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9 本気の超人さん

 父さんの太刀"(さくら)"は希少級(レア)の武器であり、とある能力がある。

 それは刀身の長さを変える事が出来るのだ。

 変形速度は早くないため戦闘にその能力を使って攻撃する事は出来ないが、間合いをずらす事が出来るので対人戦ではかなり驚異的な能力だ。

 今回は相手が人型であるオーガだが役には立たないだろう。

 しかし、今重要なのはこの太刀の攻撃力と耐久力なのだ。


 俺は刀身を俺のあったサイズに変更した。


 最初に攻撃してきたのはキデンサーだ。

 その異常な身体能力から繰り出される攻撃はとても速く、一撃でも受ければ致命傷だろう。

 太刀で受けても潰されるだろうし受け流そうにも困難だ。


 だが、それがどうしたのだ。

 当たらなければいいのだ。

 俺は余裕をもって回避する。


 前世ですら銃弾を回避したりナイフで弾いたりする事が出来たのだ。

 それならばたとえ10歳であろうと前世よりも遥かに高い能力ならばこの程度の直線的な攻撃は余裕で回避が可能だ。


 続けざまに来る攻撃を全て回避する。


「ガァーー!チョコマカト!」


 どうやらキデンサーは短気のようで回避すればする程攻撃が乱暴になり単調になっていく。

 カウンター気味に攻撃を加えてみるがその硬い緑色の皮膚に阻まれてこちらの攻撃も通らないようだ。

 もっと大きな隙を見つけて全力で攻撃せねば。



 その後の攻撃も全て回避し続け、キデンサーに決定的な隙が出来た。

 俺は跳躍して全力でキデンサーの首に切りかかった。

 肉を切る感覚、骨を断つ感覚が刀越しに伝わってきた。


 … 一撃でもくらえば危なかった。

 とんでもない魔力量を感じたけどただバカ力なだけだったな。

 まあ、当たればだけど。


 ふと、背後から嫌な気配がした。

 俺は大袈裟に横に回避した。

 先ほどまで俺がいた場所を見ると、そこには小さなクレーターが出来ている。

 あれをくらっていれば間違いなく死んでいたな。

 クレーターを作った原因を見るとそこには首のない巨大なオーガを棍棒を振り下ろしていた。


「グガ、ヨクよけたナ」


 首のないオーガのすぐ側にあるオーガの首が喋った。

 オーガはその首を拾い上げ切断面に合うように首を引っ付けた。


 …油断した。

 完全に化け物じゃねーか!

 なんだよお前! デュラハンかなにかか!?


「グガガガガ、おどろいてイルナ。このていどデハオレをたおすことハできない」

「だったら何度でも斬り刻んでやるよ」


 俺は再びキデンサーに向かっていった。

 いかに生命力があろうと死ぬまで斬り刻んでやれば良いんだ。

 今度は首を切り落とす事ができるくらいの隙を待たずに確実に切断できる強さの威力で太刀を振るった。


 しかし切ることは叶わずキンッという音がした。

 皮膚を切る事が出来なかったのは良いが何故金属音がする?


 困惑している俺にキデンサーは振り上げていた棍棒を俺に向かって振り下ろしてきた。


 ヤバい!これは回避出来ない!


 すぐさま受け流しを行うが攻撃を流しきれずにダメージを負った。


 いってぇ! くそっ、左腕変な方向に曲がっているぞ!

 さっきまでこれ位ならダメージは通ったはずだ。

 金属音も聞こえてきたしどうなっている?


 よくよくキデンサーの皮膚を見ると緑色だがまるで金属のように光っていた。


「グガガガガ、またおどろいてイルナ。オレはユニークスキル『悪食』をもってイル。このスキルはくったモノヲ自分の体にヘンカする事ができるノダ。そしてオレはマコウをくってイル。マコウをくったオレのひふハマコウでできているノダ」


 なるほどね。

 さて、どうするか。

 魔術での攻撃も期待できなさそうだな。

 魔鋼は魔力耐性も高いし、それを突破出来るほどの魔術だと周りにも被害が及んでしまう。


 まさかユニークスキルを持っているとは。

 これ位の相手なら持っていてもおかしくないのか?

 俺も持っているがあまり攻撃的じゃ、いや、攻撃できるか?

 うん。

 できるな。

 そのように使おうとしなかっただけだ。

 試してみるか。


「それがどうした。今度はこっちの番だ」


 俺は再びキデンサーに向かっていく。


「ムダだといっている!」


 キデンサーは棍棒で攻撃してくるが俺はそれを躱し、すれ違いざまにキデンサーの腕を切り落とした。


「ナニ!」


 キデンサーは驚愕の顔を浮かべている。

 それはそうだろ。

 先程まで自慢していた防御能力をアッサリ破られたのだから。

 しかも切り落とされた腕は俺が『捕食者』で回収した。

 これでくっ付けることはできないだろう。


 それにしても、試してみるものだ。

 俺は今『捕食者』を太刀に集中させて斬ると同時に捕食した。

 すなわち食い切ったのだ。

 そして、『調理師』の能力で本来俺の攻撃が皮膚で阻まれるという結果を切断するという結果に作り変えたのだ。

 これらによって俺は圧倒的な攻撃力を手に入れる事ができた。


「キデンサー、もうお前は俺に勝てないぞ」


 最早これは生死を賭けた戦いではなくなった。

 さあ、食事を始めよう。


「グググ、ウデ1つくらいでちょうしにノルナ!」


 そういうとキデンサーは切り落とされたはずの腕を再生した。


「グガガガガ、『悪食』ノ能力はそのままさいせいノ能力にもつながるノダ」


 キデンサーは自慢気にいう。


「それがどうした?もう一度言ってやる。お前は俺にもう勝てないぞ」


 そう挑発するとキデンサーは怒り俺に向かって突進してきた。

 こいつは怒れば怒るほど単純で楽になる。


 俺はキデンサーの攻撃を全く寄せ付けず右腕一本で再び腕を切り落とした。


「グググ、なんどデモさいせいヲ」


 そこまで言ったキデンサーの顔が驚愕に染まる。


「ナゼだ!腕がさいせいできナイ!」


 それはそうだろう。

 なぜなら俺が『調理師』で再生できないように作り変えたのだから。


「だから言っただろう。お前は俺にもう勝てないと」


 そう言うとキデンサーはワナワナと震えて叫び声を上げた。


「グガァーーーー!」


 キデンサーは俺に向かって突進して来るが俺はすれ違いざまに腕を足を胴体を首をバラバラに切断して、『捕食者』で首以外のそれら全て捕食した。




「オレはまけたのか?」

「うん。その状態でまだ生きていることに驚きだよ。」


 俺は先ほどの反省を活かし、首だけで喋っているキデンサーに対して刃を向けたまま話す。


「グガガガガ、ざんねんダガじきにシヌ。さいごにオマエのようなツヨキモノにであえてよかった」

「そいつはどうも」

「けっきょく魔王にハなれなかっタな。もうしわけございーーー」


 そこまで言うとキデンサーは死んだ。

 最後何かに謝ろうとしなかったか?


「スズがオーガ達の主を倒したぞ!このまま殲滅せよ!」


「「「おおおおおお!」」」


 父さんの声と他の人たちの声が聞こえ聞こえる。

 そうか俺は勝てたのか。

 勝てるか五分五分くらいと思っていたけど結果的には圧勝だったな。

 でも、うぅ〜、左腕痛い。

 変な方向に曲がっているよ。


 オーガ達はリーダーを亡くしたせいか動きが鈍くなり俺も加わったことでそう時間がかからず殲滅することができた。

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