4-24 ポーロスを立つ
「カルテリコス。会議では俺達と一緒に来る、って言っていたけれど、本気かい?」
話題をこれからの事にかえるターロ。
「ああ。事前に許可も取らずに公言してしまって済まなかった。しかし、私の決意は分かって欲しい。迷惑だっただろうか?」
「いや、こっちは歓迎したいところなんだけどさ、でも、まあ今更だけれど、結構危険だと思うんだよね。天使に目を付けられちゃってるっぽいし。皆も聞いてほしいんだけれど、これからは今までと違って、いつ天使に急襲されるか分からないでしょ? 危ないから先にケパレーに行っていてほしいんだ。あ、メトドさんはできれば一緒に来て欲しいって言うか、、、道分からんし、、、」
格好のいいことを言うかと思いきや最後は締まらないターロにメトドは笑いつつ、
「ターロ様。皆お供したいと思っていますよ」
と言った。
「でも正直、命の保証はないって言うか、、、。あれで、名無し、って扱いだよ。更に上がいるっていうじゃん」
「だからこそ皆で行ったほうがよいのでは?」
「まあ、そうだけれど、、、」
「わ、私もお供します!」
テュシアーが意気込む。
「私の魂力はきっと必要になると思うんです」
というテュシアーに続いて、アウロも、
「僕だって!」
と胸を張る。
膝の上のドーラも、まさか私を置いていったりしないよね、という目で見上げてくる。
「そっか。ありがとうみんな。誰も死なないように頑張ろう」
皆の決意を知り心配ではあるが嬉しいターロに、
「私も付いていくぞ。魂力こそないが、空での戦いなら、力になれる」
カルテリコスも改めて同行の意志を示した。
「ああ。頼りにしているよ。ただ、もう一度言うけれど、どんな辛い目にあうか想像もできないし、俺達の手に余るような事が起きるかも知れない。その覚悟があるのなら、だよ?」
「ああ、覚悟の上だ」
「なら、宜しく頼むよ」
こうしてまた一人、旅の仲間が増えた。
メトドの体力が戻るのを更に二日ばかり待って、いよいよ出立となる。
次は山岳の国"プース"。
「皆に膿を出してもらい綺麗になったこの国を再び汚さぬよう尽力する」
オケイオンは別れの挨拶としてそう皆に宣言した。
「お世話になりました」
と言うターロに、ちびっこ達が、いかないで〜、と纏わりつく。
「こらっ、先生が迷惑しているでしょ」
と母親達が引き剥がしていくが、隙きを付いて戻ってくる。
(しっかり抑えておいてください、お母さんたち)
と、涙と鼻水まみれの子供達を見てターロは思った。
もう少し大きい青空教室の生徒達も沢山見送りに来ている。
教えていたテュシアーとアウロに群がり、生徒たちが別れを惜しんでいる。
特にアウロは、女の子達からの猛攻を受けていた。
親が付いてきて、婿に来ないか、とアウロに提案する者までいる。
勿論、ターロは助けない。
ちびっこ達の鼻水が付かないようにするのに精一杯だったからだ。
青空教室の成果はかなりあったようで、オケイオンは身分に関係なく学べる学校をつくる、と言っていた。
「では従叔父上、行って参ります」
カルテリコスがオケイオンに言う。
「うむ。お前が立派になって将軍に就いてくれるまで、この国をしっかり守っておくぞ」
子のいないオケイオンは、心の中で我が子のように思っているカルテリコスの旅立ちの姿に、目を細めてそう言うのだった。
これで、第四章は終わります。
次回、第五章、山岳の国”プース”編が始まります。
が、恒例の幕間の挿話があります。
今回は大賢者イッヒーと若き日のロエーです。
もう書き上がっていて、結構いい話になったと思います。
其の分長くなりましたが、、、、。
ご期待ください。
出来ましたら、この下の広告の更に下にある星でポイントを付けて頂けますと、励みになります。
宜しくお願いいたします。