表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/138

73 鬼の神王

前回のあらすじ

スズ「ボッコボコにしてやったぜ☆」


 豪華な扉を抜けた先、直接会場に繋がっていたのかそこには大きな円卓が設えられていて、等間隔に椅子が七脚用事されている。

 そして、その椅子にはすでに四柱の神王が座っている。

 俺はメイドの案内に従って一番手前の椅子に着席する。

 一番奥にはルシアが座った。

 神王になった順とかかな?


「さて、そこにいる鬼が新たなる神王候補だ。知らない者も多い。自己紹介をしてくれ」


 いきなり自己紹介をしてくれと言われてもな。

 まあ、適当にするか。


「スズ・ロゼリアだ。急にここに連れてこられて戸惑っているが、まあよろしく」

「ふむ、ならこちらの番だな。さっきも言ったが俺は魔神王ルシア・ダークレシアだ」

「で、私が霊神王イルミス・ユグドレシアだよ」


 さっき、屋敷で知ったが形式というやつだろう。


「…私は天神王ミトラ・ミルセフィアだ」


 ミトラ・ミルセフィア、彼はイルミスとは逆のルシアの隣に座っており、女性めいた美貌を持つ金髪碧眼の超絶イケメンだ。

 容姿に目が行きがちだが、彼から感じる魔力も凄まじい。

 にしても、ミルセフィアね。


「私は知っているわね。海神王レヴィア・アトランティスよ」


 ミトラに次に名乗ったのはレヴィアだ。

 彼女とはなんだかんだ1年近くの付き合いだ。

 主にアルマの迎えに来る事が多いけど。


「ワシは巨人王シャイターンだ。レヴィアが褒めるだけあってお主なかなか強そうだのう。今度手合わせをしよう」


 そして次に名乗ったのは巨人王シャイターンだ。

 その身体はとても大きく、2メートル半くらいはありそうだ。

 そしてその巨体から感じる力もハンパない。

 ある意味このメンバーの中で一番威厳がありそうだ。

 だけど、初対面で手合わせしようってなんだよ。

 レヴィアじゃないんだから。


「ちょっと、貴方失礼な事思っていない?」


 おっと、レヴィアに感づかれたようだ。

 女の勘って怖いな。


「さて、残りのそこで寝ているジジイだが、彼は竜神王ベルフェスト・ラージャだ。寝ているのは何時もの事だが話はちゃんと聞いている」


 ルシアがベルフェストの代わりに彼の名前を言う。

 確かに今にも死にそうなほど高齢な老人に見える。

 だけど、彼から感じる魔力は本物だ。

 でも、こんな高齢な老人がこんな風、ピクリとも動かずに寝ていたら普通に心配してしまう。

 死んでないかって。


「さて、お互いの名前も知ったな。イレーネ、スズにあれを」

「かしこまりました」


 ルシアの後ろで待機していたメイドさん、イレーネがこぶし大の宝珠のような物を俺に持ってきた。


「どうぞお取りください」


 俺はその宝珠を手に取る。


「これは?」

「智慧の宝珠。その中には神王として必要な知識が入っている。魔力を通して使ってみろ」


 ふむ。

 ちょっと解析したけど確かに危険はなさそうだな。

 俺はルシアに言われた通りにこの智慧の宝珠に魔力を通した。




 ー▽ー


 昔々、遥か昔、大神と呼ばれる大いなる神が存在した。

 その神は幾多の世界を創造し、最後にこの世界を創造した。

 大神は世界を創造した事で寿命ができ、今から数万年前に寿命が尽きようとしていた。

 そして、遂に寿命が来て大神が死のうとしていた時、一柱の天使が暴挙にでた。

 天使の名前はジブリール。

 なんとジブリールは死ぬ間際の大神の力を奪ってしまったのだ。


 大神の死を認められなかったジブリールは大神の力を奪い、世界を滅ぼそうとした。

 ジブリールが奪った大神の力と大神の聖遺骸、そして世界を滅ぼした時に生まれるエネルギーがあれば大神が復活すると思ったのだ。

 ジブリールは奪った大神の力を使って数多いる天使を掌握。

 天使達は大神の力を奪ったジブリールを新たな神と認識し、ジブリールの命令に従った。

 しかし、たった一柱の天使だけはそれに抵抗した。

 それがミトラ・ミルセフィア。

 他の天使はジブリールに大神の力で掌握され、ジブリールを唯一絶対の神とし、ジブリールの命令に従った。

 しかし、純潔の天使たるミトラだけはその命令に抵抗できた。

 彼はジブリールの暴走を止めた。

 当時すでに最強の悪魔であったルシアと、世界のバランスを保つ星霊であるイルミス、そして、空、地、海の王と共にジブリール達と戦った。

 ルシア達は激闘のすえにジブリールに勝ったが、ジブリールに他の天使ごと異世界に逃げられてしまった。

 その異世界に向かって殲滅しようと思ったが、その世界が閉ざされてその世界に向かう事が不可能になったので、ルシア達は仕方なくその異世界をどこの世界にも繋がらないように封印した。

 しかし、その封印も完璧ではなく、数百年に一度、封印が弱まりその隙を狙って天使の大群がこの世界を襲撃してくるのだ。

 それが天使大戦。


 ジブリールの暴走により悲劇が起こったが、一つの奇跡も起こった。

 寿命で死ぬ間際である上にジブリールに力を奪われたにも関わらず大神は生きていた。

 大神は生きている間に自らの子を残す事にした。

 生まれたての小さな精霊に自らの魂の欠片を分け与えた。

 そして生まれたのがアルマ。

 大神はアルマが生まれるのと同時に死んだ。


 残されたルシア達は一つの組織を作る事にした。

 いずれ封印が弱まり、ジブリールが大神の力を完全に掌握した時、再びジブリールはこの世界にやって来て滅ぼそうする。

 それを避けるため、天使達に対抗するために神王という存在を作り出した。

 最初の神王がルシア、イルミス、ミトラの三柱。

 ミトラは神王となる際にルシアとイルミスに頼んで堕天使となった。

 もしも、大神の力を完全に掌握したジブリールによって操られる事がないように。

 その後、共に戦った空、陸、海の王であるベルフェスト、シャイターン、レビィアの三柱が同時期にオーバースキルを習得し、神王の一員となった。


 大神の力を奪い、世界の破滅を望む天使ジブリールに対抗する為の存在。

 世界を守護する存在。

 それが神王。



 ー▽ー


 なるほどな。

 これが神王という存在か。

 この知識の内容が嘘の可能性はある。

 実際に見ていないのだから知らない。

 まあ、嘘の可能性は限りなくゼロだろうけど。

 それに天使大戦は寿命がどうなったか分からない俺にも大いに関係がある。

 この世界が滅ぼされるのは嫌だからな。

 信じていいと思う。

 それに、俺は天使にも因縁がある。

 奴らと敵対しない理由はない。

 俺は読み終えた宝珠をテーブルの上に置く。


「どうだ?」

「一つ聞かせてくれ。大戦になったら天使どもを皆殺しにしてもいいんだな?」


 俺の質問にルシアはニヤリと笑った。


「もちろんだ」

「そうか。だったら」


 俺はこの場で転移する。

 転移先はとある国のとある場所。

 そこには一人の純白の羽を生やした男がいた。

 名前は知らない。

 しかし俺の因縁の相手だ。


「いょう」

「き、貴様は!?」


 俺はそいつの首を掴み再び神王達のいる場所に転移する。


「スズ、そいつは…」

「天使だよな?」

「そうだ。この世界にいる事は分かっていたがよく見つけたな」

「ちょっと因縁があってね」


 俺がいきなり天使を捕らえて転移して来たのに誰も驚いていない。

 まあ、顔に出していないだけだろうけど。


「貴様らは!?」

「お前は……ゼルエルか。久しいな」

「裏切り者のミトラ!?」


 俺が捕らえて来た天使、ゼルエルはミトラを睨みつけている。


「裏切り者はお前だろう」

「黙れ! 貴様らはじきに神の手によって抹殺される!!」

「で、天使一柱捕まえて来たけどどうする?」

「ふむ、スズ、そいつを貸せ」

「はいよ」


 首を掴んで持っていたゼルエルをルシアに投げ渡す。


「離せ!!」

「……なるほどな。こいつから情報は貰った。もう用済みだ。スズ、お前が捕らえたのだ。好きに殺せ」


 ルシアは再び俺にゼルエルを投げ渡してきた。


「わかった」


 俺は投げられて来たゼルエルに向かって"爆神掌"を放つ。

 それと同時に『暴食神(ベルゼブル)』でゼルエルを捕食し殺した。


 ゼルエルは俺の因縁の相手だ。

 ゼルエルは俺がパールミス軍を捕食した時に俺を操ろうとしてきた。

 パールミス軍20万を捕食して負担が大きくなった時に操る為に俺の精神を干渉して来たのだ。

 しかし、それでも操る事ができず俺が暴走するだけとなった。

 そして、シアンによって俺への精神干渉が弾かれた。

 その後俺が進化した際に精神干渉された時の痕跡を逆算して辿り、ゼルエルにマーカーを設置して生殺与奪を握り行動を監視した。

 ゼルエルの目的がわからなかったからだ。

 しかし、ここに来てゼルエルの目的は分かった。

 もはや生かす意味は無くなったのでここに連れてきたのだ。


 おそらく、キデンサーも古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)も闇の氾濫もパールミス軍もこいつの仕業だろう。

 こいつは俺の因縁の相手であった。

 だから俺はゼルエルを捕食して殺した。

 一切の慈悲無く。


「俺が神王になるがいいな?」


 全員に聞くとルシアはフッと笑った。


「決まりだな。ようこそ、新たなる神王、鬼神王スズ・ロゼリア。俺たちはお前を歓迎する」



 ー▽ー


 スズが新たなる神王となり、それを祝って宴を開く事になった。

 メイド達によって次々に料理が運ばれていく。

 ルシアはその様子とスズを見ながら優雅に微笑む。

 新たなる神王、鬼神王スズ・ロゼリア。

 彼の名前はレヴィアから聞いていた。

 いずれ神王に届き得る存在になると。

 まさか、こうも短時間で神王に届き得る存在、オーバースキルを獲得するとは思わなかった。

 レヴィアとの戦闘を聞く限り大罪系の能力者。

 おそらく長年保有者がいなかった『暴食(グラ)』の能力者だったのだろう。

 それを僅かな期間でオーバースキル『暴食神(ベルゼブル)』に進化させたのだろうとルシアは予測する。

 先ほどゼルエルを消し去ったのを見てさらに確信した。

 天使どもとの最終決戦ではセラフィムどももオーバースキルを獲得しているはずだ。

 あちらはジブリールを含め六柱が美徳系のオーバースキルを保有している。

 美徳系に対抗すべく大罪系の能力者が必要だったがこうも早く揃うとは思わなかった。

 自身の『傲慢神(ルシファー)』、シャイターンの『憤怒神(サタン)』、ベルフェストの『怠惰神(ベルフェゴール)』、本人は隠しているつもりだがレビィアの『嫉妬(レビィアタン)』、そしてスズの『暴食神(ベルゼブル)』。

 これで大罪系が五つ揃った。

 そして、ミトラの『純潔神(メタトロン)』。

 大罪系が五つ、美徳系が一つ。

 これで天使のオーバースキル保有者であろう六柱に対抗できる戦力が揃った。

 さらにこちらにはアルマとユウキのオーバースキル保有者がプラス二名存在する。

 イルミスもオーバースキルを保有しているが例外だ。

 だが問題ない。

 ルシアは最後の天使大戦は勝てるはずだと優雅に微笑む。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ