5-14 天使の正体
「ターロ!」「先生!」「アンアン!」
カルテリコスとアウロ、ニパスが、プテリュクスから降りてくる。
「ど、ど、ど、ど、どうして?!」
ターロはメトドと同じような反応をするアウロに笑いそうになったがまた怒られるといけないのでぐっと堪え、身代わりの吊下装飾具について説明をする。
「、、、相変わらず、でたらめだな」
安心した事をそんなふうに表すカルテリコス。
ターロは、
「さ、俺のことより、古代竜だ」
横たわる古代竜を見上げる。
「とても強力な魔法陣で、、、ターロ先生が来てくれなかったら、私達だけでは失敗していました。」
テュシアーの言葉にメトドが頷く。
そうかね? と軽く笑ってターロは古代竜を突付いてみた。
反応がない。
「死んで、、、ないよな?」
かすかに体が上下しているので、息はしているようだ。
それなら、と、
【ヒール】
詠唱すると、ターロの腰が抜ける。
「おおう!? でっかいから魔力の消費が桁外れだな、、、」
(最近、魔力枯渇してばっかりだ)
それでも効いたらしく、古代竜が意識を取り戻した。
『、、、魔法陣が、消えて、、、。 解呪してくれたのですね。ありがとう』
起き上がって礼を述べた古代竜は、
『ああ、あなた方を殺してしまった時はどうしようかと思いましたが、、、。二人共生きていてくれて、本当によかった』
ターロとドーラを見てホッとしている。
そのターロが、
「やはり魔法陣の所為で色々とおかしかったのですね?」
と確認すると、
『ええ、そうなんです。あの子達には、、、。本当にどうしましょう』
「あの子達?」
その物言いにメトド達は引っかかるが、ターロは一人分かっていたようで、
「天使は、、、人化した竜なのですね?」
と尋ねた。
天使が竜だというターロの言葉にメトド達は驚くが、次の古代竜の言葉は更に彼らを驚かせる。
『まあ、ターロは賢い人族ですね。どうしてそれに気付いたのですか?』
「天使が、、、竜、、、?」
全く話が見えていない一同に、ターロは、
「そう。推測、っていうか全く確信がないから言ってなかったけれどさ。ドーラが、あ、この子の名前、ドーラ」
ドーラの頭に手を置いて、古代竜に紹介し先を続ける。
「ドーラが天使と同じ様に、手を魔力で強化出来るって分かってからちょっと引っかかってて、、、。天幕の中で天使が光輪を放ったじゃん。それをドーラが素手で掴んで引きちぎった時、天使が言ったよね、"人化した竜なのか?"って」
その場にはメトド・テュシアーとアウロもいた。
「確かに言っていましたが、、、それが何か?」
メトドが尋ねる。
「んん〜、何で"人化した竜"って、すぐに分かったのかに引っかかってさ。メトドさんみたいに見抜く力があるなら、そんな事訊かないでしょ? だったら、自分の光輪を阻止できるのは、人化した竜だ、って最初から知っていたって事じゃん」
「そうですね」
「何でそんな事を知っているのか。 過去に人化した竜と戦ったことがあるからかも知れない。でも、何故すぐ分かったんだ? って訊いたら、アイツ顔色変えてさ、喋りすぎた、って言ってこの話を終わりにしたよね。覚えてる? おかしくない?」
「た、確かに」
「人化竜との戦闘経験なんて隠す必要ないじゃん。って事は、、、」
メトドが答えを引き取る。
「天使自身が、人化した竜、、、」
「って事になるよね。でしょ?」
と古代竜を見上げたターロ。
『あなたの推測どおりですわ。 彼らはある古代竜の、人化の解けなくなった子供たち』
「ある?」
『そうです。でもそれについて話す前に、私達、竜とは何か、そして竜の生態について少し知っておいてもらった方がいいかもしれません。その子、ドーラにも関係がありますしね』
古代竜はその視線を徐にドーラに向けるのだった。