1-20 精霊樹の木刀
(何だか木刀持つのスゲ〜久しぶりな感じがするな、、、)
午後、精霊樹の木刀で素振をしてみる。
前世での長年の習慣だが、こちらに来てからは初めてだ。
体が代わった事で少し違和感があるので、動きながら修正していく。
木刀を振っていてふと、気付いた。
(この木刀、、、魔力に反応している?)
メトドに聞いてみると、
「精霊樹は魔力を流すと硬さや重さ等を調節できたりします」
との事。
里の皆は魔力で弓の威力を高めているという。
杖を使うメトドやロエーは、魔法の指向性を調整したり、溜めて一気に放出するのに使ったりしている。
魔力の伝達率が高いのに蓄積も出来るという、不思議な性質を持っているらしい。
そこで色々試してみる。
先ず重さ。
実際の重さと、使用者が感じる重さを別々に設定できることが分かった。
これは武器として物凄く便利だ。
そして硬さ。
ちょっと魔力を込めるだけで石より固くなる。それなりに込めると鋼鉄並みに固くなった。
それを組み合わせて、実際の重さを出来るだけ重く、感じる重さは可能な限り軽く、そして鉄より堅く、と設定すると、凶悪な武器になった。
何しろ軽いので竹ひごを振り回すかのように扱える。
しかし実際の、質量は相当なので、それが竹ひごを振る速度で打ち下ろすされれば、、、
ドッゴーンッ!
試しに打ち込んでよい、といわれた丸太が爆ぜた。
自分でやっておいてターロは、目を疑った。
(物理の法則、ガン無視だ、、、)
しかし、この木刀の凶悪さは、ここからだった。
(魔法剣とかできちゃったり、、、しないよね?)
できちゃいます。
嫌な予感がしたターロは、誰も来ない、少々荒らしても良い場所として里の外の広場を教えてもらった。
攻撃魔法の稽古等をする為の場所だが、シャーマンの数が少ないので滅多に使われないらしい。
先ず木刀に属性のある魔力を纏わせる実験。
木だけに火は嫌がる。
水と風はよく、氷、雷はなんとか大丈夫。
土は硬化させるのと結果は変わらない。
光は、、、
(これじゃあ、ただのトーチじゃん)
、、、光っただけ。
がっかりするが、後々、夜や光のない地下などですっごく便利な事に気づく事になる。
やはり木なので、水と風との相性が良い。
木刀に、ウオーターカッターの要領で水属性を持たせた魔力を纏わせると、丸太程度ならバターのように切れた。
しかし、結構な集中力が必要なのと、振り回して使うと纏わせた魔力が剥がれてしまう。
結果として重量操作+硬化の方が武器としての破壊力は上で、魔力消費量も少なかった。
(チェーンソー替わりにしかならんか。なんかもったいないな。)
そこでターロは思いついた。
(剥がれちゃうなら飛ばせばよくない?)
で、木刀に収束させた魔力を、木刀を振って刀身を伝うように押し出すと、
ザッパンッ!!
十メートル程先の丸太が真っ二つに切れた。
その下の土も、
その向こうの大岩も、、、。
(これは、、、個人で持っててもよい威力?)
冷や汗をかきながら木刀をじっと見たターロは、心の中でこの木刀に、
”地獄丸”
と銘付けた。




