2-18 再会
「ぬししゃまぁ〜〜っ!!」
飛び込んできたのはどう見ても六、七歳の女の子。
農作物を入れる麻袋の様な物に穴を開けて被り、腰を紐で括っている。
袋に対して体が小さいので、ワンピースの様に見えなくも無い。
緑色の髪と目が印象的な女の子。
しかし、身体能力がオカシイ。
人間の限界を大幅に超えた速度で迫ってきて十mほどの距離を跳躍しそのまま天使に、、、、
頭突。
ターロへ集中していた天使は、ギリギリまで少女に気付かず、振り向きざまに胸にその直撃を喰らって吹き飛んだ。
背中を向けて飛んできた天使に、ターロは残りの魔力を乗せられるだけ乗せて木刀を振り下ろす。
「ぐええええっ!!」
胸を頭突で潰され、背中を重力操作された木刀に叩きつけられ、翼も折れてボロ雑巾の様に地面に這いつくばる天使。
「あれは! 、、、まさか?」
謎の少女を見たメトドが絶句する。
ターロにも飛び込んできたものの正体が分かった。
「ドラさん! 助かった!」
「ぬししゃま! ぶじ?」
といいながら、天使を飛び越えてターロ達の方へと少女が来た。
「ええーっ!! ドラさん?!」
少しの間の後にアウロが、驚きの声をあげる。
ドラさんとは、緑色地竜の名だったはず。
この目の前の少女が何故ドラさん?
混乱するアウロ。
「話はあとだ、あいつはまだ生きている」
と、ターロは天使に向かって構え直す。
満身創痍の天使は、フラフラと立ち上がった。
「ぐうう、、、何者だ、そやつは、、、この破壊力、人族ではないな、、、」
と言っている頭上に魔法陣が浮かぶ。
「ちっ!」
ターロは舌打ちと共に、木刀で打ち掛かるが、そこにもう天使はいなかった。
「アイツも転移を使いやがるのか、、、逃げられた、、、いや、助かった、というべきか」
脱力し、へたり込むターロに、
「ぬししゃま。どーらさん、きた」
少女が寄ってきて、ちょこんと横にかがみ込んだ。
「おう、ほんと助かったよ」
といって、ターロは少女の頭を撫でた。
少女はニンマリと目を閉じて嬉しそうにしている。
「あ、あの、、、先生?」
まだ混乱中のアウロ。
「アウロ。住民の避難はうまくいったようだね。ありがとう」
「いやいや、そんなことより、、、どういうことですか!?」
「何が?」
「何が、って、、、いや、ドラさん!」
「ああ〜。 俺にも分からん」
「ええ〜!」
ターロはドラさんだという少女に向き直り聞く。
「ドラさん、人間に変身できたの?」
少女は小首をかしげて、
「ん、どーらさんねー、わかんない。かわぬげたら、できた」
三人の頭に?が浮かぶ。
「どういう事? メトドさん、、、分かる?」
「ええと、、、脱皮したら、新しい力が備わっていた、と言いたいのでは?」
「「 なるほど! 」」
声を揃えるターロとアウロ。
「って、ドラゴンって、脱皮するのね」
「いえ、あまり聞きません」
「そうだよね、、、ドラゴンの寿命って、どのくらいなのか知ってる?」
「種類によってかなり幅があるらしいです」
「地竜は?」
「おそらく三、四百年かと」
「そうか。 ねえ、ドラさん。ドラさんっていくつなの?」
「いくつ?」
年齢がわからないらしい。
「ああ〜。年齢って概念がないのかな? 生まれてから何回くらい寒いときがあった?」
と、冬が来た回数で聞き直した。
「ん〜〜〜」
少し考えてから、
「こんくらい?」
と両手をぱ、っぱと二回広げる。
「二十回ってことですかね?」
と、メトド。
「そうだね。そうなると、人間でいうと七歳くらいで、計算は合うね」
少女の見た目に納得するターロ。
「どういうことですか?」
アウロは分かっていない。
「地竜の寿命が、三百年、人間は百年だとすると、人間の寿命は地竜の三分の一って事でしょ?ドラさんが二十才くらいなら、人間に換算すると、その三分の一の七才位、ってことになる」
「ああ、なるほど」
「でも、この見た目で、”ドラさん”はないな」
さすがにネーミングセンスの壊れたターロもそう思った。
「よし、じゃあ、今日から君は”ドーラ”だ」
(( ”さん”取っただけじゃないか、、、 ))
と、メトドとアウロは思うが、
「どーら?」
「そう、ドーラ。可愛くていいだろ?」
「うん!」
本人は気に入っているようなので、良しとした。
「メトドさん。ドラゴンって、人化できるの?」
「上位種はできるそうですが、地竜が出来るというのは聞いたことがありません」
「そうなんだ、、、。色々気になるけど、今は後始末しなきゃね」
と、いうことになり、四人は建物の中に入っていった。
アウロの呟きを残して。
「ドラさん、、、女の子だったんだ、、、」
その頃、宮廷のリトスは胸騒ぎをおぼえる。
「は!、、、今、私の地位を脅かす何かが、、、!」




