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俺、死す

ーーその日、齢28にして俺は死んだ。


死というのは案外一瞬だったらしく、俺はなんの痛みも感じることなく……死んだ。


そして今、俺はどこまでも真っ白な空間にフワフワと浮いていた。ここは天国なのかと錯覚したが、どうやら違うらしい。


「あなたは死にました」


……。突然そんなことを言われた。そう言ってきたのは、金髪碧眼の天使のような美女だった。艶めかしさというよりは清廉さが勝っていた感じの容姿だった。


「……あなたは死にました」


「分かったよ!2度も言わなくても、いいって」


「あなたの死はこちらも予想外でした」


「ん?まるで人の生き死にが管理されてるみたいな言い方だな」


「はい。そのとおりです。彼の星の生物の天命は、すべて私が管理していました」


「……で、俺の死は予定になかったと」


まったく状況が読めなかった。まず人の生き死にが決められたものだったなどと信じたくはなかったが、とりあえずその疑問は飲み込むことにした。


「はい。あなたはあと80年は生きられるように決められていました」


「へえ……108歳までは生きられたってか」


まったく信じがたい話だ。


「はい。そこで、原因の究明をした結果、こちらの者が彼の星に紛れ込み、あなたに接触してしまったせいで、あなたは予定外の死を遂げてしまいました」


「つまりそちら側のミスと……」


「はい。すみませんでした。よって、あなたに彼の星に未練がないようなら、転生権とギフトを差し上げようと思ったのですが」


「ん?地球には戻れないの?」


「はい。一度死んだ者は1000年の間は同じ星に生まれ変わることはできないようになっているのです」


「なるほど。まあ、仕方ないのかな……」


俺は物分かりの良い方だと自分でも思っている。ここは納得してやった方が、先方もスムーズにこの事態を処理してくれるだろうからだ。


「そこで、あなたに転生権とギフトを差し上げようと思っているので、どこか転生したい世界の希望はありますか?」


「んーー、そうだなあ……」


俺は前世ではゲームや小説が好きだった。他にも趣味はあったが、一番はゲームや小説だ。転生物の創作は数えられないほど読んできた。だから、この選択は今後をかなり左右することは明らかだった。


「候補とかある?」


「そうですね。超能力のある世界。剣と魔法の世界。モンスターの跋扈する世界などでしょうか」


「お!なら、剣と魔法の世界が良いかな!」


「了解しました。それではギフトを決めましょう」


ギフトとやらは、王道に乗っかればチートや個性の類だと俺は見ている。さて、どんなものがもらえるかな。


「王子なんかだと忙しそうですから、貴族の子息なんかどうでしょう」


お、よく分かってる。王子だと下手にやりづらいとか多いって王道だし。そのへんの領地を預かってる貴族の子息あたりが妥当なのは、まさに王道だ。


「それでお願いします!あ、できれば、あの、その……」


「どうしました?」


「前世で出会いに恵まれなかったもので……」


「分かりました。出会いの加護も付けますね」


「ありがとうございます!!」


「それでは、これからの来世をお楽しみください」


ーーそして、俺は意識を刈り取られた。夢にまで見た、異世界転生。早くも来世が楽しみだ。

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