74 未来へと希望を抱く
前回のあらすじ
ルシア「アクレンジャイ!!」イルミス「レイレンジャイ!!」ミトラ「……テ、テンレンジャー(何故俺がこんな事を?)」シャイターン「キョレンジャー!!」ベルフェスト「…………グーグー」レヴィア「カイレンジャー!!」スズ「オニレンジャー!!」
ルシア「七柱揃って!!」
神王「「「「「「カミレンジャー!!」」」」」」
特に神王になる為の儀式とかは無く、そのまま食事をしたり、みんなと話したりした。
意外にもみんな仲が良く、頻繁に交流していたりもするらしい。
あと、ミトラに話を聞いたところ、やはりミトラがミルセフィア教を作ったらしい。
人の中でも使える人材を集めるために。
人を集めて素質ある者をダンジョンで鍛え進化を促しているらしい。
「まあ、成功したのはここ数千年で数人だけだよ。」
しかし、その中でも聖人に至った者はほとんどおらず、半分無駄になっているらしい。
そう考えるとハルさんってやっぱ凄いな。
あの人多分普通に聖人になっただろうし。
おねぇなんかは聖人になれなかった人だな。
それでも普通の人間よりも大幅に寿命が延びているみたいだし。
あの人の年齢凄いからな。
言ったらめっちゃ怒られるけど。
そんな感じで神王達と現状の問題と今後の事などを話しながら食事をして解散となった。
帰宅する際に綺麗な指輪を貰った。
この指輪は神王の証らしく、神王どうしで魂の回廊での通話に似た、秘匿通話が可能らしい。
招集がある場合はこの指輪を通りて連絡が来るみたいだ。
転移して屋敷に戻る。
「「お帰りなさいませスズ様! 神王の就任おめでとうございます!!」」
跪いた爺やとセレスによって迎えられる。
なんで知ってんの?
「ふむ、神王になったのか?」
爺やとセレスだけでなく、ハルさんとシアン、シエル、ソラ、そして俺があの場に行くまでいなかったリーシアさんとジークもいた。
「ふっ、そうだ。俺は鬼神王スズ・ロゼリアだ。頭が高いぞ跪けい!!」
「「「ははぁー」」」
「ウォン!」
なんかハルさんがあまりにもあっけらかんと言うので少し調子に乗ってみた。
爺やとセレスはそのままで、シエルとソラは何かの遊びと思ったのか二人の真似をして跪く。
まあ、何かの遊びだけど。
「バカな事してしないでこっちに来てください。ずっとスズの帰りを待っていたんですよ」
「ん、俺の帰り?」
何かあったのか?
「ふふふ、そうよ。貴方がハルを倒した事によって貴方とシアンの正式な婚約が決まったじゃない? それのお祝いをする事になったの」
「あと、ついでに神王就任のお祝いだね」
あ、そうなんだ。
て言うかジークよ、神王就任のお祝いがついでって。
世間からしたらそっちの方が重大だと思うけど。
お祝いと言っても屋敷でシアン達とご飯を食べたりといった細やかな物だ。
それでもシアンは泣いていた。
嬉しいのだと泣いていた。
それを見て俺は笑った。
幸せだと思った。
前を向くと言うのはこういう事だと思った。
この景色を守るために、俺は鬼神王として世界を守ろう。
そう新たに決意した。
翌朝、俺は村に転移する。
妖精達が気になったのだ。
村に行くと家の残骸だったりが存在するしているが、基本は以前と変わらない。
妖精達のいる村の中央に向かう。
「あ、スズ」
「これはスズ様」
そこにはたくさんの妖精と妖精達の長トリストテレス、そしてリオンを筆頭とした悪魔達がいた。
「お前らまだ帰還していなかったんだな」
「ええ、スズ様が進化なされた際に私達も受肉いたしまして帰る必要が無くなったのです。こうしていつでもスズ様の役に立つ事ができるようになりました」
確かに受肉しているようだ。
さらに、リオンは進化して悪魔公にまで至っている。
おそらく、俺の進化の影響を受けたのだろう。
「妖精達はすべて取り戻したのか?」
「ええ、もちろん。それよりも、スズ様、神王の就任おめでとうございます。我ら一同お祝いいたします」
どうやらリオンは俺が鬼神王になった事を知っているようだ。
新たなる神王の存在についてはいろんな所から知らせが出ている。
主な情報の出所はミルセフィア教だろう。
おそらくグローリアス王国にもすぐに知らせが来る。
「つきましては、我らをスズ様の正式な配下にしていただけませんか?」
ふむ、配下とな。
天使大戦では強力な戦力が必要だ。
そう考えるとリオンの戦力は魅力的。
配下になりたいと言うのならそうした方がいいな。
「わかった、リオン、そして悪魔達、俺の配下となる事を認めよう」
「「「ははっ! ありがたき幸せ!!」」」
リオンと悪魔達が配下に加わったという事で悪魔達に新たに名前をつけた。
元が上位悪魔という事でかなりの魔力を取られたが、それでも今の俺からすれば少しの魔力であり、すぐに回復する。
「スズ、いえ、スズ様にお願いがあります」
悪魔達に名前を付け終わると、トリストテレスが跪いてきた。
「我ら妖精は無力な存在です。村を隠す結界を構築し、村人に守られる事によって生き長らえてきました。しかし、村人はいなくなり我らを守る者が存在しなくなりました。このままでは我らはすぐに滅亡してしまいます。
そこで鬼神王スズ・ロゼリア様。私達を貴方の庇護下に入れていただけませんか?」
トリストテレスが真摯な目で俺を見つめてくる。
何て言うか、子供の頃から知っている人にこんな風にされるのは変な気分だな。
まあ、答えは決まっている。
「いいよ」
「よろしいので? 我らに貴方に差し出せる物など忠誠しかございませんが」
「村人達は亡くなり、村は滅んだがここは俺とシエルとソラの故郷だ。村の大切な存在である妖精達が生きているのなら守らない理由はない。」
「では?」
「ああ、鬼神王スズ・ロゼリアの名に誓って妖精達を俺の庇護下に入れよう!!」
「ありがとうございますっ!!」
トリストテレスは涙を流しながら喜んでいる。
「ただ、俺もずっと村にいるわけには行かないからな。リオン、頼めるか?」
そこで、村の守護をリオン達悪魔に頼む事にした。
「お任せを。スズ様のご期待に答え、必ずや妖精達をどんな外敵からも守ってみせます」
これで妖精達の安全は確保されたな。
今やリオンな魔王クラスの存在だ。
そんなリオンが守ってくれるなら安心である。
妖精達のこれからと悪魔達のこれからが決まったので屋敷に帰る事にする。
その前に、
「父さん、母さん、俺、鬼神王になったよ。神王の一柱だよ。凄いでしょ」
父さんと母さんの墓に行ってお参りする。
「シエルは勇者の素質があるんだって、さすがは二人の子供だよ。それと、妖精達は無事、守る存在もいる。あと、母さんに言われた通りハルさんに勝ってシアンと正式に婚約する事になったよ。婚姻はまだだけど魂姻は成立した。対外的にはまだだけど一応シアンと結婚したと言えなくも無いかな」
墓前で昨日の事、今日の事、これからの事を話して屋敷に帰った。
「シエル」
「なあにお兄ちゃん?」
俺は帰って来てからシエルを呼び出した。
「これを持っておけ」
「これは?」
『暴食神』から刀を取り出してシエルに渡す。
俺の"空切"よりも長い大きな太刀だ。
「父さんの刀、"桜"だ。シエルお前が持っておけ」
父さんと母さんの墓に遺品として"桜"が刺さっていた。
そのまま残そうかと思ったが何となくシエルが持つべきだと思って持ち帰って来たのだ。
たぶん父さんもそう望んでいる。
勝手な思いかもしれないけど俺はシエルが持つべきかと思った。
「お父さんの」
シエルの身長よりも大きかった"桜"はシエルが受け取った瞬間、小太刀サイズの刀に変化した。
父さんの魂の一部とも言える"桜"がシエルを所有者と認めて自らシエルに合ったサイズに変化したのだ。
うん、やっぱりこれで良かったのだろう。
シエルは"桜"をぎゅっと抱きしめている。
「お兄ちゃん、私強くなるね」
「そうか、頑張れよ」
「うん!」
シエルは少し涙を流しながら微笑んだ。




