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1.婚約解消を要求されました。





「メリア、本当に申し訳ないのだが俺との婚約を白紙にして欲しい。」


「はぁ…そのようなことは私の一存で決めることは出来ません。そういったことは当主同士で話し合うものですわ。」


人払いされた室内で向かいあって婚約者同士がお茶をしているというのに、私たちの雰囲気は冷淡だった。


「半年前にバーレイズ伯爵さまがお亡くなりになりましたので、カーマイン様が新当主となられましたのですからノクオリオ家との話し合いは私とではなく祖父と話せばよいのではないでしょうか。」


と、ごく当たり前のことを言ったのだがそれっきり返事もないので小首を傾げて返答を促してみる。


「理由を伺っても?」


「申し訳ないが、君ではない女性を愛してしまった。」


「そうですか。」


平坦な反応が返ってきて、男は気不味いようなきもちで様子を伺うが、…さして傷ついた様子もない婚約者に安堵のような気持を覚える。


となれば、口は軽くなった。


下手に謝罪の言葉を挟みつつも、自分がお前を愛していないことや、気が休まらない存在だとか余計なことまで後ろめたさからついつい言い過ぎてしまった。

が、それでも笑いながらそんな言葉を聞いていられる女だ。

十年以上も婚約していたが、ひとつもお互いに仲良くなれたことはない。そんな間柄。



「そうですか。カーマイン様が仰りたいことはききましたが、私の返答は次回のお茶会にでもよろしいでしょうか。あまりに突然のことで判断しかねますわ。」


「俺は君を愛して無い。」


「そうですか。別にそんなことは問題ではありませんわ。けれど、証拠もなく信じろと言われても困ります。」


「・・・証拠?」


「えぇ、カーマイン様が恋した真実の最愛の相手は現実に居ますの?理想を思い込んだ空想の女性ではないですか。」


「そんなんじゃない!彼女は実在する!」


「そうですか。では連れてきてくださいませ。お話はそれからですわ。」


「メリア、それで何が変わるんだい?」


「私の心が変わります。お相手の女性が実在するのなら、私は必ずや身を引くと約束します。」


「本当だね?」


「えぇ、神に誓いますわ。魔法誓約もしましょうか?」


「あぁ、そうしよう。」




―――――こうして次の婚約者とのお茶会は三人で会うことになった。



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