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第1話 しがないラーメン屋

三年前のエターナルな作品そして処女作、時間をもてあそんでいるので真面目に改稿、進行しようかと思います。

短めに行きます。

変わった話ですが気に入っていただくと幸いです。


「お疲れ様でした!」


「おう! 」


 廃れ果ててゴーストタウンと化した商店街のとあるラーメン屋に俺はいる。

 

 そこで働く俺。理由はただひとつ、いい加減にやっても小遣いを稼げるからだ。

 

 いや、本当、飲食店で働く人に怒られる台詞だけど……。雇い主のおっちゃんが本当にいい加減でずぼらで適当。社会人じゃない俺のほうがハラハラするくらいである。


 職場の話を漏らすのは内部の者として良くないが……。例として、衛生面がなく、掃除をあまりやらねえ……。


 怖いのは洗わずの食器をそのまま再利用している。流石にどうかと思うのでおっちゃん指示なしでそういった雑用は早めに俺がやる。まあ、俺の仕事だけどな。


 つうか、流し台以外にちゃんと食器洗浄機がある。使わないのだ。使い方が知らないらしいのだ……。なら置いておくなよとツッコミもいれたくはなる。


 未然にやらないと洗ってない食器を使うどころか、汁を残したお客様のどんぶりに替え玉いれて、別のお客様振る舞う雇い主である。正直イカれてると思う。そういった危機感を消去するために自主性が育まれる素晴らしい職場なのだ。


 まぁ、それでもガチで頑張る商売をするところより自由すぎて楽なのでやめられないところである。ぎすぎすしてないし、怒られないし、暇ならスマホで遊んでいるし。まぁ、結局、俺と雇い主のおっちゃんは同質の人間だからね。


 しかし、いい加減なのにこの店は潰れないんだよな。コンビニ以外、店じまいで夢も娯楽もない商店街だからな。消去法でこの店に人が来るんだろうけど。


 まあ、ちょっとした居酒屋はある。おっちゃん行きつけ専用の店らしい。要はおっちゃんしか行かない店。繁盛しない店に寄り付いてどうしたもんかね。愛人でもいるのか? 息子ではないので爛れた行為なんぞはお好きにどうぞだな。


「コラ! ボケッとしてないで働く!」


これはおっちゃんの台詞ではない。同世代の女の声だ。鬱陶しい。


「はぁ? 店仕舞いも掃除も明日の準備もしたし、やることがない」


 で、問題はコイツだ……。唯一の障害である、おっさんの娘。

 

 コイツがいると仕事が怠けないどころか仕事の指摘が多くて面倒臭い。実際、仕事ができるようになったのはコイツのおかげでなんだけどね。ここで働くきっかけもコイツが誘ってくれた経緯なんだけどね。ありがたいハズだけど鬱陶しい。


「いつも通り、チェックしなよ」


「ハァ? チェックされずともやりなさいよ」


「大丈夫だ」


「本当に問題ないのね」


 くどいな、イライラする。二度も言わせるな! 動揺させて不安がらせても失言はしないのが俺という人間。


「恫喝してビビらしてから、ちゃんと確認力高める癖をつける狙いは通用しないぞ! おじさんに上がることができる状態であることを前提で挨拶したわけだしな」


「ふぅん、問題ないわけだ」


奈智(なち)雷徒(らいず)君はしっかり働いているぜ」


 おっちゃん! ナイスフォロー! いや~雇い主だけはある。関係ないか。


「お父さん、しっかりやっているではなくて、やることを全部を終わらせいるか聞いているの」


「あとは、俺がやるからな」


 おっちゃんの通常運転のやる気なら、もう仕事はないと言っていいけどな。


「そういうことじゃないし、お父さんに任せるのが一番不安なの!」


 まぁ、それ事態は俺も思うけど……失礼なので黙っているのはいつものこと。


 自己紹介が遅れたけど、俺は、秋上(あきがみ)雷徒(らいず)だ。名前のセンスは親の責任なのでどうもこうもない。好きでも嫌いでもない。


 で、胸中ではコイツ扱いで呼ぶ娘はワーカーホリック……じゃなくて、若堀奈智(わかほり なち)って名前だったけ? おっさんは忘れた。若堀おっさんです。


「雷徒も、お父さんに仕事の意見や考えを述べなさい」


「何故にいつも呼び捨て?」


「べ、別に幼なじみだし、それに……」


 いや、コイツとは馴染んでいないし、幼いときにエンカウントをおこしていない。高校でクラスが同じだけでしょ。ここに働いてから家が近所だと知っただけだし。


「雷徒君、そこは察してやれ」


 おっさんがニヤニヤと嬉しそうに言う。さっさと居酒屋社長さんに行け! 社長さんというお店の名前ね。


 で、だ。


 いや、もうね、気付くよね、それは。好意があるのは。コイツに抱く感情はめんどくさい以外にはあまり興味がない。


 どうして実家の店をバイトに誘うかと勘ぐったことがある。恋路の路線もあるかなとはおもったけど、安直な考えは正解を匂わせる。内の人間したい素振りで厳しくしている感があるので面倒臭い。いや、容姿は悪くはないんだけどね。


 出会いは同学校の同クラスで趣味のテクニカルデスメタルバンドでとあるバンドの布教を誰かまわずやっていたらで……。


 テクニカルデスメタルバンドっていうのはメタルの一つのジャンルって程度で理解してくれ。俺も上手く説明できない。俺の趣味を勝手にいうがメタルはいいぞ~♪


 クラスに洋楽ファンは多数いるが俺の趣味センスの理解者はゼロだ。コイツこと那智も同様だ。なのに、なぜ俺に近づく? ウザがれて距離をおく奴らは増えたのにな。別にいいが。


 一人だけ俺の趣味センスの理解者はいるんだが……。


 おっちゃんね。気にいってくれたのは嬉しいが、許可なくお店に曲を流すのは問題あるぞ。よくしならないが商業的にふれるはず。まあ、問題おこしても俺は困らないからいいけどな。

 

 この曲、正直に言って店の雰囲気と合っていないんだよね。デスメタルだからね。


 まあ、那智と鬼気迫る言い争いのときに流れる時だけは曲の雰囲気が場にあっているけどね。音楽聴いている場合じゃないけどね。

 

このバンドは名前は伏せるがオペラ調とデスメタルが融合した感じで本当に映画のバトルやハザードシーンに使えて俺と那智との争いをいい感じ再現してくれるだよな! やってくれる。流石、おっちゃんはラーメン業界のパスファインダーだよな。違うか……。


 キレているときの那智はブサイクなんだよな。そりゃ、誰でもそうだけどね。


 普段は可愛いんだから、怒るとブサイク、ブサイクなんぞと言ったら、さらにブサイクになるというか、奴の癇癪をおさえてやる自信がない。それこそ、ラーメンの出汁にされる。本当は見た目だけは可愛い女なんだよ。


 なんだけど、現実の女の子より携帯ゲームに出てくる女の子の方が好きなんだよな。

 

 二次元の女の子ね。

 

 頭がおかしい? わかっているけど、治らないんだよね。加えて、俺は一人の女の子に固執する感情ってないから、今日もバイトで稼いだお金で課金してソシャゲーで新しい女の子を探す毎日。

 

 楽しみがこれしかないから、自身でも将来的にペラペラで中身なしの成人になる予感がして怖い。だけど、やめられない、とまらない♪ これ、中毒ですか?


 つうか、なんで? そんなキモオタデスメタラーを惚れているんだ? 俺は人に好かれる要素がない。俺の勘違いだろ? 勘違いであってほしい。直接的に告白されたわけでもないから気のせいだよな?


「雷徒、携帯いじりながらニヤニヤしない。卒業したら、店を継ぐんだからしっかりして!」


 この言い様で勘違いと思うのが不思議というもの……。ハッキリと言いたい、強引だよね、と。


「いつから、後継ぎになったことにしているの?」


「ハァ? 面接した時に」


「面接やってない、記憶を改ざんするなよ!」


「気づきなさいよ! 気づきなさいよ!」


 連呼して、怒らないでほしい。これで、自分の鈍感である希望が断たれる。勝手に人の将来を決めないでくれ。将来の夢はないけどね。


「奈智、雷徒君と痴話喧嘩は部屋に行ってやりなさい」


 部屋って、アイツの部屋でしょ? 嫌だな。それにしても、あんたの愛娘相手でしょ? 適当だな、このおっさんは……。


 別にいやらしいことなど何一つ期待をしていないし、やらない。現実を美化しない俺は那智を抱いたとしても、超高校生級の絶望に陥るだけ。那智本人を悪く言っているわけではない。


 現実で人間の美醜に興味がないだけ。


 ぶっちゃけると、どんなに美しい容貌だろうと、美しい心だろうと、所詮人間というのはう〇こを内蔵しているのにお高くとまった美意識でいる動物だと気づかないのだ。


 自信を汚れたような表現をする奴も同様、自信のピュアを保ちたいだけ。

 

 で、持論はいいのだ。というより早く、課金ガチャをする為に帰りたい。でも、話は続く。


「ハァ? お父さん、何を言っているの? 雷徒、私の部屋に来なさい」


 嬉しそうに言う。言葉がなんか変。こいつは何デレと分類するのだろう? 


「いや、正直に言うとね。今日はいつもやっているソシャゲーの新装ガチャがあるから暇じゃない。楽しみにしているんだよ。また、今度にしてくれ」


「そんなの、私の部屋でも出きるじゃない」


「えぇ! 人をそっちのけにして携帯いじる奴って不愉快じゃないのか?」


「いつも仕事中見かけているから、充分不快ね。私とゲーム、どっちが大切なの?」


 いやそこは、私と仕事じゃなくてか? 大切なのはソシャゲーだけど、生身の人間を目にして、その言葉は酷いと思うのでコイツが優先と答えるしかないのだろうけど、なんか嫌だな。


「それは、若堀の方が優先すべき相手だよ。でも、ガチャ回すのがとっても好きでしょうがないんだよ」


「どうしようもない病気ね。あと、奈智で呼びなさい」


 嫌だよ、距離感を縮めたくない。


「うるさい奴だな、どう呼ぼうと俺の勝手。仕事が終われば何をしようと俺の勝手。じゃあ、さようなら。帰ってガチャをぶん回すぞ!」


「バーカ、バーカ、アホー! ガチャなんてこの世になくなれ」


「はいはい、さようなら」


 俺は別れをつげてから作業着を脱ぎ店から出る。夜の10時だ。労働のきまりで夜10時までしか働けないし、そのくらいで十分。


 お客様も来ないけど、おっちゃんは商売意欲がないから、この時間で閉店。もうちょっと、居酒屋の要素でもいれたら儲かるんじゃないのかな? 


 と思ったりするが酔っぱらいなんぞ相手をしたくないのでちょうどいい。つうか、おっちゃんはいつもどおりに居酒屋社長さんに行くのだろう。


 まあ、楽できて調度いいバイトなんだ……。アイツさえいなければ……。


 ふと、静まりかえったゴーストタウン、街の商店街で冷たい空気をすってから独り言ちる。


「ガチャなんか、なくなれ? バーカ、この世がガチャだけのシステムになれば楽しいだろうが」


 わかっていないな、当たり前に手にいれる物に価値などない。少なくとも俺は出し惜しみする宝を引き当てる事に快感を覚える人間なのだ。当たりもしないくじ引きよりマシ。


 そんな、馬鹿げた屁理屈なる言い分を心中に唱えただけでバチが当たることになる。全世界を巻き込んで……。

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