるから。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・小遣いって、銀貨30枚を普通小遣いといわない!」

「いやぁ、助かるわ。二人がいるだけで取引で把握できる品物が10倍に増えるから管理が楽できるわ。さすが王室顧問の秘蔵っ子、経理と法文の専門家。王室が領地と爵位で引き抜こうとしているのが判るわ。商会公様(おおだんなさま)も引き抜いたら金貨100枚の賞与を出すなんて太っ腹・・・・・・・・体型のことじゃないわよ・・・・・・・・・・な事を言う意味がわかるわ。本当うちに来る?傷跡娘ちゃんも大歓迎よ。夫婦で着たらもっと賞与来るかな?」

「話し聞けって、俺たちがいるだけでどれだけ利益が上がるか怖いから聞かないけど・・・・・・・・俺達休暇のつもりなんだが・・・・・・・・・・・」


がたごとがたごと・・・・・・・・・・


「・・・・・・・・・・・町ごとにお小遣い貰って、二人で出歩けるのが楽しいから休暇。」

「ほら、傷跡娘ちゃんもそう言っているし・・・・・・・・・悪い話ではないでしょう・・・・」

「って、各町の支店ごとの会計処理も行うのはどうかと思うが・・・・・・・・・お前等のところの見習を一度あの腐れ賢者の教育受けさせればよいじゃないか!」

「それがね・・・・・・・・・・・王室顧問様の教育を受けて無事なのは孤児院の子供達と補佐見習、君だけなのよ・・・・・・・・・・しかも、経理とか文官としての能力で言えば一番の出来らしいし・・・・・・・・・経験さえ積めば大国の財務卿(大臣クラス)とかこなせるし、今でも小さな国くらいなら普通にまわせる力があるといわれているのよ。そういうことで私の賞与のためにうちに着て!」


「来るかぁぁぁっぁぁぁぁ!!」


俺の叫びは隊商全体に響くのであった。


そういえば、腐れ賢者が紹介状を色々書いていたが中身確認したほうが良いだろうな。


隊商宛の紹介状でさえ是だから・・・・・・・・・・・行く先々で仕事させられる羽目になりそうだ・・・・・・・・


がたごとがたごと・・・・・・・・・


「平和ですねぇ・・・・・」

犬耳の御者は誰ともなしにつぶやいた。

なんか補佐見習の悲鳴が聞こえたような。

大方隊商で会計の仕事押し付けられているだけだろう。


「御主人様、そんな見てきたようなことを・・・・・・」

「孤児姉よ、補佐見習と傷跡娘のために隊商を用意してくれた商会公が只で物事を運ぶと思うか?」

「利益を上げようとしますよね。でも、彼等の働きだけで利益が・・・・・・・」

「それは大丈夫だ、経理のアラと無駄を見つければ金貨数百枚は軽く浮くからな。」

「王国の経理と同じくらいですけど商会公様の金銭の扱う量って・・・・・・・・・・」

「数十万から数百万枚程度と嘯いているが実際もっと多いだろうな・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」


金貨数百万単位って途方もない金額に孤児姉が驚いているのか呆れているのか?

この国だけじゃなくて世界を相手にしているからなあの御仁は・・・・・・・・


邪神文芸神を異世界に叩き送った後、ふと考えた。

あの忌々しき異世界人をこの神秘緋金属張扇(オリハリセン)で追放できないだろうか?




むりだね、君の突っ込み力が満ちない限り(by演芸神)




そのためにはあの忌々しき異世界人と四六始終いないといけない・・・・・・・・・・・

そんなことをしたら噂になってしまうじゃないか・・・・・・・・・

只でさえ、孤児姉と孤児娘達を囲っていると言われているのに・・・・・・・・・・

「囲われてマース☆」「甲斐性のある男の人って少ないから。」「もてない男の僻みね。」


孤児娘達容赦ないね・・・・・・・・・・

「私も誘われたときに御主人様に身も心も捧げておりますからといった覚えありますが・・・・・・・」

「うわぁ、孤児姉ちゃんおもたーい☆」「賢者様どうしてものにしないの?」「わたしたちもものにしてー・・・・・・・・いたっ!」


最後の発言は孤児姉に叩かれたらしい。


我等主従は今王宮内で暇を潰している。仕事もひと段落して後釜君達で賄える程度だし、久方ぶりに町に繰り出すか・・・・・・・・お前等も爵位を貰っているから正装の一つも用意せねばなるまい。

「ああ、それでしたら御主人様の母上様から・・・・・・・・・・・・10着ほど・・・・・・・」

「私達も貰ったねぇ・・・・・・」「女の子なんだから綺麗にしなさいと・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・・・・きるのが怖くなるくらいのが・・・・・・・・・・」

王妃からも色々貰っていたな・・・・・・・・・・・


この娘達は・・・・・・・・・・

「それに、息子の嫁に来ないかって宝石とか貰ったときあるけど流石に返したわ。」

「それはある。」「本人が領地経営を手伝って欲しいって金貨の詰まった袋押し付けられそうになったときあった。」


えっと、貴族共ドンだけ人手不足なんだい!

「御主人様、孤児院で育った経理能力を持った子供を紹介して欲しいと数家ほどから依頼がありましたが・・・・・」


ふむふむ、娘たちに粉かけるとは不埒な貴族共が・・・・・・・・・・・

経理の押し売りをしてやるか(邪笑



「娘達、貴族たちを虐めに行こうか!」

「賢者様ひどーい☆」「楽しそう!」「今日はどんなアラガ見られるかな?」

「御主人様、程ほどに・・・・・・・・」

「孤児姉、お前は残るか?」「いえ、ご一緒します。」


依頼された家は兎も角、息子の嫁とか言ってきたのは一度きっちり見定めないと・・・・・・・・・・




「どもー経理の押し売りに来ました!」

「うわぁ!王室顧問と孤児娘経理部隊だ!」「誰で呼び込んだのは!」

「誰だ、会計の鬼姫を呼びつけた馬鹿は!」「当主様らしいぞ!」

「何余計な事しやがるんだあの馬鹿貴族!」「お前首な。」

「うわぁ、当主様!うちにはかかあが二人と14を頭に12人の子供が・・・・・・・・・・」

「数合わないぞ」「そりゃ、かかあのほかにも女を3人ほどこさえてまして・・・・・・・」

「「自重しろ!」」「もげろ!」

「会計殿を落ち延びさせろ!」「当主様はどこに!」


えっと、その蜂の巣をつついた騒ぎは・・・・・・・・・・・

それよりも艶聞家の部下の話を聞いてみたい気がするが・・・・・・・・・・・・

「けんじゃさま、私達ってそんなに酷いの?」

この騒ぎで孤児娘達が落ち込んでしまったじゃないか・・・・・・・・・


その騒ぎに当主自ら現れる。

「いやぁ、当主殿。久方ぶりでありますな。私の娘を気に入ってくれてありがたい。一度、娘を託すに相応しいかどうか貴家を見定めたいと想いましてな・・・・・・・・・・・・・・」



「王室顧問卿、態々のご足労痛み入る。一度我が愚息と面通しして見ますかね?」

「それだけでは貴家にご迷惑でしょうから経理書類のお手伝いもいたそうかと・・・・・・・・・・」

「助かります。では、こちらに・・・・・・・・・・・・」


うわぁ、当主様自ら死亡旗をとか・・・・・・・・・次の雇い主探さないととか言う声が聞こえるが気にしない。

其処まで酷い事しない積もりだし・・・・・・・・・・・・・



であった子息殿は貴族らしいと言うか脳筋であった。

見た目は人並みだが性根は鷹揚で下の者には心配りをしようと不器用ながら行動できる好青年だ。

成程、しっかり者の嫁をつけてあげたいという気持ちはよくわかる。


「王室顧問卿、貴公の娘を我が家に迎え入れる事をお許しいただけますでしょうか?私のような粗忽者では家を傾かせて領民、家臣に難儀を強いる羽目になってしまうので・・・・・・・・・・」


子息は自分の弱みを補う者が欲しかったのだな。でも、孤児娘を部下としてではなくて妻として迎えるならば其れなりの誠意を見せてもらわねば・・・・・・・・・・


「勿論、孤児娘さんたちは皆魅力的ですよ。脳味噌に甘味料の詰まった令嬢達よりも楽しい会話が出来ますし・・・・・・・・・・・孤児だとか奴隷上がりなんて些細な事です。愛情というのは私にはまだ理解できませんが、妻にするならば貴女の様な者を求めたいですね。もし妻となることを拒んでも、領民達の為に領地を治めてもらえますか?力不足な私ですから部下になるのも厭いません。」

「えっと、このお人好しの馬鹿は・・・・・・・・・・・・・」

「馬鹿といって欲しくないのですが我が愚息です。なんか如何間違ったのか、自分に領地を治める器量がないから相応しい女性を妻にするか力量のある誰かに領地と爵位を譲って平民になりたいと・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、婚約とかは兎も角、領地経営を見てみますか・・・・・・・・・・・・子息殿一緒に来るかね?」

「はい!ご指導願います。」


確かに苦労するだろうな。当主殿は・・・・・・・・・・

どれどれ、経理状況を見てみますか・・・・・・・・・・・・・


ふむふむ

「普通ね。」「ちゃんと領民を慈しんでいるのが判りますわ。」「これが実際に支払われていれば領民が飢えずにいますし」

「もう少し、整備費に回したいですわね。」「ああ、この橋の修繕に対する嘆願書ね。」「こっちの小作たちに対する地料の額を何とかしたいかな・・・・・・・・・・」

「ところで、この部分・・・・・・・・・」「微妙ですけど計算違いありますわね。」「会計さんは?」



会計が蒼い顔している。

問い詰めると浮気相手に貢ぐために・・・・・・・・・・・・・・


小額だったので、弁済と奥さんに報告だけで済ませるが・・・・・・・・


「うわぁ。会計殿・・・・・・・・・・・」「恐妻家だったからなぁ。」「入り婿だっけ?」

「明日からここに来れるかなぁ・・・・・」「医師の手配を頼む。」「「「当主様!」」」

「葬儀屋のほうか?」「待ってください当主様、普通は止めるほうでしょう!」「むりだ!」


えっと、会計殿の細君は・・・・・・・・・・・・

「昔、王家の護衛を受け持った女性騎士らしくってな・・・・・・・・・・・・・・・戦闘能力が・・・・素手で熊を・・・・・・・・・・・」


ご愁傷様です。

って、素手で熊をしとめるのが女性のたしなみなのか?

なんか周りに熊殺しが多いぞ!



そして会計監査は終わった。会計殿とかその他数名の家庭生活に対する多大な打撃を残して健全だった。

当主殿も浮気ではないが奥方にばれたら怒られる趣味の世界への無駄遣いが・・・・・・・・・・・・


「ううっ、見逃してくれても良かったのに・・・・・・・・・・・」

「私自身は見逃しても良かったのですが、娘達はその辺潔癖ですのでねぇ・・・・・」

「たかだか、好みの花を買うだけのことに・・・・・・・・・・・・・」

当主殿は園芸趣味があっただけなんだが・・・・・・・・・・・・・むごい・・・・・・・・・・


孤児娘達手加減しなさい。

「いえ、賢者様。花を買うならば奥様に送りなさいといいたいですわ!」「奥様の好みに合わせて花を用意するならば兎も角・・・・・・・・・」


後にここの奥方に気に入られて、息子の嫁にという活動が活発になるのだがそれは別の話。


「領地のものに気にかけるのは良いけど、そのために娶るというのは気に食わないわね。」「引抜ならばまだ判るけど、妻にしてなんて私を見てないから気に食わない。」「賢者様が最低ライン。」


娘たちにぼろくそに盛大に振られた子息殿は奥方に更に怒られてしまうのは笑い話。


子息殿自体は敬意に値するものなんだけどねぇ・・・・・・人としては・・・・・・・・・・・・

貴族としてならばダメダメだけど・・・・・・・・


「王室顧問、私を弟子に・・・・・・・・・・・・・・・孤児娘殿たちに失礼を働いたのは重々理解しました。ならば、自身で領民達に誇れるような領主となるべく修行したいと思います。どうかどうか・・・・・・・・・・・」


うわぁ、馬鹿がここにいるよ。

「御主人様、民のためにあろうとする貴族の子息ならば教え込むのも悪くないのでは?」


なんか面倒ごとを背負い込みそうだが・・・・・・・・・・・・

「王室顧問卿、私からも伏してお願い申し上げます。愚息の教育を・・・・・・・・・・・・」


仕方ない雰囲気が・・・・・・・・・・・・・・

「暫く私が引き回すけど文句を言うなよ!」

「はい!師よ。」


子息は弟子になった・・・・・・・・・・・・・


あれ?


「姉弟子様方、如何か良しなに願います。」

「えっと、よろしく・・・・・・・・・・」「うん。」「・・・・・・・・・・・・・」

孤児娘達が押されている。って、いうか平民と言うか孤児と言うか奴隷崩れに頭普通に下げられるの?

「勿論です。平民だろうと奴隷だろうと下げるべき器量がある方に頭を下げる事を厭うのは馬鹿ですから、それに名もなき民の苦難のために幼い身で戦場に立つ気概。十分、敬うに相応しい方々であります。自ら前線に立ち、進もうとするなんて伝説の戦乙女もかくやの活躍と聞いております。そのような女性を姉弟子として出来るならば年の差とか身分の差なんて・・・・・・・・・・・・・・・弟弟子として誇りに思います!」


馬鹿がいた・・・・・・・・・・・


「では、王都にいる奴隷商人を捕まえて、王室顧問様の弟子として認められるよう行動いたしましょう。」



子息は私兵を率いて王都を駆け回る。家毎の力関係とか関係無しに奴隷商人とか麻薬の売人を捕まえまくる。


えっと、是の後始末私が背負うの?


「師よ、貴方の御伽噺を無碍にする無粋な輩を捕まえておきました。何で幸いをかなえようとする民を食い物にする馬鹿が多いのでしょうか?」


滂沱の涙を流しながら、国内外の貴族王族を捕らえて貴族子息は叫びを挙げる!


貴人保護法(アジール) 人が人を所有する。その理不尽を・・・・・・・・・・・・・・・・私は許せない! 我が剣の届く範囲は我が聖域(アジール)!許されよ、隷属の身分に落とされし方々よ・・・・・・・・・我が力のなさを・・・・・・・・・・・・」



うおおおおおおおおおおおおおお!


と王都中に響く涙と叫びを挙げながら、貴族子息は剣を掲げる。


奴隷達をみて、本気で悔恨の涙を流す貴族子息を見て誰かこいつにつける薬と願うのだが




びゅん(匙を投げる音)

医療神様速すぎます。


むりだ(医療神。)

あれ、どうしてこうなった?

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