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其の男、異世界の木鐸となる  作者: 岩佐茂一郎
【第一部】第三章 砂漠の国 ”オステオン”
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3-5 次世代へ託す

「こ、これは!!」


サッカルと全く同じ反応をした男はサッカルの従弟で現ボレアース族長、アルテューマだ。


サッカルとは違い精悍で鍛えているのが服の上からでも分かるが、従弟というだけあって顔の感じはどことなく似ている。


サッカルより少し若いらしい。


「緊急事態だ、これを逃すと間違いなく後悔する、と、言われて来てみたら、、、後悔どころの騒ぎではない。ジーソースにこんな呑み方があるとは。よくぞ呼んでくれた!」


そんなふうに大げさにサッカルに謝意を表すアルテューマ。


他の親類縁者もやってきて、新年会の様になってしまった。


コツを掴んだアウロは、同世代の子たちの果実水を冷やしている。


魔法使いが珍しいのと、アウロの顔立ちが良いという両方の理由でちやほやされて困っているアウロだが、ターロもメトドも敢えて放置。


(がんばれアウロ。同世代との接し方を学びなさい)


と温かい目で見守る。


ドーラはバンバンと力自慢の男どもを腕相撲で下して褒美に甘い物を貰いまくっていた。


(みんな、仕事はいいのかな?)


自分がやらかしてこの事態に至ったことは棚に上げ、変な心配をするターロ。


メトドは珍しくまだターロの横で呑み続けている。


冷えたジーソースが気に入ったようだ。


香辛料の効いた肉料理に凶悪に合うのだから仕方ない。


その後も冷えたジーソースを心ゆくまで堪能した面々は、腹も張ってきたので落ち着いて少し酒精の強いものに変え、ちびちびやりながらの歓談となった。


そこでターロは切り出す。


「実はわれわれ、オルトロス陛下の依頼で各地を廻っておりまして、、、」


と、手形を見せた。


「道理で、、、」


驚くより合点がいった、という表情のサッカル。


「どう言う意味だ?」


サッカルの反応にアルテューマが疑問を呈すと、


「エルダーを仕留めた手並みがな、樹海の魔術師だとしてもあまりにも鮮やかだったのだよ。只者ではないと踏んでおったが、、、。 そうか、陛下の、、、」


「そんなに見事だったのか?」


「ああ、一瞬だ」


「ふむ。今朝から煩いくらいに、砂漠管理団の代わりに魔術師を、という声が上がってきていたが、、、それが原因だったか」


「ああ。ターロ殿達が引き受けてくれるのなら、今すぐにでもそうすることを勧めるぞ」


雲行きが怪しくなってきたので話に割り込む。


「いえいえ、我々は、次の連邦会議までに、各地を廻って、ケパレーに入らねばならないのです。残念ながらお手伝いは出来そうにありません」


「おお、勝手に話を進めて済まぬ。そうか、次回の連邦会議に。なら爲方無(せんかたな)い」


と従兄同士で盛り上がってしまっていた事に気付いたアルテューマ。


「それはそうと、その砂漠管理団が守っている神殿ですが、、、」


切り出したターロの話を、


「正確には砂漠管理団は神殿ではなく、神殿に至る環境を管理しているだけだ」


サッカルが訂正する。


「ああ、そうなんですね。その神殿なのですが、」


「うむ。神殿がいかがした?」


「なんでも魔神が封印されている、という事(・・・・)になっているとか?」


「という事?」


含みのある言い方にアルテューマが気付き聞き返す。


「はい。実は、、、、」


ターロは天使とその実験のことを二人に話して聞かせた。


「まさか、、、。 伝承が偽りだと仰るか?」


「信じられん、、、」


あまりの話に、アルテューマもサッカルも酔が醒めてしまっている。


「俺もなぜそんな事になっているのか分かりません。でも詳しく調べてみれば、もしかするとこの砂漠化を止められるかもしれない」


「砂漠化を!」


と瞠目するアルテューマに、ターロはしっかり頷き返す。


「これら事はイッヒー大賢者の手記にあったのです。大賢者様が、この地を一度訪れた時は火の精霊を安全な形で解放出来なかったそうです。手記には精霊使いが必要だとあるんです。どう必要なのかは分かりませんが、我々にはあちらのアウロ少年という優秀な精霊使いがいます」


話をそこまで聞いて、


「なんと! 大賢者様!」


アルテューマとサッカルは顔を見合わせた。


「そのことよ、ターロ殿。儂のテュラーでの商談というのも、それに関係あってな、、、」


二人の話をまとめると、こうだ。


魔神が封印されたのは、三百年ほど前。


それ以来、封印を保つために、約十年に一度、祭壇に生贄を捧げなければならなくなった。


生贄の儀式を行う時期は、祭壇の宝玉が青から赤に変わって一月以内とされている。


その生贄には、精霊への感応力が強い巫女が選ばれる。


死にかけの病人や老人を生贄にしてみたこともあるが、半年もせぬうちに宝玉は赤くなったそうだ。


伝承では赤い宝玉のまま放おっておくと、魔神の封印が解け世界が滅びる、とある。


それを試す勇気のあるものはおらず、ずっと生贄を捧げ続けてきた。


が、七十年程前にふらっと大賢者様が現れたことにより、砂漠の民は救われることになる。


宝玉がそれ以来赤くならなくなったのだ。


ただ、大賢者様は去り際にこう言い残していったという。


「ごめんね。根本解決は出来なかったよ。でも、きっと次にこの宝玉が赤くなる頃には、僕の後継者が、何とかしてくれると思うんだ」


(イッヒーさん、、、なんっすか? その次世代任せな感じ、、、)

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