表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ささっと読めるショートショート

私だけを愛してねっ!

作者: 黎神レン。

「……ごめん、君だけじゃ足りない…全然物足りないんだ」


僕が神妙な面持ちなのには理由がある。

大好きすぎる彼女が1人だけではまったく物足りない。

好き過ぎるからもっといっぱい君が欲しい。

そう伝えた。彼女も愛されてる気持ちが伝わったのか、

嬉しそうに笑みを浮かべている。


「……そんなに私のこと好きなんだね///」

顔を真っ赤に染めた彼女はとっても可愛い。まじで愛おしい。

早速僕らは彼女をコピーするべくコンビニへ向かった。


最近のコンビニはなんでもやっている。

土地なんかも売っていれば、ペットだって買えちゃう。

そして僕の目的、コンビニのコピー機は動物から物まで印刷できるようになった。


「結構するんだねー、人は1コピー1万円だって」


そんな彼女に僕は両指をばっと全部開く。


「まあ♡」


今日は予算の関係で10人にしておいた。

本当はあと2、30人ぐらい欲しいところだけど。


「ねー!見てみて!私がいっぱいいるよ!」


なにこれ最高過ぎんだろ。

ブブブーーーーン⤴⤴⤴


それからの生活も愛している彼女が沢山で本当に幸せだった。

めちゃくちゃ可愛いし、これだけいれば彼女が在宅ワーク中の

触れ合えない時間でも、ずっと引っ付いていられた。


だけど最近彼女たちの様子がおかしい。

口は聞いてくれるけど、どこかぶっきらぼうだったり、なんだか素っ気ない。

思い当たる節はないが、何だか寂しそうな表情を浮かべる彼女を見ると、

僕が何かをしてしまったのは間違いないだろう。


「最近、私と話してくれないじゃん。あの私とばっかり話してるし。寂しいよ……」


決壊しそうな涙を必死に堪える彼女は本当に辛そうだ。

……そうか。今思えば、彼女全員を等しく接しれたかと言えば、

それを出来ていた自信が僕には無い。


「ごめん……っ!!僕が間違ってた。君からするとこんなの浮気と一緒だよね。本当にごめんなさい!!すみませんでしたっ!!」


おでこが擦り切れる位土下座する。

これだけじゃ足りない。全く足りないけど、

今は誠心誠意込めて謝罪する事しか僕にはできない。


「分かってくれたならそれでいいよ。また2人に戻ろうよ。ねっ?」


こんな事を想定出来なかった自分に嫌気がさす。

僕を見限らなかった彼女は本当に女神みたいな人だ。

これからも一生大切にしていこう。


そんな矢先、僕の前にもう一人の彼女が立ちはだかった。


「……なに言ってるの?私が本物だよ……??ずっと高校の頃から付き合ってきたオリジナルだよ!!?」


「ええっ……??」


彼女と彼女を交互に確認する。

全く一緒だ。姿から何にも変わらない。


「私だよ!」

「私だって!!」

「ちゃんと見て私だよ!!」


ぞろぞろと彼女たちが湧いて出た。


「「「ずっと一緒にいたでしょ!?私が本物の私だよ!!ずっと君を愛してきた私だよ!!」」」


ナニコレコワイ。


「私が本物よ!」

「私だって!!」

「アタイダァヨ!!」


お前だけは絶対に違う。


「「「ちゃんと見て!!私だよ!!」」」


……………………。


原本が分からないどうしようもない僕は、

自分自身を10体コピーする事でなんとか状況は落ち着いた。


「アタイダァヨ?ホンモノチャントミテテーン」


オリジナルの僕の所に来たこいつだけは絶対に彼女じゃない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ