まえがき ＿＿各章の案内
《まえがき》
――本計画は、現行の国家体制を暴力的・革命的に転覆することを目的とするものではない。
むしろ、既存の理念や制度のうち有効な要素を継承しつつ、より柔軟で持続可能な国家モデルへと“再設計”する構想である。
その出発点は、憲法改正を通じて防衛三原則を「非核兵器・非先制・不侵略」に改めるというものであった。
とりわけ、核兵器を保有しないという原則を絶対に譲らない立場を明確にするため、防衛ドクトリンの確立は不可欠であった。
この非核兵器の原則を現実に成立させるため、本計画は「動的中立性」を軸とする防衛ドクトリンを提唱する。
国際社会と積極的に接続しながらも、いかなる支配構造にも加担しない。
この立場を基礎に据えた「堅牢平和主義」によって、挑発に迎合せず、自国の主権と国民の生活を守る道を模索する。
同時に、本計画は防衛論にとどまらず、持続可能な国家運営を目指して視野を広げた。
主権と平和を守る力は、防衛力だけでは成り立たない。
経済の安定、資源・エネルギー・食料の確保、そして国際的信頼を生み出すソフトパワー――これらが一体となってこそ、真に自立した国家が成立する。
現代の国家運営や制度は、制度疲労と世界的構造変動の中で変化に追いつけず、多くの問題を抱えている。
日本も例外ではなく、憲法が掲げる平和主義や基本的人権の理念とは裏腹に、統治システムの硬直、政党政治の形骸化、安全保障の不透明性、経済主権の希薄化、国民意識との乖離といった課題が顕在化している。
こうした状況の責任を、一部の政治家や官僚にのみ帰するだけでは不十分である。
むしろ、議会そのものの制度的機能低下こそが構造的な原因である。
制度が本来持つべき自律性は失われ、議員の保身的・利己的行動を許容する構造へと変質してきた結果である。
本書は「理念と制度」「思想と構造」を統合的に捉え直し、新たな国家像を構築することを目的とする。
その根底にある思想は、破壊や対立ではなく「調和と更新」であり、その国家像の中核に位置づけるのが「動的中立性（防衛ドクトリン）」という新たな哲学である。
本計画は、国家の制度的自立性を確保し、責任ある統治機構へと再構築するための第一歩として位置づけられる。
それは、国民が抱える現実の疲弊に対して統治側が真摯に向き合うための環境を整える試みであり、同時に公人という“国家の宝”となる人材を的確に選抜・育成するための制度的刷新でもある。
一方で、防衛力の強化については、理念との間に一定の緊張や矛盾を伴うことを否定できない。
それでもなお、「抑止力の保持」は現代の国際環境において不可欠である。
また、自衛隊という実質的な軍事力をすでに保有しているという現実との整合性も、明確に整理しなければならない。
本計画は「堅牢平和主義」の思想に基づき、自国の主権と国民の生活を守るため、必要な備えを慎重に模索する立場をとる。
国家は、単なる統治機構や利益配分装置ではない。
まず国民と領土という主権的財産を守り、社会全体をよりよい方向へ導くための“枠組み”であり、時代ごとの理念と制度の結晶である。
本計画は、変化し続ける社会と世界情勢に柔軟に対応し、常に最善を模索し続ける“開かれた設計図”として構想されている。
そして最後に、本構想は、これまで日本の主権と憲法を守り続けてきた先人たちの努力と叡智に深い敬意を捧げるとともに、日本が育んできた伝統と精神が未来を担う世代へ確かに継承されていくことを願うものである。
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《各章の案内》
【序章１】民主主義と世界平和の両立を目指して
【序章２】理念なき制度に、持続可能な国家は生まれない
【序章３】制度を支える土台となる思想
【序章４】国家再編計画書の核心的思想
【第１章】国家理念の再構築ー自由・共存・調和の原理
【第２章】統治構造の刷新ー五権分立と制度的自立
【第３章】経済主権の確立ー歳入主義と仮想通貨圏
【第４章】準公共機関の再設計ー形骸化する公共性の再構築
【第５章】防衛ドクトリンー平和宣言の代償と抑止戦略
【第６章】進化型国家の設計図ー開かれた未来モデル
わたし自身は専門家ではなく、この構想も当初は思いつきの域を出ないのではないかという懸念を抱いていた。だからこそ、論理的な整合性を高めるために、さまざまな思想的背景を踏まえて構成することにした。本書の内容は、あくまでわたし個人の発想によるものであるが、文章の推敲や校正の整理にあたっては“ChatGPT”の助力を得ている。ただしその役割は、表現の明確化や構成上の補助に限られ、構想の核心はわたし自身の内発的な問題意識に根ざしている。
