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其の男、異世界の木鐸となる  作者: 岩佐茂一郎
【第一部】第五章 山岳の国 ”プース”
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5-20 ケパレーヘ飛ぶ

『ターロ達は、あの子等、、、人族の呼び方に合わせて天使といいましょう、天使達との交戦経験があるんですよね?』


今はプロクスはプテリュクスが追いつける速度でケパレーに向かって飛行中。


直線なのでケパレーの城まで、五〜六時間もあれば着くらしい。


ケパレーの領土は大賢者イッヒーの残した結界がまだ使われているので簡単に侵攻されることはない。


更に南に川、三方を山で囲まれた盆地に位置する。


それらが天然の要塞として機能しているので、国境沿いに長城などはなくとも侵入を困難なものにしている。


歩きだったら山を下りてまた登らねばならぬので大変だっただろう。


飛んでいる間、隙なので、プロクスと情報共有をする。


封印されていた三百年程の間の出来事など、メトド達が知っている限りの事をプロクスに聞かせる。


そして話が最近のことに及び、天使との交戦経験があるか、と問われた。


それには、


「うん。何度かあるよ」


とターロが応える。


『ドーラが光輪を引き千切ったっと言っていましたものね。その光輪が魔法陣になる事も?』


「うん。見た。あれはどういう仕組みなの?」


『どうやら、脳内で紡いだ魔法陣を頭上に浮かべた光輪、魔力の輪に転写して具現化する事ができるようです。それだけではありません。同調能力を利用して複数人で魔法陣を拡張する事もできます。私はそれに捕獲され胸にあの魔法陣を描き込まれてしまいました』


(ああ、あのドーラを捕まえようと四人で作ってたやつか、、、)


上に跳んで間一髪で逃れたことを思い出した。


捕まっていたらどうなっていたことかと冷や汗が出る。


古代竜でさえやられるほどのものだ。


勿論、プロクスを捕えた魔法陣はもっと規模が大きかったのだろうが、、、。


ともかく、あれに捉えられては、テュシアー以外は逃れられない。


いや、テュシアーも魔力不足で捕まってしまう可能性のほうが高いだろう。


なにか対策を講ずる必要がある。


魔法陣の事を考えていると何かが意識の底で引っかった。


(ん? 何だろな? 大切なことを忘れていないか?)


それが何か思いつけずにいると、


『どうしましたか?』


現実に引き戻される。


「え? いやぁ〜さぁ、捕獲の魔法陣対策しておかないと危ないな、って思ってさ」


引っかかっている事は一旦脇に置いて、捕縛の魔法陣に話を戻した。


『それは難しくありません。一度捕まったので分かります』


「え? そうなんだ」


『複数人で魔法陣を描く場合、それぞれが魔法陣の中の図形の頂点に展開します。一人でも欠けるとそれは描けません』


「だからそこにいさせなければよい、ってわけね」


『そうです』


聞いていたメトドが、


「ならば、私の未来視で場所を把握して事前に妨害することが出来るかもしれません」


と言う。


「そうだね。油断してなけりゃ大丈夫かな?」


そんな話をしているとプースとケパレーの国境付近上空へと近づく。


(? なんだろう、、、見られている? 、、、天使、、、じゃないな。敵意がない)


下からなにか気配を感じるがメトド達に聞いてもわからないという。


プロクスは何か知っているようだが黙っている。


(後で訊くか)


今知らなくてはいけない事ではなさそうなので()いて尋ねなかった。


国境を越えてから少し経つが、何もない。


「おかしいな。空からの侵入にも結界は反応するだろうから、何かしらの確認があるかと思ったんっだけれど、、、」


と言うターロに、メトドが前方に目を凝らして言う。


「ターロ様。進む先に城があるはずなのですが、、、火の手が上がってませんか?」


プロクスにも見えたようだ。


『本当ですね、何かあったのかもしれません。急ぎましょう』


「うわ、嫌な予感しかしない、、、」


ターロのつぶやきが何を暗示しているのか、この時は誰も知らなかった。

第五章はこれで終わります。


次回、幕間の話として


大賢者イッヒーとケパレー前国王ポロスのスケロス平定


です。


お楽しみに。

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