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57 不穏

本日2話目

 レヴィアはとある場所に来ていた。

 そこはこの世界中心にして世界のどこにも存在しない場所。

 神王と、神王に認められた者だけが足を踏む入れる事が出来る場所。


「ようこそ、お待ちしておりました」


 目の前にはメイド服を着た恐ろしいほどの美貌を誇る美女がいる。

 そんな美女だが先ほどから一切表情を変化させない。


「相変わらずの真顔ね。少しは笑ったらどう?」

「私はルシア様の忠実な下僕ですのでそのような真似をする必要はごさいません」

「あっそ。まあいいわ。案内してちょうだい」

「かしこまりました」


 メイドは深々と腰を折って礼をとった後に、レビィアをとある部屋に案内する。


「こちらにございます」


 メイドは扉を開けてレヴィアを中に入るように促す。

 レヴィアもそれに従って部屋に入る。

 その部屋はとても豪華な広い部屋であり、その中央に円形のテーブルがある。

 そして椅子は6席置かれており、すでに5席埋まっている。

 レヴィアは迷う事なく残り一席に座る。


「集まったな」


 一番奥に座っている13〜14歳くらいの見た者の目を奪うような、中性的な少年、あるいは少女のような見た目の者がポツリと呟く。

 名をルシア・ダークレアと言う。

 魔神王ルシア・ダークレア。

 最悪最凶の魔王にして、最強最古の神王である。

 今から行われるのは神王達による会議である。


「さて、集まってもらった理由だが分かっている者も多いだろう」


 コクリとほとんどの者が頷く。

 約一名、何の反応もしないがいつもの事だと全員そのことを気にしない。


「大事な事なので一応確認する。最近、異世界召喚が活発になってきた」


 異世界召喚。

 文字通り異世界から召喚するだ。

 異世界人がこの世界にやって来る事二つの方法である。

 一つは、時空の歪みによって偶然やって来る。

 もう一つは、人為的な召喚によってだ。

 時空の歪みによる異世界人来訪はある種の自然的な事なので神王達も気にしていない。

 しかし、異世界召喚は違う。

 こちらは神王達にとって問題があるのだ。


「異世界召喚自体は偶にあるけど、せいぜい数百年に一回あるだけよね。前回はユウキが召喚されたんだよね」


 そう発言するのは、ルシアの隣に座っている15〜17歳くらいの儚げな少女だ。

 彼女の名は、霊神王イルミス・ユグドレシアだ。


「その通りだ。だが、今回は極めて短時間で、しかも世界各地で行われている。ユウキの時は古代遺跡から召喚術式を見つけたらしいが、今回は違うだろう」

「つまり、召喚術式を教え回っている者がいると?」


 ルシアに疑問を吹きかけたのはイルミスとは逆にルシアの隣に座っている女性めいた美貌を持つ男性だ。

 何より特徴的なのは、その背中から漆黒の翼が生えている事だろう。

 彼の名は、天神王ミトラ・ミルセフィア。


「そうだ。おそらくはあの羽虫どもだ。最近になって気配を感じるようになってきた」

「大戦でも無いのに天使どもがやって来たってことか?」


 次に質問をしたのは、イルミスの隣に座っており、余裕で2メートルを超える身長を誇る巨大な男である。

 彼の名は、巨神王シャイターン。


「おそらくは前の大戦の取り逃がしだろう。いや、隠れていたと言うべきか。それが今になって活動したのだろうな」


 そして、未だに一言も喋らない、まるで寝ているかのような、いや、実際に寝ている老人がいる。

 彼の名は、竜神王ベルフェスト・ラージャ。


「目的は?」

「各地で召喚術式を教え回っている事をみるに、やはり、あの封印の弱化だろうな」

「そう。という事は奴は治ったのかしら?」

「そう考えるのが妥当だろう。最後の大戦は近そうだな」


 そうルシアが言った瞬間、世界に異常が起こった。

 世界が崩壊しかねない程の異常が。

 まず、気がついたのはルシアとイルミスの二人。

 続いて残りの神王全員が気がついた。

 あまりの異常事態に眠っていたベルフェストまで大きく目を開いている。


「くそがーーーーーーーーー!!」


 ルシアは怒りを露わにして、バンッとテーブルを叩きつける。

 その衝撃でテーブルは粉々に砕け散った。


「レヴィア! アルマも呼んでこい!」

「わかったわ!」


 レビィアは即座に転移して行った。


「ユウキは念のため待機するように伝えておけ! 全員行くぞ!」


 ルシアの合図とともに残りの全員は消えた。


 魔神王ルシア・ダークレア

 霊神王イルミス・ユグドレシア

 天神王ミトラ・ミルセフィア

 巨神王シャイターン

 竜神王ベルフェスト・ラージャ

 海神王レヴィア・アトランティス


 総勢六柱の神王達は世界のため、この場を後にした。


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