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強力兄弟と行き倒れ

あらすじ 王室顧問一行は温泉めぐり。 入浴シーンはありません。あしからず。

温泉宿についてゆるりとする一行。馬車は町が経営する共用馬車管理場にあずける。

そこで荷台から子爵様が転がり落ちたのは笑い話である。ついでに衛士が呼ばれたりしたのも仕方がないことだ。

まぁ、私は貴族、地位を盾にごり押ししたけどね。


「だんな、さすがに簀巻きにされたものを見たら怪しみますって。」

「気をつけよう。」


「本来ならばつかまると思うのですが」

「そこは賢者様の権力というか貴族社会を生き抜いてきた人脈というか・・・・・・・」

「まっとうな手段じゃないと・・・・・・・・・・」


人聞き悪いな、ネタをばらせば子爵様が犯罪者であることを示して護送中といっただけなんだが・・・・・・・・・・

ただ、壊れているしな。医療神殿には送り付けないと・・・・・・・・・・・・


そして我等も医療神殿に向かうとしよう。






温泉町の風情も何とやら、怪我人ともども医療神殿に向かうのである。

向かったのは私と孤児姉弟、極北戦士と強力兄弟である。

まぁ、極北戦士を運ぶ人手として強力兄弟を呼んだのだが、温泉町をきょろきょろとおのぼりさん状態となっている。

気持ちはわかるけどな。


一息ついたら町を巡ればよいさ、暫くはいるから。

王都への報告? 仕事?


王弟殿下がいるからそれに任せればよろしかろう。

結局仕事してないし、全てこっちでこなしたんだからそれくらいしやがれ!

はげが!


おっと、すさんでしまったな。


医療神殿は町のはずれにあるから少々移動に手間取ったが、何とかつく。

これならば馬車で移動すればよかったかな?


診断してもらう。

私は貴族様だ!貧民どもを押しのけて真っ先に診てもらおう・・・・・・・

「王室顧問の旦那、さすがにそれは・・・・・・・・」

「順番をとはいわねぇがくたばりかけているのがいるからそっち優先しねぇと・・・・・」


見かけによらぬ良識派どもめ!

まぁ、無体をするつもりはないが・・・・・


待つこと暫し、むしろ神殿側が私を待たせる重圧に耐え切れなかったようだ。

軟弱物め!


私の矢傷は傷口がふさがっていて、多少筋肉がこわばっているけど時間が解決するものだと診断された。

剣を持つには苦労するけど日常には支障がないと・・・・・・・・・・・・

剣がもてなければ引退だなと言うと

それならば引退なさればよろしいでしょうと答えてくれる。


後はこの診断を書面にしたためてもらって・・・・・・・・・・・・


神殿の医療従事者君、いい仕事しているね。

思わず、治療費のほかに金貨を渡してしまったよ。

これは賄賂じゃないよ。純粋に貧しいものたちにも治療をしてくれる神殿の皆様へカンパをしているだけだからね。

「ご主人様、無駄遣いは・・・・・・」

「だんな、まるっきり賄賂だって。」


「子供の前で恥ずかしくないんですかねぇ・・・・・」

強力兄弟まで・・・・・・


まぁ、問題は極北戦士。

股間を完全に潰されているものだから完全再生までに時間がかかると・・・・・

そもそも再生できるだけでもすごい・・・・・・・


「よっしゃ!俺様の世界樹が!!」

世界樹だったんかい!

「ご主人様、言うだけは自由ですので・・・・・・・・」

「そうだな、夢くらい語らせてやろうか・・・・・・」


「酷い・・・・・・・・・・・・」


再生するまで一月くらい・・・・・・・・・・・ここで治療しないとだめらしい。

でもすごい!完全に潰された(ぴーぴーずきゅーん)が復活できるなんて。

もしかして傷跡なんかも治療できるのか?

「勿論、半月ほどかかりますが・・・・・・・・・・・」

「傷跡娘に受けさせたいな。」

「ですね、時間を作って傷跡娘を連れてきましょう。」

「そうだな、後で傷跡の治療にかかる金子の見積もりだしてもらえるか?」

「その分の金銭、補佐見習いが稼ぐと意気込みそうだね。」

「それも奴の器量というものだろう。意地っ張りだから・・・・」




子爵様はというと・・・・・・・・・・・

「どうすればここまで心を壊すことが・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・生きる屍だな。」

「えっと・・・・・・・・・・・赫々云々で・・・・・・・・」

「直せますかね?」「無理でしょう・・・・・・・・・・」

「神術で無理やり正気づかせて更に追い込むなんて・・・・・・・・・・・・人ですか!」

「ご主人様尻尾が・・・・・・・・・・」

「やっぱ人の皮をかぶった悪魔か・・・・・・・」

「失礼だな、私はれっきとした人だよ。君たちの目が・・・・・・・・(以下略」

「だんな、神殿でその手の冗談はまずいって・・・・・・・・・・」

「えっ!人だったのか?」



・・・・・・・・・・・私凹んでいいですか?

「ご主人様は私たちにとって神に等しい存在です。いまさら悪魔だろうと椎の実だろうと・・・・・・」

孤児姉、それは私にとどめさしているから・・・・



私たちは医療神殿を後にするのである。

うむ、ここが世界最高峰であるというのは本当だったんだな。王都の者よりも治療できるのが多くて素晴らしい。

後は騎馬戦士(モヒカン)とか公爵令嬢(BL好き)の治療ができないかなと・・・・・・・・・・・




びゅん(匙を投げる音)


どこかで救われない命があったんだな・・・・かわいそうに・・・・・・・・


びゅん、びゅん(匙を投げ続ける音)


世界とは無情だな・・・・・・・ 零れ落ちる砂のようだ・・・・・




匙投げる音で察しろ!お前らんとこの馬鹿につける薬がないんだ!!(BY療養神)


びゅんびゅんびゅんびゅん(匙を投げ続ける音)



ああ、神よ・・・・・・・・・彼らをお救いください。



無理だ! できない・・・・・・・・・(BY神の一柱)

我らとて出来ないことはある・・・・・・・・(BY通りすがりの神々)



さて、神殿を出たが私はぶらつくけど君達はどうするかね?

「私はご主人様とご一緒いたします。」

「一度宿に戻って、皆にそれを伝えてくる。だんな、夕餉はどうするんだい?」

「ふむ、夕餉までには戻るつもりだが。」

「わかった。」


「で、強力兄弟は?」

「俺は少し散策してくる。護衛はいらないのか?」

「治安もよさそうだし問題なかろう。」

「ならば俺も兄貴とぶらついてくる。旨そうな匂いがして堪らん。」


夕餉までには戻ってくるんだぞ!

兄弟には幾つか足りないものの買い物を頼んで別れる事にする。


温泉町は療養者向けの生活用品とか土産となりそうな物とか色々あるなぁ・・・・・

ここを切り開いた異世界人は故郷を模しているといっていたが、妙なものが色々ある。

何で三角の旗とか妙な文字の書かれた上っ張りとかがあるのだろう?

食べ物なんかも豆のフィリングが入った蒸し饅頭とか不思議なものばかりだ・・・・・・

どちらかといえば極東に近いというけどそれとはまた別な雰囲気が・・・・・・・


ぶらつきながら宿へと散策する・・・・・・・・

道なども馬車用の道と歩行者用の道を分けていたり、歩行者用の道には花が植えられていたり・・・・・・

面白いつくりをしている。王都でこれをしたらどれだけ金がかかるか・・・・・・・・・・・

一から作り上げている小さな温泉町だから出来たのかもしれない・・・・・・・・・


途中で茶を喫しながら、水路に浮かぶ花びらを眺めたり、他愛のない話をしたりする。

孤児姉も満足そうである。


しかし酒の類がないなぁ・・・・・

「当たり前でしょうに貴族の旦那。酒は宿でゆっくりと飲んでおくれ。ここは療養者のための町なんだから・・・・・・」

茶店の給仕に叱られた。


そして表通りを一歩外れて裏通り、ここも綺麗に清掃されている。

裏店を見てみると市民生活に必要な食品とか雑貨品がおいてある。

療養者も自炊のために買い物しているらしく、軽装の女性が食べ物とかを買っているのが見える。

そういえば私たちが宿泊する宿も自炊用の竈があったな。


「後で何か作って見ますね・・・・・・・」

「楽しみにしているよ。」



そして、広場があって何日か置きに市場が出るのだそうだ・・・・・・・・

生鮮品とかはその日に買い込むものが多いという話を聞いたりする。


衛士も小奇麗に整えられており、旅行者たちの道案内や宿の紹介などをしている。

なんか治安維持というよりも旅行者への案内が主立っているような・・・・・・

「貴族様、そりゃ我が町は治安がいいですし盗賊は定期的に駆除してますから・・・・・・・・・それに治安のよさが更に客を呼びますからねぇ・・・・・」

「孤児や行き倒れなんかもほとんどないんだろう。」

「月に数件程度でしょうか、それなんかも見立たぬように保護するのが町の美観を保つコツというか・・・・・・・・・おっと、内緒にしてくださいよ。ばらしたとあっちゃこっちが叱られる。」


面白い衛士もいたものだ。



性愛神殿の皆にも小遣いを渡して、羽を伸ばしてもらうか・・・・・・・・・

世話になったしな・・・・・・・・


衛士に両替商の場所を聞くと私は孤児姉をつれて向かうのであった。




なんだかんだで宿に着く、女衆は婆様の下で夕餉の準備に取り掛かっている。

宿に食事を頼めばよいのに・・・・・・・・・

「だらけることになれちゃ駄目でしょうに。ただでさえ、食費に諸々出してもらっているんだから締めるところは締めないと・・・・・・・」

「別にかまわないよ、十分力になってもらっているのだから。」

「女衆は好きでやっているんだ、やらせておあげ・・・・・・・・・」


婆様にはかなわんな。


孤児姉も一緒になって夕餉の支度を整える。

って、言うか働いていないの私だけ?

まぁ、いいか。私貴族だし・・・・・・・・


夕餉の支度が整って、席に着く。

宿は自炊も出来るし、仕出しの料理も出来るのだが自炊が大半だ・・・・・・・・・・・


おかげで清掃と洗濯くらいで雇い人も多くない。

宿の主人が私が貴族であるから態々挨拶してくれる。

酒の用意をお願いできるかな?


「ご主人様傷に触りますよ。」

「そこの娘の言う通りだね!」


くぅ!飲みたかったのに・・・・・・・ 後で隠れてのみに行こう。

酒場の一軒くらいあるだろう・・・・・・・


そんな私の些細な野望を隠して、食事が始まる。


旅の空で携帯食とか簡単な料理ばかりだったから、出来立てで手の込んだものは旨いな。

宿の食事も単調だったし・・・・・・・・




後は風呂でも入って・・・・・・・・・・見るかね。

外風呂と内風呂があるというけど、外に風呂を作るなんて異世界人は不思議な文化を持っているものだ・・・・・・・・


湯に浸かりながら酒というのは宜しいらしいが、試してみるか。

「孤児弟後で酒を買って来い。」

「だんな、婆様に叱られますよ。」

「大丈夫ばれなければ問題ない!」


ここにも婆様に勝てないものが・・・・・・・・・・・・



ゆるりと夕餉が終わるころ。強力兄弟が戻ってきた。

「王室顧問の旦那!報酬の前借できないですかい?」

「おまえらは!戻ってきていきなり何を言うんだい!」

不躾な強力兄弟を叱る婆様。



兄弟の両手には頼まれた荷物がありその肩には小汚い餓鬼が・・・・・・・・・・・・

「まぁ、婆様。強力兄弟の話を聞いてみようではないか。」


行き倒れって珍しいものじゃなかったんかねぇ?

温泉に来て入浴シーンを描かないとは作者は不能なのか?

それとも文才がないのか?


そこまで言われたら書くとするか入浴シーン。


湯煙立ち込める大浴場、白濁した湯に浸かる人影が見える。

人影は立ち上がると湯は肌を滑るように流れ落ち、引き締まった体を顕にする。


「ふぃー」


緊張感のかけらもない声が上がると体をほぐすかのように大きく伸びをすると大またで歩き出す・・・・・・・・・・


「温泉というものはいいものだ!王室顧問の旦那に連れてきて貰った甲斐はあるもんだ。」

そう鍛え抜かれた身体の強力兄は傍らに合った水桶から水を飲むのである。





だから!男の裸なんか描写してどうする!


で、王室顧問お前は孤児姉とか孤児娘たちの裸が描写されてどこの誰とも知れない読者の目に移されるのは許せるか?


否、それは許せないな。


わかったろう、作者である我輩が入浴シーンを描かぬわけを。



よくわかった。

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