2-15 アウロ・メトドvsゾンビ部隊
場面がコロコロ変わります。
(ゾンビ、、、精霊にどう頼もう?)
アウロは、建物の外へ出て、ゾンビ達が来るのを待ち構えた。
(いけない、住民の避難を頼まれたんだった、、、)
戦うつもりだったが、先ずは頼まれたことをせねば、と気持ちを切り替える。
(そうだ、また風の精霊に頼もう)
きっと、自分が大声で知らせても、皆、子供の言うことだから、と、取り合ってくれないであろう。
だが、さっき風の精霊が奥の部屋の音を自分に聞かせてくれたように、この周りにいる人達に音を届けてもらえれば、不思議な現象に驚いて言うことを聞いてくれるかもしれない。
そこまで考えてアウロは手を挙げると魔力を多めに伸ばしてみた。
あ、さっきの人族の子
かぜの精霊は、途中で逃げ出してしまったことを気にして、このあたりをウロウロしていた。
今度は周りの人族に音を届けてほしいという。
簡単なお願いだし、さっきの詫びもかねて聞き入れる。
《皆さん! 商会館から、ゾンビの集団が出てきます! 危険だから今すぐ離れてください! 戦える人は武器をとって備えてください!》
商会館の周りにいる人の耳に、同じ声が響く。
「おい、、、今の」
「おまえも聞こえたのか?」
「ゾンビだって?」
人々はパニックになり蜘蛛の子を散らすように、商会館の周りから消えていった。
(良かった。これで避難は完了した。ありがとう、風の精霊さん)
風の精霊に感謝を伝えると、アウロを心配するような気配が流れ込んでくる。
それと同時に、土の精霊もいるよ、という助言のようなものも感じられた。
(ありがとう。お願いしてみるよ! 土の精霊か、、、、そうだ!)
アウロは、ターロのやった事を思い出した。
地面に手をあて、魔力を流し、土の精霊との交信を試みる。
そこへ、ゾンビ共が出てきた。
十分にひきつけてから、
(今だ! お願い!)
すると、ゾンビが踏み締めた地面が急に緩んで、膝まで埋まったかと思うと、今度は固くなってびくともしなくなる。
(上手く行った! ありがとう、土の精霊さん!)
アウロはニッコリと微笑む気配を地面から感じた。
ゾンビ達は足を固定されて、いくら藻掻いても全く動けない。
酒場でならず者の首を埋めた、ターロのマネをしてみたのだ。
一度見たことだから、イメージを土の精霊に伝えるのは簡単だった。
流石に首を埋めたりはしなかったが、、、。
「! 、、、これは、アウロがやったのか?」
商会館から出てきた、メトドが驚く。
「はい。土の精霊にお願いして、ターロ様の真似をしてみました」
「凄い、な、、、、」
メトドが感心していると、寄生した体ではもう動けないと判断したのか、目や耳、鼻などから、ミミズの化物のようなものが這い出してきた。
「! あれがゾンビの正体だ! 絶対に触らないように!」
メトドは、アウロに注意し、杖を掲げて唱える。
【ファイヤーダーツ】
すると杖の先から、無数の小さな火の矢が、ゾンビから這い出てきた蟲達めがけて、飛んでゆき焼き尽くした。
「メトド様! 凄い!」
「確かに、、、凄いな。 、、、本当だ。想像力次第で、こんなにも変わるのか。 、、、たったあれだけの教えで、、、」
「僕も、土の精霊に想像したことを伝えたら、簡単に出来ました」
「そうか、、、あの方は、真に教師なのだな。少しの教えで我らはこんなにも成長した。昨日の夜に教えを受けていなかったら、どうなっていたことか、、、」
こうして、街を恐怖に陥れるはずだったゾンビ部隊は、一瞬にして壊滅した。
その時、商会館の裏で爆音が響く。
「メトド様!」
「ああ、行ってみよう」
二人は、商会館の入り口を再びくぐるのだった。




