戦始末と燕麦卿
作者が投稿しないときは酔いつぶれて寝ているか、引き抜きの酒盛りに連行されていると思ったほうが良いぞ。
あらすじ 一騎打ち連戦、どこのバトル漫画だよ!
幼女兄が意識を取り戻した・・・・・・・・・・・
まぁ、無茶をやりやがって愚民の分際で貴族様に大人しく守られていやがれ。
お前の痛みが男娼達にも襲い掛かることを自覚しろ!
「ううっ・・・・・・・・・・・これはこれで・・・・・・・・・」
「気にしなくて良いよ。」
「兄さん達ごめん・・・・・・・・」
「気にすることはない。」
「世界の理不尽さを考えれば問題ない・・・・・・・・・・」
「えっと、だんな。この三人だけ別世界に思えるのですが。」
「深く考えてはダメだぞ孤児弟・・・・・・・・・・」
「これはこれで美しい世界ですわ。」
「お嬢、こんなときまで腐らなくても・・・・・・・・・・」
「裸鎖、苦労するなぁ・・・・」
「王室顧問、お嬢も小さいころは本当に愛らしい者だったのに何でこんな・・・・・・・・・・」
「いうな、辛くなるぞ・・・・・・・・・」
「御姉様もこれがなければよいんだが・・・・・・・・・・・」
「これが私なのよ!」
馬鹿な話はさて置き・・・・・・
そう決戦といこうかそれとも時間稼ぎをするか・・・・・・・・・・・・
「おいらが出ます!」
「孤児弟、無茶よ!」
「馬鹿なことを言うな!大将が前線に出るのはどうかしているぞ!」
「おいらはお飾りですが、それでも前に出ないといけないと思う。旨く説明できないけど一番最初に血を流して一番多く血を流して一番最後まで血を流すのがおいらでないとおいらがおいらを許せない・・・・・・・・」
孤児弟は短剣を手に前に出る。
それに対するのは
「では、この燕麦男爵がお相手いたそう。黒髪孤児準爵よ、別れの挨拶は宜しいか?」
「男爵こそ、おいらみたいな子供に負けて後で言い訳を考える時間がないと思うのだがそれは大丈夫なのかな?」
「口だけは回るようだな、これが王都の流儀か?」
「言葉は世界の潤滑油ですよ。」
「ふっ、面白い事を言う・・・・・・・・・・」
大人と子供の戦いである。それでも孤児弟は一歩も引かないなぁ・・・・・
「御主人様、孤児弟は御主人様と共に修羅場を潜り抜けてきたのですから胆力だけはありますわ。」
「胆力自体は元から備わっていただろう。後はどれだけやれるかか・・・・・・・・・・」
私は孤児弟に近づいて話をする。
「孤児弟勝算はあるのか?」
「相打ち狙いが良いとこだと思う。」
「まぁ、良い。負けてもいいから生き残れ!死んだらダメだぞ。」
「これは祝福ですわ。」
公爵令嬢がすっと来て孤児弟の頬に口付ける。
「そこまで期待されたら勝たなくてはならないんじゃ・・・・・・・・・・・」
「まぁ、がんばれ。後のことは任せろ。」
律儀に待っていてくれている燕麦卿。
「別れは済ませたか?」
「準備は出来た。いざ・・・・・・・・・・・・・・・」
孤児弟は短剣を片手に突っ込んでいる。
突撃にあわせて燕麦卿が長剣を振り下ろすが孤児弟は体を半身傾けただけで軌道から避ける。
その出来た隙を狙ってわき腹を切りつけるが皮一枚しか切れてない・・・・・・・・・・・・・
いな、鎧に少しの傷をつけた程度だ・・・・・・・・・・・・・・
「体捌きが巧いが悲しいかな子供の体では俺を貫くまでいかないか・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はぁはぁ、護衛官よりトロイから何とかなるか・・・・・・・」
「なるほど、王都の処刑人の剣をかいくぐって生き延びたというのは伊達じゃないのか。」
「もし、おいらが負けたら素直に王都まで帰るよ。」
「そんな大盤振る舞いでよいのか?」
「おいらよりも戦いに慣れてあくどいのがいるから、そいつ等が来るんじゃない?」
「なるほど、例えばお前の師父にして悪逆非道の王室顧問とかが出るわけだ・・・・・・・・・・・ あの悪魔と対峙するくらいならば今ここで査察を受けたほうがよさそうだな・・・・・・・・・」
「今からでも受けませんか?」
「まさか、やっと体があったまってきたのにか?」
こいつは戦闘を楽しんでいるのか?
今度は孤児弟が自分の間合いに入って短剣を振るっては下がり振るっては下がりを繰り返す。
ちょこまかと動く孤児弟に振り払うかのようにを動かすが孤児弟に当たらない・・・・・・・・・・・・・
おや、城館のほうが・・・・・・・・・人の気配が?
孤児弟は短剣を振るって当てていくが、軽鎧に阻まれて致命打とならない。
「見たこともない戦い方だな。」
「荒野の民と奴隷戦士とその他諸々の戦い方を教わってましたので・・・・・・・・」
「なるほど・・・・・・・・・・・・」
孤児弟は短剣を両手に装備して二刀流となる。
「ふむ、戦場で二刀を振るう話を聞いたことがあるが、貴様にそれが出来るのかな?」
「付け焼刃だけどね・・・・・・・・・・・・・・」
燕麦卿が切りかかると孤児弟が避け左右の短剣から連撃が走る・・・・・・・・・・・
気配が・・・・・・・・・
城館の壁から人の頭が引っ込むのが見える。
腕は三流だな・・・・・・・・・
其処から弓の頭が見えている・・・・・・・・・・狙撃か?
ひゅん!
張り詰めた弓から解き放った矢は一直線に孤児弟に向かって向かう。
孤児弟は城館に向かって背を向けているためか狙撃には気がつかない。
仕方ないか・・・・・・・・・・・
私は射線上に割り込むべく急ぐ・・・・・・
がっ!
左肩に熱を感じる・・・・・・・・・・・・間に合ったか・・・・・・・・・・・
あまりの痛さにうずくまる・・・・・・・・孤児姉が私を支えてくれるが体格差からか押しつぶされそうになる。
私の異変に気がついた連中からは城館に向かって色々飛ぶのだがあたらないようだ・・・・・・
そんな異変にも気がつかず孤児弟は二本の短剣を振るいつつ懐に飛び込んで喉に向かって突き出すが、燕麦卿も孤児弟の首筋に剣を当てる。
両者寸止めでにらみ合う・・・・・・・・・・・・・
「相打ち・・・・・・・・・・・距離の違いから言っておいらの負けかな?」
「俺の負けだ・・・・・・・・・」
燕麦卿が孤児弟に後ろを見るように首を動かすと孤児弟は短剣を引いて後ろを振り向く・・・・・・・・・・・・
其処には左肩を貫かれた私の姿があった・・・・・・・・・・・
「だんな!」
「心配するな、命には別段支障ない!!」
貴族連合側も唖然としている・・・・・・・・・・・
一騎打ちの最中に狙撃するなんて・・・・・・・・・・
公爵令嬢は異変に気がつかなかったことに悔しい顔をしている。
気にする事ではない、従者にして弟子にかかる災難お一つや二つ我が身で受け止めるくらい出来なくてどうする。
ああ痛い・・・・・・・・・・・
燕麦卿は剣を鞘に収めると
「流石に面子を潰されてまで戦うつもりはない・・・・・・・・・・・・」
と下がる。
他の貴族も呆れて構えを解いてしまうもの、あいも変わらず攻撃しようとする者、逆に城館に突撃をかまそうとする者がいる・・・・・・・・・・・・・・
戦場において油断するのが悪いといわれればそれまでだが・・・・・・・・・・
一騎打ちは戦士の浪漫なのに邪魔するのは礼儀知らずで下品な行為とされる。
流れ矢とかは仕方ないが、しっかりと狙撃するなんて・・・・・・・・・・
私もやるから文句は言えないけどね・・・・・・・・・・・
「御主人様も貴族だったはずですが・・・」
「でも戦士ではないからね。文官だし・・・・・・・・・」
「王室顧問矢を抜きます・・・・・・・・・・・」
自由戦士が貫通した鏃を切り落とし矢を引っこ抜く。
あまりの痛さに顔をしかめるが気にせず処置をする。
孤児姉は私が暴れないように抱きついて抑えている・・・・・・・・・
矢が抜かれてからは裸鎖が火酒を吹きかけていく。
酒が勿体無い・・・・・・・・・・
「王室顧問、そんなのんきな・・・・・・・・・・」
「こんなときに飲んだら血が止まらなくなりますよ!」
他の戦士達は城館に向かって其々の攻撃をする・・・・・・・・・・
時々矢が放たれるがどれも致命打にならない!
貴族連合は攻撃する気をなくしたようだ。いや、何人か飛び出したのがいたのだが即座に叩きのめされてうめいている。
手足が折られているが命には別状ない・・・・・・・・・・・これは情けか?
「いえ、けが人がいれば助ける手が必要ですし痛そうなところを見たら怯えてしまうでしょう。」
「あれでは剣は二度ともてないでしょうな・・・・・・・・・・畑仕事にも支障が出るだろうって・・・・・・・・」
作付頭あくまでも農作業優先なのだな・・・・・・・・・・
私は痛みで意識が飛びそうなのだが両脇にいる可愛い従者たちに支えられながら戦場を眺める。
城館は開かないし千日手だな・・・・・・・・
救いは貴族連合からの攻撃が散発的でほぼ傍観となっていることなんだが・・・・・・・・・
「戦士の流儀に無粋な横槍を入れる馬鹿にはこの御姉さまがお仕置きしないといけないかねぇ・・・・」
大使夫人が恐ろしい形相でにやりと笑っている・・・・・・・・・
「お姉さまなんて自称にしても酷い!」
「黙りな!」
正当な(?)突っ込みを入れた極北戦士の一人を掴んで城館に向かって放り投げる。
放物線を書いて城館の敷地内に放り込まれる極北戦士!
「この糞婆!俺は砲弾じゃなーーーーーい!!」
声は遠くなりながら消えていく。
大使夫人は極北戦士を次々につかんでは城館に向かって放り投げている。
「うわぁぁぁーーーーーーー!」
だの
「ぎゃーーーーー!」
だの
「はははははっ!!上空からの攻撃を防げるかな?」
なんて声を上げて投げ入れられていく・・・・・・・・・・・
そして城館の中から悲鳴が・・・・・・・・・・・・
「うわぁぁぁ・・・・・・・・進入されたぞ!向かえウテェェェ!!」
「糞!こいつ等強い!!」
「貴族連合はどうした!!」
「うでがぁぁぁ・・・・」「ままぁあああああ!!」
大使夫人は次々に投げ入れる。
最後に瓦礫の下に埋まった極北戦士を掴むと力いっぱいぶん投げる!
いままでより勢いがついているが
どこっ!とか
べこっ! といった音がしない・・・・・・・・
べちゃ! という湿った肉打つ音がして
「いやぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
という城館の中のものと思われる悲鳴と
「ぐえぇぇっぇぇぇぇ・・・・・・・・・・・・たまがたまがぁぁっぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・!」
という涙声が・・・・・・・・・・
何が起こったかは気にしない方向で・・・・・・・・・・・・・
平然と大使夫人が一言
「極北人間砲弾!!」
おい、それまずくないか?
ああ、痛い・・・・・・・・・・・
「御主人様傷は深いですしっかり・・・・・・・・・・」
孤児姉・・・・・・・動転してるな。
今宵は酒が切れたのでこれまで。