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其の男、異世界の木鐸となる  作者: 岩佐茂一郎
【第一部】第六章 盟主国 ”ケパレー”
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6-7 さすが禁呪

《アウロ、プロクス、聞こえる?》


不意に頭の中でターロからのテレパシー(遠隔精神反応)が響いた。


その声の感じから何か緊張したような雰囲気を察したアウロ。


《何か分かったんですか?》


《不味いことになった。とりあえずコイツラは殲滅するから距離をとって。時間がない。説明は後でするしテレポートで追いつけるから城の方に向かって飛んで!》


いつもとは違うターロの様子に、何も言わずに言われたとおりにする。


プロクスが城へと進路をとった事を確認したターロは、イッヒーのライブラリ(温故知新)を検索するために集中。


どんな金属でも一瞬にして昇華してしまう魔法。


大賢者イッヒーの禁呪、メテオ(隕石)


本来、大量の魔力を消費するこの魔法は、この世界の魔術師が何の準備もなく使えば魔力切れを起こすだけで発動すらしないだろう。


しかし異世界渡りであるイッヒーやターロは例外だ。


前世で見た宇宙映像や関連知識のおかげで明確な(イメージ)を簡単に描けるので、さほど多くの魔力を必要とせずこの魔法を使える。


五十体ほどのゴーレムなら、これの上位魔法であるメテオスウォーム(隕石群)を使うまでもないだろう。


そう判断したターロは、念の為、周りに被害が及ばないように、



【エンクロージ(囲い込み)ャー】



と、唱えて底なし沼を障壁で囲っておく。


落下地を沼の真中に設定し、この沼だけ(・・)を消し去る規模の隕石を探して捉え、詠唱。



メテオ(隕石)



間髪入れず、



テレポート(瞬間移動)



プロクスの背に転移。


「うわ、びっくりした。先生、どうなっているんですか?」


「見てみなよ」


ターロの差した上空を見ると光の点が見える。


みるみるうちに大きくなり直視できない程の眩しさで、ゴーレム等を捕えた沼の方にに落下していく。



マジカルシールド(魔法の盾)



ターロは隕石が落ちていく方へ障壁を展開。


その直後、衝撃波が襲ってきた。



チュオオオオオォォォォーーーーンンンン!!!



「うわー!」


あまりの衝撃音にびっくりするアウロとニパス。



ゴフウウウウッッッンン!!



隕石が沼に落ちたようで障壁越しでもプロクスの飛行がぶれる程の衝撃波が広がった。


「あれ? 思ったより凄い威力だな、さすが禁呪。囲っておいてよかった」


ぼそっと呟くターロだが、急いでいた事を思い出し、説明を始める。


「これでゴーレムは片付いた。あいつら、城に向かっていたんじゃなかったよ」


今の隕石魔法に付いて色々訊きたいが、空気を読んで後回しにするアウロ。


「城じゃなかったらどこに向かっていたのですか?」


「プロクスさ」


「プロクス?」


魔法陣を解析して分かったのは、あのゴーレム達に古代竜捕獲の仕掛けが施されていたという事だった。


砦を南下し、東のケパレー城ではなく西のプースで、封印の解かれたプロクスを探し出し再封印するように設定されていた。


「どうしてそんな、、、?」


アウロの疑問にターロが答える。


「これが俺の違和感の正体だったんだ。なんで"封印(・・)"なんだろう? 母竜の復讐なら、封印じゃなくって殺害で、よくない?」


「、、、確かに、そうですね」


「封印は殺すより難しいでしょ? 実際、天使たちは態々実験施設を作って、イーフリートみたいな上位精霊を召喚してまでして、プロクスの封印魔法陣を開発したよね?」


『言われてみればそうですね。考えもしませんでした』


そうプロクスも話に加わる。


「封印する理由はさ、、、例えば、プロクスの体を母竜復活に使うとか、、、」


『「成る程」』


「で、だ。そうなると古代竜級の竜ならいいわけで、、、。と、いう事は、ドーラが危ない」


「え? ドーラが?」


「そうだよ。城を襲っていたのは、俺達がプロクスと仲間になったことを想定して、おびき出すためにやっていたんだと思うんだ。だから攻め落とす気が無いような攻撃だったんだよ」


「ゴーレムは?」


「仲間になっていない場合を想定していたんじゃないかな? プロクスが山に残った場合をさ」


「そういう事かぁ」


「で、プロクスは俺達の仲間になって攻撃を受けているケパレー城に現れた。四枚羽の天使あっさり転移していったでしょ? あれ、(かな)わないと思って逃げたんじゃなくってさ、プロクスを発見したから仲間を連れてまた来る為に一旦退却したんじゃない?」


『そうかも知れませんね。だとすると、、、』


「今頃、城はまた襲われているはずだし、でもプロクスがいないから諦めて撤退するかって言うと、、、」


「ドーラを見つけて(さら)うかも知れない!」


「その可能性があるでしょ? だから城へ急ごう。 、、、いや、待てよ」


ターロは目を瞑って何かに集中し始めた。

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