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其の男、異世界の木鐸となる  作者: 岩佐茂一郎
【第一部】第二章 海の国 ”ブラキーオーン”
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2-33 アジト発見

【コンスィール(隠蔽)メント】


ターロが船に魔法をかける。


「ガレオスさん。これである程度なら、近づいてもばれることはないですよ。向こうにも魔術師はいましたが、だいぶへっぽこでしたしね」


「アハハハ、へっぽこ、はいいな」


笑うガレオス。


「へっぽこ」


ドーラも気に入ったようだ。


後続が分かるよう、時々浮標を流す。


ギリギリ目視できる距離を保ちながら海賊共を尾行()けていると、島が見えてきた。


海賊の船が大陸側へ回り込むように取り舵をきったので、それに従う。


ガレオスが海賊の行く方を見て、


「こちら側は浅瀬も多い。船底が深いと座礁の危険もある場所だ。やはり、こういったところに隠れていたか」


大陸と島の間は浅瀬が多く、ガレー船や漁船なら問題ないが、大型船は海路を熟知していないと通れない。


重くて商船より深く沈む軍船も通行は難しいだろう。


故にこの海域に隠れ家を設けたと思われる。


「まあ、軍船には足の速い小型船も積まれている。後続はそれに乗り換えてくるだろう」


とガレオス。


リアス式の海岸沿いをずっと進む。


急に海賊の船が消えた。


「あの入江に入ったね」


注意ないと気づけないような狭い入江がある。


「気配は、、、ずうっと奥だけど、感じるな。天使もいるっぽい。向こうにはまだ気づかれていないかな?」


後続を入江の外で待つ。


「ここを進むと他に出口はありますか?」


ターロの質問にガレオスが、


「ここら辺は、崖になっているか、鍾乳洞の出入り口になっているかのどちらかだ。崖なら予め縄梯子でも落としてなけりゃ登れるもんじゃない。鍾乳洞は、残念ながらどこにつながっているか分からん」


「ああ〜、だったら鍾乳洞かねぇ〜? 蝙蝠に噛まれたら病気になるかな?」


変なことを気にしているターロをガレオスが不思議なもののように見る。


「、、、ターロ殿は、その、なんと言うか、、、ちょっと変わっているな、、、」


「そうですか? 、、、いや、よく言われるか」


メトドとアウロを見ると二人共さっと目を逸らす。


「、、、、、」




変な沈黙の中、後続が追いついてきた。


やはり小舟に乗り換えている。


『ガレオス様〜』


大きな身振りの手信号。


オノスだ。


「おお、オノスが来たのか」


呟いたガレオスが、手信号で状況を伝える。


「この入江に、そんなに沢山の船は進めないので、先ず我々が入ってみましょう。戦闘員の数が多い船から、二、三艘続くように指示を出してもらえますか?」


向こうからの了解の手信号を確認してから、ガレオスは船を進めた。


後続船の中からも何艘か進み出てくる。


全ての船に、”隠蔽”の魔法を施し入江の奥へと入っていくと大きな洞穴が口を開けていた。


海賊のガレー船でも出入り出来るのだから、ターロ達の小舟程度なら、全く問題なく入れる。


「このまま行くぞ」


というガレオスに、うなずき返すターロ。


そして舳先に立って唱えた。


ライト(明かり)


ターロは木刀をトーチ替わりに光らせる。


「認識印はちょっと前から動いていません。もう少し先です」


そうターロがガレオスに言ってから少し経つと洞内が急に広くなり、停まっている船が見えてきた。


逃げた海賊の乗っていた船の他にもう一艘ガレー船が停まっている。


小舟も何艘かあった。


この広い空間にはターロたちが入ってきた穴の他にももう一本続いている。


「あっちにも出口があるようですね」


ターロが指差す方を皆が確認した。


「戦闘員を降ろしたら一艘は、あっちの穴から出で、外で待っている者と合流、状況を知らせて海賊共の逃げ道を固めてもらいましょう。それ以外はここに残っていつでも動けるようにして待機、でどうですか?」


「そうしよう」


ガレオスは他の船に早速指示を出し、船から降りた。


通路は曲がっているようで、奥まで明かりが届かない。


「メトドさん。なんか見える?」


「いえ、特に」


「アウロは?」


「僕も分かりません。精霊が応えてくれない」


「だよね〜。天使の影響かな? ドーラは何か分かる?」


「くさい」


一通り皆に尋ねたが何も分からない。


「しょうがないな。では行きましょう」


皆を促して奥へと進んだ。

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