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39-2 食い合わせの悪い凱旋祝い - 肉の時間 -

「おいおい冗談だろ!? 久々に酒が飲めるかと思ったら、ケーキをつまみにしろだぁっ!? ねーわっ、ケーキがつまみとか、絶ってーねぇわ!!」

「ええ、ですからここは……」


 バーニィはちょろいものでした。

 彼の仕事場を訪ねると、そこには小さな住宅街が生まれていました。


 それはネコヒトの民のための家々で、バーニィの頭が天井に付きそうなほどのミニチュアサイズです。

 その光景は、わたしたちは共存を始めたのだという、実感を与えるに十分なものでした。


「バーニィさんが行くなら僕も行く!」


 一緒にイヌヒトのラブレーも釣れました。

 肉もバーニィも大好きなワンコは、尻尾をブンブンと振って、倉庫の肉を取り出しに向かいます。


「この我が輩に働けと言うのかね? しかも、錬金術のビックリドッキリマジカルではなくっ、給仕のように肉を焼けと言うのかね、正気かねネコくんっ!?」

「ですが、あなたも今日はお酒を飲めると踏んでいるのですよね?」


 次はゾエを誘いました。彼女は彼女にしかできない仕事を担っていますが、普段からあまり勤勉に働いているように見えませんでしたので。


「当然である。ネコくんの帰還祝いだ、さぞや豪勢な夕飯なのだろう! 君がいればコッソリと、カスケード・ヒルに酒を買いに行くこともできよう! 今夜の吾輩に遠慮などする気など、ぬわぁぃっっ!!」

「戦場のど真ん中を、敵に気付かれないように突っ切って酒を運んでこいと? いえそれより、今夜の夕飯はこのままだとケーキです。つまみはありません」


 ご機嫌だったゾエが顔を凍り付かせました。

 今日は飲んで、食って、歌うつもりだったようですね。


「…………愚かな。ケーキはつまみではない! それでは酒が辛くなるではないかね!」

「では肉を焼きましょう。手伝って下さい」


「焼き肉かっ、よかろう! このゾエに任せるがよいぞ!」


 後はワイルドオークのジョグと、石工のダンを誘いました。

 それからパティアのメギドフレイムを壷に収めて、城門前に運ぶと肉の運搬が済んでいました。後は焼くだけです。


「なぜ逃げるのかね、ラブレーくん? 我が輩はこれで、ワンワンが大好きなのだよ。さあ寄れ、ちこう寄れ、待ちたまえ、なぜ逃げるのかねっ!?」

「ヒャッヒャンッ……。だって、臭い……!」


「ガーンッッ!? 乙女に対してなんという言い草! グサッと突き刺さったよ君ぃっ!?」

「え、あ、ごめん……。でもゾエさんって、変な匂いしますよ……」


「まさかの追い討ちかね!?」


 わたしも同感です。ゾエからはきつい匂いがします。

 体臭ではなく、薬品のような何かが香るのです。


「バカなこと言ってないで手伝って下さい。なぜ主賓のわたしが一番働いてるのですか」

「ははっ、そりゃパティ公に美味い肉を食わせてやりたいからだろ。うっし、こっちはOKだ、ローストにしよう」


 バーニィがボア肉を肉焼き機にくくり付けました。

 それをその下部に設置された、壷入りのメギドフレイムの遠火であぶります。

 ちなみにその地中にも葉で包んだ肉を埋めて、蒸し焼きにすることにしました。


「こんな危険極まりない炎と共存しているのは、この里くらいであるな……。ぐーるぐーる……これでいいのかね?」

「もうちょいゆっくり頼む。おっ、早速集まってきたな」


 肉の表面が焼ける香りが、農作業をしていたネコヒトの民を引き付けました。

 このままでは夜までに焼き切れないと、わたしが同胞に助力を求めると、彼らは喉をゴロゴロと鳴らして手伝ってくれました。


「やっと生還したベレト様に、こう言うのは抵抗があるのですが……」

「里の仲間が心配です。どうにか、こっちに呼べないものでしょうか……」

「それは現状難しいでしょうね。サレの援助なしだと、食料や住処の確保も簡単ではありませんから……。まあ、おいおいでしょうかね」


 そうなるとますます、ここがネコタンランドになってしまうのが困り物でした。

 こうしてネコヒトの民の助力を得たわたしたちは、夕飯までに焼き肉パーティの準備を整えました。


分割の都合で文字数ひかえめになります。

次回のエピソードに期待していて下さい。誤字報告助かってます。ありがとう。

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