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其の男、異世界の木鐸となる  作者: 岩佐茂一郎
【第一部】第四章 草原の国 ”スケロス”
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4-16 光輪の魔法陣

「左脇の下です」


制御魔法陣の位置をメトドが皆に知らせる。


天使は片眉を上げ、


「ほう、こうも簡単に見抜くか。煩わしい」


光輪の魔法陣を構築してメトドに飛ばした。


「!!」


ゴーレムの相手をしている者は勿論、他の者も咄嗟の事で反応できない。


魔法陣を内包した光輪はメトドの頭上で止まりそのまま下がって胸よりやや下で止まる。


そしてメトドを締め付け始めた。


「ぐぅっ」


メトドが痛みで膝から崩れ落ちる。


「メトド様!」


テュシアーが駆け寄った。


ターロも天使を警戒しながらメトドの方に近寄る。


「先生! 少しなら時間を稼げます! メトド様を!」


とアウロが叫び集中し始めた。


「アウロ! 無理はするな!」


ターロの心配をよそに、アウロは心の中で唱える。


(僕、アウロは我が名において、呼びかける、水の精霊、”・・・・”よ、お願い、助けて!)


真名を呼ばれてこの世に出てきた水の精霊は、ありったけのアウロの魔力を浴びてその身を顕現させた。


『”お願い”、だなんて、かわいいわね!』


現れた精霊がかなり上位である事はひと目で分かったので、


(ちょっとなら任せても大丈夫かな?)


急いでメトドを見るターロ。


光輪は束縛系の魔法陣。


どんどん縮まっていって、終には対象を切断するというものらしい。


その内側に手を入れても、


ジュッ!


と手が焼けるだけだ。


メトドは内側から魔力で抵抗してなんとか耐えているが長くは保たないだろう。


「クソッ! 解呪しなくちゃ!」


ライブラリ(温故知新)を開いて何かいい魔法はないか探すも直ぐに見付からない。


そこへターロの横にいたテュシアーがいきなり輪に手を入れた。


「テュシアー! 無茶をするな!」


ジュウウウッ!


「ああああーーーーっ!!」


焼ける手の痛みに悲鳴をあげながらも離さない。


「わ、私にメトド様をお救いする、は、破邪の力を!」


テュシアーは話に聞いたゾーイの世界樹の葉茶や、目の前で見たモノミロスの精霊銀(ミスリル)頸環(トルク)を強く思い浮かべ、焼ける手に全身の魔力を込める。


(ターロ先生に教わった通り、強く、鮮明に想像すれば!)


これ以上そうさせておくと彼女の掌が焼ききれてしまう、引き抜かせなくては、とターロが動こうとしたその時、


バリンッ!!


薄硝子が割れるような音がしたかと思うと、光輪が砕け散った。


「おお!!??」


驚きの声をあげるターロ。


テュシアーは自分の焼け爛れた掌を見て放心している。


「、、、テュシアー」


メトドが肩で息をしながら、テュシアーの名を呼んだ。


はっとなってメトドに向き直るテュシアー。


「メトド様! ご無事ですか?」


「ああ、ありがとう。貴方のお陰で助かった」


「あ、、、よ、よかった、、、」


安心して脱力するテュシアー。


その手をメトドがとり、


「こんな怪我までして、、、ありがとう。さぞ痛かったろう。【ヒール(治癒)】」


と唱える。


手を握られて嬉しいのか、テュシアーは微笑みながらこんな事を言った。


「うふふ、、、これで、おあいこ、ですね」


メトドが自分を止めるために刃を握って怪我をした事を言っているのだろう。


(なんか、俺、、、邪魔じゃない?)


ターロは馬鹿らしくなってアウロの方を見て、驚いた。

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