眠んないと
眠らなきゃと思うと、なかなか眠れないものです。
時計が24時をふりきって
アンパイアが笛を
吹き忘れたアディショナルタイムが開演する
2時間でも3時間でも どんとこい
こちとら 夜更かしの帝王だ
どぎついピンクをしたネオンの梁をもつ
不夜城のもと
闇は深さを増しながらも
白夜より煌々と燃えている
枕を高くするくらいならテンションを高くしろ
眠気のまわりはじめた脳でこそ
ひらめく稲妻もあろう
コウモリとフクロウの羽を
はりあわせた翼で
欠け落ちたぶんを取り戻そうと
やっきになってる月へと挑んで
夜明けまでのマッチレースと洒落こもうぜ
——と いきたいところだけど
あいにく あしたは
ってゆうか
あしたも そして たいてい毎日
平日の朝は早いもので
それでいて
定時に終業する保証もないから
むしろ仕事のほうのアディショナルタイムで
へこたれないように
きちんと睡眠時間をとっとかなきゃなんない
だから 眠んないと
夜更かしの帝王は週末まで
その威光を闇に潜める
とっとと 眠んないと
冴えわたる目で追いながら
まばらなら羊の数をかぞえるけど
牧羊犬なき牧場に群れるのは
はぐれものの黒羊ばかりか
なんて よけいなことを考えるたびに
いっそう目は冴えて
どうせ眠れないんなら いっそのこと飛び起きて
ひと遊びしてやろうかと もたげた想いも
両手両足にのしかかるふとんが
囚人服より きまじめに
拘束衣を きどるんじゃあ しかたない
せめて目だけ閉じておこう
睡魔がそのルーズさを詫びながら
駆けこんでくるまで
刑期をつとめあげるように
まどろんでいよう
てゆうか ほんとにあしたも早いんだって!
とっと 眠んないと
眠んないと
かるく体を動かしてみる???