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tokyo転生者 北区に住んでる光の勇者  作者: 氷川 泪
第二章 魔王復活
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物体透過

 城山の手にした槍の穂先が、美穂の腹に突き刺さる。苦痛に歪む美穂の顔を見て、能面のような城山の口角が吊り上がる。


「きれいにピン留めしてあげますよ。そのあとで一緒に写メでも撮りましょう。いい記念になります」


 槍の穂先が美穂の腹に潜り込んでいく。槍は美穂の身体を貫通し、背後の壁に突き刺さった。槍を手放した城山が美穂を指差すと、背後の魔方陣からアイスランスの一斉射撃が開始された。


「カッコいい風のナイトでしたね。でも終わりだ。つぶれたカボチャになっちゃいな」


 下卑(げび)た笑い声を上げながら、城山は美穂が突き刺さった壁を凝視(ぎょうし)した。針山のように壁に突き刺さった無数の氷の槍と、砕けて舞い上がる霧氷(むひょう)のせいで、美穂の姿は視認できなくなっていた。


「すでに原型も留めてないか。気の毒になぁ」


 言葉とは裏腹に城山の口角は上がったままだ。青く長い舌がせわしなく唇を割って出る。


「誰がカボチャじゃ。パンプキンはお前じゃろうが」


 舞い上がる霧氷の中から、美穂が姿を現した。


「バカな。ありえない」


 無数の氷柱を全身に浴びたはずなのに、美穂の身体には傷ひとつ無かった。


「くっ!」


 城山の背後に、再び魔方陣が浮かび上がる。


つたない技で魔力を無駄にするな、愚か者」


 腕組みをした美穂が城山を一喝する。


「わたしの槍は、間違いなくお前を刺し貫いたはずだ。なぜ・・・・・」


物体透過ぶったいとうかを知らんのか。壁を通り抜けるのに良く使うじゃろう」


「壁を、通り抜ける?」


 呆れたように美穂が額に手を当てる。


「物体を透過して移動する能力じゃよ。これができなければ、瞬間移動もままならぬだろうが」


 美穂の声をを無視して、城山が美穂を指差す。


「アイスランス!」


 氷の槍の一斉射撃が再開されたが、美穂は構わず城山との距離を詰める。城山の放つ槍はことごとく美穂の身体を通り抜け、背後の壁に突き刺さった。


 美穂の顔が城山の視界一杯に広がった。細く白い美穂の人差し指が、城山の額を突く。


「終わりだ。ワシの勝ち」


 美穂は城山の額から指を離し、ゆっくりと距離を取った。城山の背後にあった魔法陣が消え、壁に刺さった無数の氷柱も消えてなくなった。


「わたしに、何をした?」


 床に膝をついた城山は、呆然として美穂を見つめていた。


「ちょっとした術をな、掛けさせてもらった」


 城山の視線が美穂を離れ、窓に向いた。美穂が身構みがまえるより早く、ひび割れた窓ガラスが吹き飛ぶように四散し、窓の外から黒い人影が飛び込んできた。



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