番外編 ハッピーバレンタイン!
「南条さん、南条さん、今日はバレンタインデーです」
「バレンタインデー?すまない。この世界のことはよく解らない。それは、なにか特別な日なのか?」
「女性から、好意を抱いた男性に、チョコレートという甘いお菓子をプレゼントする日です」
「なるほど。それはいい日だな。わたしもそのチィヨコレイトを貰ってみたいものだ」
「なんでじゃんけんチョキで勝ったときみたいな言い方なんですかね」
「きみの言うことは時々理解できないな。きみは本当にこの世界の人間か?」
「転生してきたばかりの人に言われたくないですわ。で、まぁ南条さんにチョコが届いてるんで、持ってきたんですが」
「それはうれしい。アキナさんか?」
「いや、いくらなんでも知り合って間もない女子高生からチョコ貰えないでしょ普通。ハーレム要素入れる予定ないですよ、この話」
「きみの話は理解できないな。でもまぁいい。で、誰がわたしにチョコを?」
「スキュラさんからです」
「ス、キュ、ラ、さん?すまない。その人はわたしの知り人なのだろうか?」
「魔王城で戦った、首が六個あるオオカミの中にいた人です。南条さんが十六夜投げて首をそぎ落としちゃったあの人ですよ」
「ああ、金色の髪をしたあの女性か。息災なようで安心した」
「いや、死んじゃってますけどね。この先登場予定ないし」
「しかし、なぜ彼女がわたしにチョコを?」
「知りませんよ。恥ずかしげもなく、あなたは美しいとか言っちゃったからじゃないですか?」
「そう思ったからそう言った。それだけのことだ」
「カッコいいですね。でまぁ、今ここにチョコあるんですけど」
「四つあるな。他は誰から?」
「みんなスキュラさんからです」
「一度に四つ。それは普通なのか?」
「いえ、あのオオカミの頭、半分が女の子だったらしいんですよ。一番と二番、あと五番の子」
「番号で言われても区別がつかない。そもそも六つの首のどれひとつとして違いが判らない。せめて髪の色と形、声優さんくらいは変えてもらわないと」
「そんなどこぞの五つ子アニメみたいなことしないでしょう。オオカミだから声優さんいらねぇし」
「とにかく、ありがたいことだな。何かお返しがしたいが、何がいいのだろう。そもそも、今どこにいるのだろうな」
「たぶん転生とかして異世界にいるんじゃないですか?『魔王の手下として勇者に倒されたスキュラだけど、転生して六つ子オオカミとまったり酪農スローライフ!』的な」
「そっちの方が面白そうだ。きっと人気が出る」
「いえ、そういう話じゃなくって。で、お返しなんですけど、この世界にはホワイトデーという、恋愛勝ち組をさらに持ち上げる、どえらいシステムがありまして」
「ホワイトデー?だったらバレンタインなどと呼ばず、ブラックデーとでも呼べばいいだろう」
「いや、そんな株価大暴落みたいな名前にはしないと思いますよ。結論からいうと、一月後の3月14日に今日のお返しをするんです」
「そうか。一月後、お返しをするのだな?」
「ええ、そうです」
「しないとどうなる?」
「しないつもりですか?」
「いや、単なる好奇心だ。何かペナルティがあるのだろうか?」
「ペナルティはないんですけど、それはちょっとあんまりっていうか」
「彼女を傷つけてしまうことになるか。確かにそれはによくないな」
「ええ。メチャクチャ濃厚な呪詛とか吐きかけられますよ、多分」
「まずいな。もう一度あれを喰らったら」
「助からないでしょうね」
「それはそうと・・・・・」
「なんでしょう?」
「あと一カ月。3月14日まで、この連載は持つのか?」
「・・・・・。」
Happy Valentine's Day




