第5話 効果覿面ガッツドリンクだが使い道は?
他サイトでは載せていた部分が少し始まります。
俺はガッツドリンクとやらを飲み干した。うん、味は普通に悪くない。味だけでも体の不調が回復していくような感じはした。別に具合が悪いわけではないが。
「おぉ?」
体も変化していくような感覚に襲われる。やっぱり怪しげなドリンクだよな。
「おい! 雷徒っち、雷徒っち」
「あぁ? なんだよ、光羅うるさいな」
やけに奴は慌ただしく俺に声をかける。こいつにも慌てるということがあるのか。いや、俺が落ち着きすぎているのか。
「雷徒っち、体がやけにムキムキになっているぜ」
う~ん? 俺は腕など自分の体を触ってみる。
「そうだな」
「軽っ!」
べつに、体が丈夫になっていいじゃないか。あんまり筋肉ダルマでも暑苦しくて嫌だけどな。
ふと、俺は閉店した店の窓ガラスに写る自分を見る。というか見てしまう。
「誰? あれ」
「ん~。反射してみえたのかよ。雷徒っちだよ」
は?
そこには、バトル漫画でお約束の下半身だけは破れないがあとは素っ裸の筋肉マッチョがいた。違う、下着ごと破れていて素っ裸だ。下半身のあれも立派にでっかくなっている。
「おい!」
俺はガチャガールことメッサリーナにガンつけて怒鳴る。
「これはどういうことだよ! メッサリーナさんよ」
「ひいぃぃぃ、知りませんよ。ていうか変態! こっちに来ないでください」
「お前はナビ役だろ? どうにかしろよ」
しかしながら、メッサリーナは顔に手を当てて恥ずかしながら逃げていく。エロい格好しながら生娘かよ? 何もかもいい加減だな。
メッサリーナを捕まえることができる。しかし、この格好だ。やる気満々の暴漢魔が女を追いかける構図にしかならない。マズイな。
「おい、光羅」
「なんだよ、雷徒っち」
「メッサリーナをこっちに連れてこい」
「ええ! やだよ。 俺が悪い感じになるじゃん」
「断るなら、お前にも力ずくでこのドリンク飲ませるぞ」
普通なら拒否するだろうが光羅が俺の体躯をみて判断する。わかるだろ? この圧倒的な見た目の強さを。だけど、俺は口が悪いが人を殴ったことない。本当だぞ。
「しゃーねっすわ! 雷徒マッチョ兄貴に従いますわ」
「それでいい」
エロい格好した娘が男子校生に追われるのもアレだが。俺よりかはマシだろ。
光羅は意外と足が速い。こいつは陸上やっていたからな。口だけの俺とは運動能力だけは違う。見ろ、奴のカッコイイフォームの走り方を。そこだけは奴を認める。さあ、メッサリーナを捕らえてこい。
「フフフ」
なんだか悪役の俺は素っ裸で笑うのだった。というより、やることがなかった。
しばらくして、女の子の悲鳴が聴こえる。さすがの俺もドン引きしたが、それを命じたのは俺なんだよな?
「イヤー、イヤー離してください」
男に捕まって連れこられる女の子……。光羅も悪くなったもんだ。
「光羅、ほどほどにしておけよ」
「雷徒っち、酷くね?」
とりあえず、光羅の非難を無視して目的のメッサリーナに対峙する。
「そ、そんな格好で何するんですか?」
こいつ、自分の役目というのがわかっていないのか? どうせ、いやらしい事されると勘違いしているんだろう。三次元女には興味がない。用は……。
「おい! メッサリーナさんよ、ガッツドリンク飲め」
「へ?」
メッサリーナは意外そうな表情をし、俺を見つめる。というか、なるべく俺の股間を見ないようにしているのだろうが、視線が股間と顔と行ったり来たりしている。お前は興味津津だな。スケベはそっちだろうが。
「俺がこんな体になった悲しみわかるよな?」
「え? ええ、まあ」
「だよな。お前も同じ苦しみを味わえ」
「ええ!」
こいつにも飲ませてマッチョにしてやる。マッチョ女にしてやる。腹いせだ。
「だ、大丈夫ですよ。ガッツドリンクの効能は一日ですから」
「一日もこの状態になれと? せめて服を用意しろよ。俺の今の体格じゃ、なかなか俺に合う服売ってねえぞ! つうか、服買うにもガチャだろ?」
「そうですね。せめてその、おち……なんでもないです。言えません」
「お前、俺に羞恥心がないと思うなよ? こういう時の対応マニュアルはないのかよ?」
「いま、調べます」
今からかよ。どうしようもないサポート役だな。まあ、方法がないよりいい。
しばらくして、メッサリーナはどこからだしたのかわからない大きい本をみて『あっ』と叫ぶ。朗報でいいんだよな?
「わかりました。5000コインですがガッチャで下着だせますよ」
「たけぇな、おい。そのガチャはどこにある?」
「いまから、だしますよ。えい!」
そう言うと、毎度、どこからでてくるのか分からないがガチャガチャがあらわれる。
とりあえず、5000コイン突っ込んでガチャをまわす。早く全裸から開放されたい。
「待ってください!」
「ああ? なんでだ」
「男女混合なんですよ!」
「それを早く言え!」
回しちゃったよ。もう、あとは運任せだな。俺はサイズ以外で問題を考える。あまりはいても痛々し格好にならないパンツがでてくるのを願った。そして、カプセルをあける。
「や、やりました! SSSトリプル エスです。超レアです。誰でもはける伸縮自在のパンツ、クマさんのおパンツです!」
またかよ、レアなのに役にたたないもの手に入れちゃった。しかも、このパンツどうみても女児がはくようなデザインだよな? キツいわ!
「さ、ささささささぁ、はいてみてください」
メッサリーナも『うわ~、これ、きっついな』って顔してやがる。
「できるか!」
「このままじゃ、全裸ですよ!」
確かにそうだが、はく、はかないをどちらも選んでもアウトといえる状態だな。しかし、サイズが大丈夫なのか? さっき伸縮自在だとか聞いたが。
それでも、手持ちのコインがないので仕方なく挑戦してみる。伸びる、伸びる、これは俺の巨体でもはけそうだぞ。
「どうだ?」
「と、とととととてもカッコイイと思います」
嘘つけ! コラ。限界だという顔をしているじゃないか。ちょうどよく俺の股間にはまった女児のパンツにかわいらしいクマさんの絵が施されている。俺は終わったな。
「あ~あ。雷徒っち、社会の敵だわ、それ」
俺もそう思うからムカついてしまう。光羅には無理やりガッツドリンクを飲ませる。
「ちょ、ちょっとやめろよ。雷徒っち! ラメ~!」
しかしながら、もう一体のマッチョが生まれる。いけねえ、奴の着るものを考えていなかったわ。
だが、奴は俺よりマッチョにならなかったギリギリだ。ちっ、奴め、吐き出したな。しかし、来ているものがピチピチでキツそで苦しそうだ。ざまあみろ。
そして、問答無用にメッサリーナにも飲ませる。力ずくなので吐かせる行為もさせない。
「ちょ、ちょっと、マスターなんて事をするんですか! ラメ~!」
「仕返しだ。お前もムキムキになるがいい」
マッチョ女か、もしかしたら笑えるかもな。と、ほくそ笑んだが、予想に反して今よりさらにセクシーになる。ああ、そうなるのか。そうなるのね。
「ちっ、やるじゃねえか」
「何がですか~?」
「とりあえず、こんな格好でコンビニに行けねえな」
「俺っちだって、怪しまれて帰宅もできねえよ」
「私もです。勝手にマスターの私物使ったってバレるのが困るので本部に帰れません」
はて? 本部? まあいい。問い詰めるのは後だ。
「俺が一番不味い。ところで、お前ら、とりあえずはどこかに雲隠れしないか?」
「そうだな」
「そうですね」
途方に暮れるバカ三人がそこにはいた。恐るべし! ガチャハザードとでも言っておくかな。
どうしたものか? どうにもならないよな? 俺一人が犠牲にならなかったってところが唯一の救いだ。
雲隠れする場所を三人で話し合う三人がいた。その光景は痴女とマッチョ二人だ。誰にも見られていないことを祈る。お願いだから。