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其の男、異世界の木鐸となる  作者: 岩佐茂一郎
【第一部】第二章 海の国 ”ブラキーオーン”
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2-13 ゾンビ原蟲

エスカトン商会支部長の名はユーキリスと言った。


実直さが買われ支部長に任命された。


愛妻家で、妻と七歳になる一人息子と三人で、慎ましく幸せな毎日を送っていた。


スクピディが現れるまで。


奴はならず者を多数引き連れて、いきなりやって来た。


そして妻子を人質にとり、彼の家に居座り商会館を我が物顔で使い始めた。


ユーキリスは妻と子の無事を信じて耐えていたのに全てが無駄だった。


怒りに染まったユーキリスがスクピディに掴み掛かろうとするも、ゾンビ達に抑え込まれる。


動きは緩慢だが、物凄い力だ。


一体でも、振りほどく事はできないだろう。


それが三体もいる。


全く動けない悔しさで呻いているところに、轟音が響き、入り口の扉が吹き飛んだ。


「何者だ!」


スクピディが叫ぶ。


「お前こそ誰だよ?」


と、返しながらターロは、精霊樹の木刀にコンプレスド(圧縮空気)エアの魔力をのせて放つ。


バフッ!


ユーキリスを抑え込んでいたゾンビ達が吹き飛んだ。


「ターロ様! 奴らはゾンビです。加減はいりません! 浄化してやるのが情けです」


遅れて入って来たメトドがターロに叫ぶ。


「そっかぁ、ゾンビだったんかぁ。臭いわけだ。、、、って、入ってきちゃ駄目だ!」


商会館の職員と警邏部の者も武器を手に、


「ユーキリス様! ご無事ですか! 闖入者です!」


そう叫びながら入ってきた。


「貴様等! 抵抗するな! 武器を捨てろ!」


ターロ達の事を完全に怪しい侵入者だと思い込んでいる。


「止めろ、我々は敵ではない」


メトドが制するも、聞く耳を持たず、剣を向けて迫ってきた。


「フャハ〜ッ! 駒が自らやってきた!」


スクピディが、何かを大量に投げる。


見たことのないような、気味の悪い蟲だ。


蟲は跳ね跳びながら入ってきた人達に向かっていく。


「その蟲に触るな!」


ターロは慌てて衝撃波を放つが、蟲の数が多く小さい上に、変則的な動きをするので、ほとんど当たらない。


ターロの忠告を聞いたメトドは上手く躱しながらターロの方まで、逃げる。


だが、ターロを敵だと思っている商館職員たちは、その言葉に耳を傾けなかったばかりに、


「うわー!」


蟲にとりつかれ払おうとするがすばやく背中に回り込まれて手が届かず、あたふたしているうちに首の後ろに蟲が貼り付いた。


「ああ!!」


蟲が噛み付いたかと思うと、脱皮するように、外皮がふやけた。


中身だけが頚椎の中に入り込んだ様だ。


「フヒャヒャヒャヒャ! さあ、街へ出て殺しまくれ!」


蟲に入り込まれた者は、一度ドサッと床に倒れた後のそりと起き上がって、落とした武器を拾い上げ外へと出ていく。


その目に光はなく、意志や感情は感じられない。


最初にゾンビにされたならず者共も、一緒になって外へと出ていく。


ターロたちには目もくれない。


どうやら命じられた事しか出来ない様だ。


慌ててターロが、


テレパシー(遠隔精神反応)


と唱え、まだ部屋に入ってきていないアウロに指示をだす。


《アウロ、聞こえる?》


《あ、先生》


《この部屋からゾンビ化した人達が、外に出ていこうとしている。無理に相手をしないで、街の人を避難させて。出来る?》


《やってみます!》


《頼んだよ》


「メトドさん、今アウロに住民の避難を頼んだ。メトドさんもアウロに助勢して。使うなら火の魔法ね」


「火、ですか?」


「そう」


何か理由があるのだろうが今はそれを問う時間も惜しい。


「ターロ様は」


「あそこで高笑いしている元凶を何とかする!」


「分かりました」


メトドは、ゾンビ等の後を追い、ターロはユーキリス支部長に夫人達をけしかけているスクピディへと切りかかった。

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