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31-4 スケベ心は男をアホに変える呪いである…… バーニィ・ゴライアス

・一晩で己の株を大暴落させたうさぎさん


 へへへへへへ……ネコヒトの野郎に最後はひっくり返されちまったが、まあ結果は悪くねぇ。

 アレのおかげで、混浴が本当の意味での混浴になってくれたんだからな。


 つまりよ、恥じらい深い連中はさておき、クーちゃんみたいなド天然で無自覚なタイプとご一緒できるチャンスが増したのよ。

 そこにパティ公が加われば、うっかりのハプニングもあり得る! いや起こるのを辛抱強く待つんだ。


 そんでよ、俺は人妻アンさんとネコヒトの協力してもらってよ、折り畳み式の仕切り作りを進めた。

 作業を滞らせる理由もねぇ、2日で完成させたよ。


 アンさんが作った錫製の金具で、俺の整えた木板を止めて、ネコヒトの提案通り折りたたみ自在、2つの湯を開け閉めできる仕組みにしたよ。


「へへへ……」


 さあ今日もあの賑やかな晩餐が終わった後は混浴だ。

 混浴でも別にかまわねぇって連中がここに集まってくる。


 ただまぁ……当然だががっちりと見えないようにガードしてるんだよな。あのクーちゃんであってもだ。

 まあそこも折り込み済みだ。それに今回のターゲットはクーちゃんじゃねぇ……マドリちゃんよ……。


 今日はクーちゃんとパティ公は女湯の方で済ませた。

 で、残るのはマドリとアルスくらいだ。だがよ、賢い俺はアルスの方をラブ公に足止めさせた。


 あんなスケベ騎士と一緒に風呂に入るなんて、マドリちゃんがかわいそうだからな。

 全くあの野郎ときたらよ、どんな育ち方をしたらああなるやら、親の顔が見てみたいってもんだ。


 まああの通りのチャラい男だ、親の方もさぞかし始末の悪い性格してるんだろうな。


 いやあんなやつはどうでもいい。それより聞いてくれ、俺は秘密兵器を用意しておいた。

 ほら見てみろ、一見なんの変哲もない、工事途中の風呂に取り残された木箱だ……。


 しかしその実体は、ハハハッ! 俺がそん中に入ってるのよ! どうだまいったかっ、これなら標的は無防備に肌をさらすという寸法よッ!


 ま、ちっとばかし中がジメジメしてて、サウナみてぇに息苦しいが、これも目的のため、俺はチャンスが訪れるのを待ち続けた。

 神よ、俺ぁアンタに感謝してるぜ。俺たち男をスケベに創ってくれたことによ!



 ●◎(ΦωΦ)◎●



「良かった……今日は誰もいない……」


 来た! ドンピシャだ、そこにマドリちゃんが現れた!

 のはいいんだが、くそ、おかしいな、実験した時よりより湯気が多くてじゃまくさいぞ……。


「いっそ湯着とか、クークルスさんにお願いした方がいいのかな……」


 いやいや残念だがそうはいかねぇのよ。

 クーちゃんは子供たちの春着作りをがんばっている。その後は俺たち大人に服を作ってくれるそうだ。


 だから湯着は良くてもその後になるってわけよ。


「~~♪」


 マドリちゃんは肌を布で隠したまま、湯船に近づきそれを桶ですくったよ。

 で、真面目なもんだからまずは身体を洗い始めた。


 食堂で披露してくれたチェロの旋律と、同じ鼻歌を歌いながらな。

 ああ、白くてよ、なんて綺麗な身体だろうか……。


「ふふふ……僕って自分が思っていたよりずっと、音楽が好きだったんだな……」


 マドリちゃんはほっそりとして、だが妙ななまめかしさがある。

 しかし、しかしここからだと遠いな、それにやっぱ湯気が邪魔だ。仕方ねぇ、こうなったらもう少し近付いてみるか……。


「ん……?」

「げ……」


 しまった、木箱に入ったままで距離を縮めようとしたが、俺のバカ野郎、床に底を擦っちまっていた。

 マドリちゃんが不思議そうにこっちに振り返る。そこに俺はいない、あるのは木箱だけだぜ……。


「あれ……なんだろあの箱。バニーさんが片付け忘れたのかな……」


 おおっ見えた……!

 胸はないがやっぱ綺麗だ……いや、本当に胸がないな……? 思っていた以上に、驚くほどに育っていない……。


「んん、疲れてるのかな……」


 マドリちゃんはいい匂いのする石鹸の泡を、湯をかぶって洗い流すとこっちの方に来た。

 ああくそ、マジで湯気が邪魔だ! おかしいな、こんなに湯気濃かったか!? 下が、下が見えねぇ……どうしてだよ神よ、俺たちゃスケベ仲間みたいなもんだろ!?


「はぁぁぁ……気持ちいい……」


 頭ん中で自問自答してたらマドリちゃんが湯船に下りていた。

 それからゆっくり湯に浸かって、天使みてぇにまたあの鼻歌を歌う。


 ああそれにしても、暑い……蒸れる、木箱ん中、マジでサウナみてぇになってんぞコレ……。

 いやしかしそのときだったんだよ!


「泳いじゃおうかな……えっと、こうやって……ふふふっ、はしたないかなこういうの……。あは、あはは、これ楽しいかも……」


 マドリちゃんが浴槽の端に掴まってばた足の練習を始めたんだよ。


 尻……白い尻が、揺れて、水面に浮かんで、沈んで、おぉぉ……ま、まずい、木箱の中の熱気と興奮が重なってクラクラしてきたぜ……。

 そんくらい刺激的な光景だ、ちっちゃくて引き締まった良い尻が自由奔放に揺れてたんだよ!


「ぜぇぜぇ……」

「ぇ……!?」


 ところがまた俺のバカ野郎! 暑さと興奮に乱れた呼吸にマドリちゃんが驚いて、せっかくの芸術的絶景を止めちまった……。

 惜しい……可能なことならこの呼吸を止めてやりたい、何をやってるんだ俺は……ぜぇぜぇ……。


 マドリちゃんが無邪気にはしゃいで尻をだな、尻を……ヤベ、ホントに暑い、頭ん中が揺れてる……。


「あれ……ん、ん~~……?」


 ヤバい、ヤバいこっち見てる、木箱の隙間を見ている気がする……。

 誰もいねぇよ、そこに誰もいねぇって、へ、へへへへへ……いるけどな俺が。


「ちょ……まさか、まさかそこにいるの、バニーさんですかっ!?」


 バレたか……。しっかしおかしいな、いきなり俺を名指しってどういうことだ……?

 アルスって可能性だってあっただろ。そこはさすがはマドリちゃん、って言ったところなのか……?


「だ、誰もいねぇよ……?」

「ひっひぇっ、やっぱりいるじゃないですかぁーっ!?」


「まあちょっと、サウナの実験をしてただけで、ぜぇぜぇ……深い意味はねぇんだ、な? ま、バレちまったもんはしょうがねぇっ!!」


 俺は木箱から飛び出した。

 ああっ、そしたら外の世界がなんて涼しいことよ!


 俺は素っ裸の仁王立ちでサウナ上がりの快感に浸った。いやこれはこれでありかもしれねぇと思ったね。


「ちょっちょっとっ、隠して下さいよっ前っ! ていうか私っ、私もう失礼しますっ、バニーさん……こういうの、こういうのもう勘弁して下さいっ! バニーさんはエッチ過ぎますよぉっ!!

「もう上がるのか? って、おーい? もういねぇ……」


 まずったか……?

 いやでもマドリちゃんはいい子だし、他の連中にチクったりしねぇよな……。


 マドリちゃんは浴室から逃げるように――っていうかそのまんま逃げてった。脱いだドレスを小脇に抱えてな。


「やっぱ暑っ、クラクラしやがる……。はぁぁ……へへへ、いやぁ良いもん見たなぁ……いやっ、しかし、しかしよ?」


 ビックリするくらい、マドリちゃん胸がなかったな……あれが俗に言うAAAってやつか。

 だが綺麗な身体だったな、本当に華奢で可憐で綺麗でよ、へへ、うへへへへ……まったく閃きに従って正解だったぜ。


 いつか死ぬときはよ、あのばた足で揺れる尻を思い出しながら安らかに死にてぇもんだ。



 ●◎(ΦωΦ)◎●


・(ΦωΦ)


 その翌日、木箱はリードからの相談を受けた何者かによって撤去されていたそうです。

 まさかそこまでするとはわたしだって予想しませんでしたよ。


 バーニィ……いい加減に(・・・・・)して下さい……。

 他の連中がこれを知ったらあなた村八分にされますよ……。


 あなたはとても賢く、機転が利いて、里の皆のことを考えられるやさしさと頼りがいがあるというのに、どうして女のことになるといつもいつもそうなんですか……。


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