表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
tokyo転生者 北区に住んでる光の勇者  作者: 氷川 泪
第二章 魔王復活
86/202

解決策

「どうそ。ステアでなくシェイクで作ったマティーニです」


「どうも」


 会釈(えしゃく)して受け取り、口をつけた。美穂ならともかく、酒を飲まない甘王には味など判りはしなかった。名前を知っているカクテルがたまたまマティーニだっただけだ。


「で、結局落とし所はどうする気ですか?このビルをグラウンド・ゼロにするわけはいかないのでね、あなたの考えを聞かせてほしい」


「単純な事実を理解せよ。この女が死ねば貴様も死ぬ。それだけのことだ」


「つまり、呪いの発動条件がその女の死で、術を喰らうのがわたしということですか」


「ビンゴ。綺麗な蝶々(ちょうちょ)に囲まれて天国に行けるなんて素敵!ロマンチック」


 美穂の口調をまねてみたつもりだったが、城山の反応は薄い。場の空気が白けたので、美穂は咳払いをして先を続けた。


「気の毒すぎて笑えるから、防ぐ方法をふたつ教えてやる。ひとつは単純。この女を死なせぬことだ。ありとあらゆる方法を使って、この女を守ればいい。いっそのこと結婚しちゃえばいいのではないかな」


 チャオが()き出し、城山の形相(ぎょうそう)を見て(うつむ)く。


「もうひとつも(いた)って単純。ワシの術を跳ね返せるだけの魔法耐性をお主が手に入れること。以上だ」


「例えばその女が不慮(ふりょ)の事故で死亡したり自殺してしまった場合はどうなるのですか?」


「術が発動し、お主は死ぬ」


 事も無げに美穂が答える。


「おもちがのどに詰まって死んじゃったら?」


 険悪な面持ちの城山に代わってチャオが問いかける。


「術が発動し、死ぬな」


「道を歩いていたら隕石(いんせき)に当たって死んじゃったりして」


「アウト。即死!」


「通りでちっちゃいころ大ファンだったケイタ・タチバナに会って、感激の余りショック死しちゃっても?」


「ダメ。発動!って、誰じゃ?そいつ」


 チャオとの押し問答が続く間、何事か思案していた城山が顔を上げた。


「決めました」


 顔を突き合わせていたチャオから視線を外し、美穂は城山に顔を向けた。先程とは変わって、城山の表情が明るい。


「あなたの提案を受け入れましょう。今日からわたしは、その人の面倒を一生みます。それで万事解決ですね?」


「こやつは名古屋出身だから、結納(ゆいのう)はちと面倒になるが良いか?」


「大丈夫です。結婚はしませんから。まず彼女の四肢(しし)を切断します。それから両目の視力を(うば)い、舌も取り除いた上で、我々が運営する病院に入院していただきます。その後は最先端の医療技術を用い、徹底した延命処置(えんめいしょち)を施して差し上げましょう。完全看護で、しかも全額わが社が負担。夢のような生活を約束しますよ」


 問題が全て解決したとでもいうように、城山は美穂に向けて右手の親指を突き出して見せた。


「そっかぁ。それなら安心だね。死ぬわけじゃないから呪いは発動しないし、ず~っと入院してれば事故や自殺の心配もない。凄いね、ミカ。天才だね」


 同意を求めるようにチャオが美穂にウインクする。チャオが美穂に仕掛けてきたくだらないやり取りは、城山が思考を整理するまでの時間稼ぎだったのだろう。一見ふざけているように思えるチャオの行動は、全て城山を()する為に計算されていた。


「なるほど、そう来たか。なかなか合理的であるな。感心したわ」


「気に入っていただけて何よりです。善は急げといいますし、早速(さっそく)処置を行いましょう。チャオ」


 チャオの右手に、再び巨大な戦鎌が現れた。


「物質透過で逃げても、いつまでもどこまでもその人を追いかけますよ。人手と資金力では負けませんからね。あなただって、いつまでもその人の中にいるわけではないのでしょう?」


 城山の指摘は正しい。術を使用したせいで、美穂の中に残る瘴気は極端(きょくたん)に減っていた。美穂との間に生まれたトンネルにしても、いつまでも維持(いじ)できるものではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ