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戦始末と貴族共

賢者様は私達を民を守る盾になれと戦場から送り出してくれた。

のろのろと進む馬車の群れ、痩せこけた人達が放心したように荷物になっている。


不作で領地全体がボロボロ、親しい人が死んでも何も出来ない状況で戦が始まるでしょう・・・・・・・・・そして故郷を捨てざるを得ない状況なんて・・・・・・・・・・

壊れてしまうのは十分分かる。


これはいつかの私達だ・・・・・・・・・・・


そんな中で孤児弟が保護した幼女の同郷がいる馬車にむかった。


綺麗な服を着たお嬢様達が着て下さってどうしたと怯えているけど、怯えられるような事した覚えないんだよねぇ・・・・・

それでも一言二言話していると幼女や子供達が今どうしているかとか誰が生きて誰が死んだとか・・・・・・・・・・・・

皆話に食いついてくる、死んだ子の親は泣きながらも亡骸を弔ってくれてありがとう御座いますとお礼を言ってくれている。

生きている子供達の親兄弟親類たちは王都で何不自由なく保護されて言う事を聞いて嬉し涙を遠慮がちに流している。死んだ子に遠慮しているのかもしれない。村全部が親戚みたいだと言っていたし・・・・・・・・・・


もし、許されるならば生活が再建したら迎えにいきたいと・・・・・・・・

本気でお願いされてしまった。


でも賢者様が言っていたなぁ・・・・

如何して子供達だけで旅立たせたのかと!


これは子供を捨てる事じゃないのか?

大人がついていけば旅路も楽に進めただろうに・・・・・・・・・・


ここで反省して親子ともども幸せに暮らしましたとなればよく出来た御伽噺だけどどうしたらいいのかなぁ・・・・・・


如何して捨てたのか憤りを感じているのだが、それをしたらこの人たちをぼろくそに詰ってしまいそうになる。


子供のわたしに上手に伝える術がない、言葉ってもどかしい。



そうして進んでいるうちに皮服の荒野の民、腰巻をつけた奴隷戦士、様々な種族で構成された人外兵団・・・・・・・・・そして、煌く白銀の軽鎧に古の言葉で【叫び上げたる幼子の言葉を聞いてその身は何をする?】と縫い付けられた戦外套(サーコート)を纏った聖域守護辺境伯私兵団の姿が・・・・・・・・・・・


私達の姿を認めるなり、3公爵と辺境伯様が私達の元に来て痩せこけた人達の群れを見る。



その惨状に怒りを隠さない様子。


研ぎ澄まされた刃のような皮鎧の男にに巌のような古強者、一目でどこの種族とも取れない得体の知れない人外戦士・・・・・・・・

その中で白銀の鎧に憂いをたたえた瞳、闇の色を切り取ったかのような戦外套(サーコート)には【我が懐は絶対不変の聖域也】と刺繍されている。


如何して公爵より位が低いはずなのに王者の風格が出ているのかなぁ?


そんな関係ないことを考えていると、公爵達はみすぼらしい人達を見て高らかに叫びを挙げる!


「そは嘗ての我等が姿!」

「幸いにも剣の名誉を得た今でもいつかはなるかもしれない姿」

「嘆きの詩で世界を包み、涙の海で世界を潤すなどと」

「人の子の正義が許すなら」

「諸々の民が許すなら」

「神々が祈りに応じないならば」

「「「我等、虐げられし命!古の誓いにより」」」

「否!我が内より沸き起こる義憤により」

「否!幸いを願い狼煙を上げた家族の叫びに応じて!」

「否!我等が苦難を誰かに味あわせないために!」

「「「今我等個人の想いから世界に対して叫びを挙げよう!」」」


「この苦難に愛し人々の群れを幸いに導くために」

「苦難与えし誰かに報い与えるために」

「世界に馬鹿がいることを示すために!」

「「「高らかに叫ぼう貴人聖域保護法(アジール)と!」」」


そこかしこから叫びが上がる アジール! アジール! アジール!


爵位持ちの者達からは

「我等も古の誓いから新たなる災いを振り払う剣とならん!」

だの

「我が剣、幸いならざる誰かのために!」

だの

「我等一群、幸いを求める者の力となる種火とならん!」



更には私達に近づいてきて、飢えた人達のために食べろと滋養に富んだ携帯食料を押し付けたり、傷ついた者為に【生命力附与】で命を削って癒し与える馬鹿・・・・・・・・


そして、賢者様の兄君で在られる聖域守護辺境伯様は

「我が懐は聖域也!ここを我が懐として古の六剣が内三剣の(すえ)の叫びに応じて・・・・・・・・・・否!我が弟の激に・・・・・・・・・・・ 否、否!名も知れぬ黒髪孤児の叫びに心揺り動かされたが故、世界を覆う理不尽を覆さんと抗わず盾とならぬ愚か者に報い与えるために! 否、世界に対して疑問を投げかける大馬鹿者を見守るために!否!我等が祖が王家に与えた結果、不幸の連鎖を巻き起こしたなぞ美しくない!否!我は見てみたい!幸いを誰かに分け与えて、皆が誰かの幸いを気にかける愚か者の楽園を!否!我が内より沸き起こる幸いを願う声に形をつけるために!」





そこで三公爵と辺境伯様に光が差す・・・・・・・・・・


そこで辺境伯様が血を吐くかのような叫びを挙げる!

「世界の理不尽に泣く者よ!我が懐に至れ!我は絶対不変の聖域也!正しきと思うならば我は不破の剣となり、不壊の盾となろう!」


「さぁ、高らかに叫ぼう!我は貴人聖域法(アジール)の粗なり!古の誓いにより!否! 我が世界よ幸いなれという欲望により!ここで貴人聖域法(アジール)を発動させる。付き従う者達よ!汝等の主達は我侭により汝等を死地に追いやるかも知れぬ。汝等の家族や子孫達に不名誉を負わせるかも知れぬ!それでもついてきてくれるか?」


辺境伯様の叫びに、兵達は

アジール!アジール!アジール!

と叫び続け!

皆地の果てまでも突っ込みそうな勢いだ!



彼等に避難民の皆さんを任せて私は賢者様の元へ・・・・・・・・・・・・

逸る心を察してくれたのか、公爵様たちや御頭首様(あにぎみさま)は私達に足の速い配下をつけてくれました。


私達は竜の背に乗って・・・・・・・・・・其々に逸る心を抑えて来た道を戻る。

護衛として出された面々も速度重視の人達だ。


早馬で知られた荒野の民の中で更に足の速い名馬を操る歴戦の勇士達や

【身体強化】を命の危機レベルで自らにかけてついていく奴隷戦士

契約した様々な魔獣に騎乗した人外戦士・・・・・・・

それに便乗する聖域守護辺境伯私兵団魔術兵団・・・・・・・・・


どう考えても過剰兵力なのですが・・・・・・・・・・


「はははっ!可愛い姪っ子のためにはこのくらい薄いくらいだな。」

「孤児弟は我が家族だ!あれだけの大馬鹿物失わせるには惜しい。」

「古の誓いによりというか・・・・・・・・娘が孤児弟を気に入っているからな。」

「孤児姉弟は物怖じせずに我に向き合ってくれた。異形の身としてはそれだけでも嬉しく思うのだよ。孤児弟に会ったら伝えておくれ。また酒でも飲もうと・・・・・・・・」



私達は皆の好意を受けて進むのである。



愛しき賢者様、私達から逃げ出せないことを思い知るのです。

地の果てから起こる轟音と土煙。


ごごごごごごごごごごごごっ!


其処に見えるのは異形の軍団。


親馬鹿な公爵が兵を率いてきたのだな・・・・・・・・・・・・・


先駆けには竜に乗った孤児娘達!

孤児娘達は私の姿を認めるなり、竜から飛び降りて私の元に飛び込む!

大分高度があったはずだが、【飛行】の腕輪の効果で怪我一つなく私の胸に飛び込むのである。


いたたたたたたっ!


【鎮痛】の祝福がかかっているのだが矢傷には響く。

私に抱きとめられた孤児娘達は私を守るように杖を構えて戦術級の術を解き放とうとするのだが、敵がいないことに気がついて私に抱きつき泣きじゃくる・・・・・・・・・・・・・


そういえばスカート姿で空から飛び降りて・・・・・・・・・・・


それは我が与えた加護により大丈夫だ!スカートの中身を覗こうとする不埒者は目を潰しておいた。(by風の神)


そういう問題じゃなくて、まぁいいか。




左肩は痛いが娘達の手前、見栄を張るか・・・・・・・・・・・・


「孤児娘達、御主人様の左肩は傷ついていますので抱きつくのは程々に・・・・・・・・・」

「孤児姉ちゃんそれ本当?」

「誰が?」「殲滅しないと!」


物騒な事を言う孤児娘達をなでながら(右手限定で)

落ち着かせる。

それに対して膨れる孤児姉。おねーちゃんなんだから我慢しなさい。



「・・・・・・・・・・・・・むぅ」



膨れる孤児姉、可愛い者だ・・・・・・・・・


でも、この過剰兵力は意味ないよ。

「いえ、賢者様に襲い掛かるものを払いのけるには・・・・・・・・」

「其処の王弟とか・・・・・・・・」「子爵もどきとか・・・・・・・・・」

「「「その配下とか・・・・・・・・・・」」」


今すぐに攻撃命令を出しそうな孤児娘達にたじろく周り。

別にいいだろ。好き勝手やって、適当な命令で民草に無体をしいて損なったんだ。

覚悟は出来ているのだろう・・・・・・・・・・・・・



「だんな、だんな・・・・・・・・・・・半端に処分したら見せしめにならないから、ちゃんとけりつけてからにしないと・・・・・・・・」

「そうか・・・・・・・・・・・」


孤児弟は良く判っている。王族貴族は拷問の上で・・・・・・・・・・・・

「おい、王室顧問!」

うるさいな王弟殿下(はげ)

「俺をはげというな!って、言うか何をする積りだ!」

「なにって、無体する貴族に対して制裁をしてそれを見逃した王族を処理するだけだが・・・・・・・・・・・・・」

「処理って・・・・・・・・・・・」

「全滅させた上で、髪の毛をむしりとった王弟を王位につかせる。」

「全滅は許すけど、俺の髪の毛をむしるのは許さん!」

「残り少なくてみっともないからむしりとって綺麗にしたほうがよいだろう。禿が!」

「禿げ言うな!」

「実際禿だろう!奥方泣いていたぞ!禿げ結婚なんてと・・・・・・・・・・・・・・」


うなだれる王弟殿下(MO)

これはそのまま放置、軍監といっても力量がないから意味がない。

かといって、他の王族だと血祭りに挙げられたりするからなぁ・・・・・・

流石に末王女に無体するのはいないだろうけど・・・・・・・・・・あれも、孤児弟が撫でれば落ちるし・・・・・・・・・



さて、書類整理としゃれ込みましょう・・・・・・・・・・・

ちなみに私は左肩痛いから補助よろしく。

「はい、御主人様。」


何時もいつも愛い奴じゃな、孤児姉は



書類整理を孤児娘達と行う・・・・・・・・・・・・・


勿論子爵様(笑)と共にである。

この数字はとかこの案件はとか聞くと答えられないで体たらく・・・・・・・・・

本気で吊るしたくなるのだが・・・・・・・・・・・・・・

侯爵様に教育について語りたくなるのは私の偏見だろうか?


「だんな、あんたの教育とやらは普通ついていけないから・・・・・・・・」

孤児弟は自分が普通じゃないと認めている気が・・・・・・・・・

「普通でいたかったのに・・・・・・・・・・・・」

「普通って何だ?」

「なんだろう?」


頭を抱える孤児弟に優しく頭を撫でる公爵令嬢・・・・・・・・・

お前も仕事しろ!

「あら、私は書類仕事苦手ですわ!」

堂々というな!


「御主人様公爵令嬢は血筋的に脳みそ筋肉ですから。」

「そうだったな、それは悪い事をした。」

「ちょ、ちょっと!」

「だったら、仕事で違うと証明しろ!腐った本読んでないで!」

「腐ってなんかないわよ!崇高な愛の物語ですわ!」

「はぁ?仕方なく体を売って、傷を舐めあっている幼女兄とかをみて素晴らしいという方はわれらと違う感性を持っているようですな!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「彼等は幸せな結末を得ているだろうけど、その前に不幸を得ているのだ!それをどう考えるのかな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


沈黙した公爵令嬢(ふじょし)を放置して、書類整理にかかる・・・・・・・・


「賢者様、不作救援基金が・・・・・・・・・・・」

孤児娘の一人の声に確認する・・・・・・・・・・・

これは酷い・・・・・・・・・


「会計君・・・・・・・・・」

「えっと、私は用事を思い出しました・・・・・・・・・・」


「捕らえろ!!」


会計氏はすぐに捕らえられた。

とりあえず家族を並べてやろうと思ったのだが・・・・・・・・・・・・・孤児弟に止められた。

「だんな、一族郎党潰す積りですかい?」

「それもありだろう。」

「そんな乱暴な手段とらなくても・・・・・・・・・・・・」

「ではどうするのか?」

「見ていてください・・・・・・・・・」




孤児弟は会計士の耳元で何か囁くと会計氏はうなだれて白状し始めるのである。

上の侯爵付の会計とか家令とかが絡んでいるから断れなかったそうで・・・・・・

って、孤児弟何を言った?


「いやぁ、娘さん可愛いですよねぇ・・・・・王兄殿下(ロリコン)付の侍女に推挙しましょうかと・・・・・・・・ついでにその弟君も王妹殿下(ショタコン)付の小姓に推挙(略」

「それは人としてやっちゃいけないだろ!!」

「あら、そんな可愛い子がいるならば私が欲しいですわ。」

「御姉様・・・・・・・・・・・」


孤児弟のジト目にたじろく公爵令嬢。

「え、えっと・・・・・・・・・・・・・」

「一緒に仕事しましょう。教えますので・・・・・・・・・・・・」


一緒に机に座らされた公爵令嬢、孤児弟は仕事を教えていく・・・・・・・・・・

凄い、遠慮なくこき使っている・・・・・・・・


会計もなんか一緒になってこき使われている・・・・・・・・・・・・


以外と孤児弟って人使いが荒かったんだな。

別にいいか・・・・・・・・


「だんなも手伝ってください!」

おやおや、私もかね・・・・・・・・・・・けが人で安静しないといけないのに・・・・・・・・

「ううっ!」

守ってもらった負い目があるのか強く出来れない孤児弟をからかいつつ私は書類の精査に勤しむのであった。


ほらっ!其処の王弟殿下(はげ)お前もてつだえ!



我等は極北戦士をたこ殴りにした小柄な侍女が茶の用意をするまで仕事に勤しむのであった。





ところで孤児娘達は?

貴族達の書類の面倒を見ているのであった。

「ううっ・・・・・・・・・・・数字が数字が・・・・・・・・・」


貴族たちに幸あれ。



この騒動のけが人とかは基本的に良く効く傷薬(奴隷戦士団持込)のお世話になるのだった。


聞くけど痛覚が倍増とか・・・・・・・・・・・・

子爵城館に悲鳴が途切れないのであった。(敵味方関係なく)



「強力兄様薬を処方いたいます。」

「い、いや・・・・・・・唾つければ治るから・・・・・・・」

「いえ、ちゃんと治療しないと・・・・・・・・・・」

「ま、待て・・・・・・・・・・うぎゃぁぁぁっぁぁぁあぁ・・・・・・・・・」


「そういえば兄貴、この薬染みるから嫌っていたなぁ・・・・・・・・・・」


しかし悲鳴でうるさい!


一番悲鳴を上げたのが極北戦士(もろだし)そもそも彼が生きていたのが不思議である。

さすが極北の民神秘である。


神秘扱いしないで欲しいが(by極北神)

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