表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/169

131話


 翌朝、ユートはハガマと今回の任務に同行する人員について相談するため、イナホのメンバーが待機している窓口へと向かった。


窓口の担当者に声をかけ、ハガマとイナホのメンバーの呼び出しを依頼する。

 ほどなくして、窓口にハガマと、その隣にスイとハンが姿を現した。


三人の顔には、昨夜の話し合いの余韻が残っているようだった。

「ハガマ、スイ、ハン。来てくれてありがとう」


ユートはそう切り出し、改めて今回の任務の重要性を語り始めた。


「ユート様、昨夜、皆に今回の任務について話をいたしました」

ハガマが口を開いた。


「その結果、私とスイ、ハンの三人が、ユート様たちに同行することになりました」

ハガマの言葉に、スイとハンも深く頷く。


「残りのメンバーは、アルテナとドループ間を、商会とは別のルートで往復し、情報収集や物資の運搬など、後方支援に当たることにしました。残っているメンバーの指揮は、サニッキが行います」

ハガマは、イナホとしての役割分担を明確に説明した。


彼らなりの考えと覚悟が、その言葉には込められていた。

「承知した。ハガマたちも同行してくれるのは心強い」

ユートは、彼らの決断に感謝の意を示した。


「ただし、ドループへ向かう際も、君たちとは別々に移動する。街で拠点を確保するまでは、独自に情報を集めてほしい。そして、無理はしないように。危険を感じたら、すぐに撤退を優先してくれ」

ユートは、ハガマたちの安全を最優先に考え、慎重な行動を促した。


「はい、承知いたしました」

ハガマたちは、ユートの言葉に深く頭を下げた。


 その後、ユートは特別調査部のホームに戻り、出発準備の進捗状況を確認した。


物資の積載、馬車の点検、護衛の装備確認など、それぞれの持ち場で準備が進められている。

「準備は順調か?」

ユートがカインに尋ねると、カインは書類の束を抱えながら答えた。

「はい、ユート部長。現在、ドループの街の地図と、現地の商習慣に関する資料を整理しています。馬車の積載も順調に進んでいますが、出発までにはあと二、三日はかかりそうです」

カインの言葉に、ユートは頷いた。

急ぐ必要はない。

万全の準備を整えてから出発するべきだ。



ユートは、準備の状況をダリウス会長に報告するため、商会本部へと足を運んぶ。


ダリウス会長は、ユートの報告に満足げな表情を見せながら

「イナホの者たちも同行するのか。それは心強いな。彼らであれば、ドループでの情報収集もより円滑に進むだろう」

ダリウス会長は、イナホの能力を高く評価しているようだった。


「準備も順調に進んでいるようです。二、三日中には出発できるかと」

ユートが報告すると、ダリウス会長は頷いた。


「うむ、無理はせず、万全を期して出発するように。期待しているぞ、ユート」


ホームに戻ったユートは、特別調査部のメンバーと最終的な打ち合わせを行う。


地図を広げ、移動ルートや緊急時の連絡方法、ドループでの行動計画などを細かく確認していく。


「ドループに着いたら、まずは仮の支店となる場所を探す。その後、街の有力者への挨拶回りや、サドネット商会の動向を探るための情報収集を行う」

ユートは、今後の具体的な行動について指示を出した。


「皆、今回の任務は、ハーネット商会の今後を左右する事になるかもしれない重要なものだ。各自、気を引き締めて、任務に当たってほしい」

ユートの言葉に、メンバーたちは真剣な表情で頷いた。


数日後、全ての準備が整った。

特別調査部のメンバーは、それぞれの役割を再確認し、馬車に乗り込んだ。



朝日がアルテナの街を照らす中、ユートたち特別調査部を乗せた馬車は、ドループの街へと向けて出発した。


馬車の車輪が、石畳の道をゆっくりと進んでいく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ