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其の男、異世界の木鐸となる  作者: 岩佐茂一郎
【第一部】第六章 盟主国 ”ケパレー”
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6-9 自重


「もう、、、いないかな?」


気配を探っても、もう辺りには何もいないので城へ戻ろうとした時、


「ん、、、、」


ドーラが目を覚ました。


「お、ドーラ。大丈夫かい? 具合の悪い所はない?」


気が付いて目の前にあったターロの顔に安心したのか、ドーラはターロの首にしがみついて、おいおい泣き始めた。


「ぬ、ぬ、ぬ、ぬししゃまあ〜〜」


「お〜。怖かったね。もう大丈夫だよ」


ターロはドーラをしっかり抱えて背中を擦ってやる。


「すみませんでした、ターロ様。ドーラをみすみす奪われてしまいまして、、、。ターロ様が来てくださらなかったら取り逃がすところでした」


と平身低頭するメトドに、


「いや、そんな事ないっしょ。これだけの面子が揃っていれば遅かれ早かれ取り戻せてただろうけれど、、、そのまま国境を越えられていたら面倒なことになっていたからね、ここで取り戻せたのは幸い(ラッキー)だったよ」


まだ、謝ろうとするメトドを制し、詳しい話は城でしよう、と帰還する事にした。


帰ってみると城下は、竜に乗った謎の集団と突如現れ(いかずち)で天使を(ほふ)った神の如き巨人、そして天から降ってきて北西に落ちた大火球の話で持ちきりだった。


なかでも巨人に対してはこの様な噂が飛び交っていた。


先王ポロスの御霊(みたま)がケパレーを蹂躙する者を懲らしめる為、あの様な御姿で降臨なさった、と。


(あら〜、ライブラリ(温故知新)から送られてきた映像(イメージ)がやけに鮮明だと思ったら、先王を(モデル)に創った魔法だったのね、、、)


今更ながらにやらかしてしまったと気付くターロ。


あの魔法はポロスに見せてからかう為だけ(・・)に、イッヒーが冗談で創ったものだった。


したがって実戦で使った事はなく、ポロスを除いて誰も見たことがない。


(そんな物ライブラリ(温故知新)に大事に入れておくなよ!)


と、お茶目が過ぎるイッヒーに腹を立てるが、後の祭り。


「ターロ、少し目立ちすぎたな。すべてお主の仕業だと公表しておくぞ。大賢者の後継者が現れた事をどう告げようかと思っていたが丁度よい」


そうオルトロスがニヤニヤしながらターロに告げた。


(む、、、完全に(いじ)りにきているな、、、)


やめさせたいところだが実際自分がやったことなのでどうにもならない。


むむむ、という表情のターロを見て、


(やっと"自重"する事の大切さに、気付いてくれましたね)


穏やかに微笑むメトドであった。

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