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二連の宝珠  作者: れんじょう
冬柊の終焉
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旅立ち 【6】

 「では、準備ができ次第出発しましょうか?」


 はい?

 なんですか、その急展開は?

 

 ひめさまの部屋に入るやいなや、私以外の女官をすべて下がらせた後にひめさまがこっそり言い出した。

 えーっと。無理です。

 それでなくても明朝にもう一度会見の間に集合して、そこから出立するのではなかったのでしょうか?


 「本当は今すぐのほうがいいのだけれど、そうもいかないでしょうから、だいたい一刻あれば準備はできるかしら?」


 「ひめさま、一体どうしてそのように急がれるのですか?」


 「そうですよ、ひめさま! それでなくてももう日も沈みましたよ? 今から出発をしたとしてもすぐにどこかの宿に泊まらなければならなくなります。 それでしたら、明朝の出発でもあまり変わりがないと思いますけど」


 まさか反対されるなんて思ってもいなかったようで、ちょっとだけ考えこまれた後、文棚から「古事記」を出してわたしに差し出されました


 「古事記はお城に上がる者は必須で読まないといけなかったわよね?

 初めのほうに闇の支配者と光の支配者の話が書かれてあるけれど、それをちゃんと理解している?」


 理解……ですか?

 古事記は、子供のころから夢物語できかされてきたし、それに城に上がる際に試験があるのでその試験にかならず古事記がでてくるので勉強したけれど、理解、というのとはちょっと違うような気がする。

 それは隣にいる日向も同じようで、考え込むように首をかしげていた。

 

 「この話は、大抵の人が神話と勘違いしているようだけれど、本当に起こった話ということは知っているわよね?」


 ……知りませんでした。


 「ここに『光は、闇の中で輝く』、そう書かれているでしょう? ということは、昼に光を探しても意味がないのではないかと思うのよ。 夜、闇の中で動かないと、光はみれないのではないかしら?」


 ひめさまって、すごい!

 そこまで考えて古事記を読んでたなんて!

 単純に感動していたら、日向が疑問を投げかけた。


 「ひめさまは、ご存知だったのですか? まるで、今日この日が来ることが分かっていたように、ふるまわれておいでですが」


 「そうね。知っていたともいえるし、知らなかったともいえるわね。」


 すこしうつむいたひめさまの瞳には、悲しみが宿っていた。

 本当だったら知らないで済むことを、知っていたのが残念だという風に。


 「わたしの容貌をみれば、一目瞭然でしょう? 古事記にでてくる光の主人そのものだから。 幼かったころから色んな人が色んなことを言ってくれたおかげで、光の主人がでてくる古事記は熟読しましたからね。 一門一句、空で言えるほどよ?」


 いやそこはそういう自慢話をするところではないような気がしますが…。


 「東の空にまがまがしい雲が出現したときに、まるで古事記にでてくる記述のようだと思ったわけ。 その時に今後の対処を考えるとお父様としてはこうでるだろうと予測ができたので、外にお茶を飲みに行ったなゆたを呼び戻しにいったのだけど……お茶があまりにもおいしそうでつい注文してしまったけれど、ね」


 わたしを呼び戻しにきたんですか、あれは!

 そんな風には全くみえなかったですよ!?

 どちらかというとものすごーく悪だくみしていそうな感じだったんですけど。

 はー、ひめさまって、ほんとある意味すごい人だ。

 

 頭を抱え込んだひなたなのでした。

 


『光の主人をさがせ!』御一行さまはなかなか出立してくれません(爆)

さっさとお城をぬけだして、冒険の旅(?)にでてほしいものです。

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