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48 レヴィア来訪

 起きたのは昼だった。

 以前、ラストリゾートを使った時と違ってある程度動けるくらいには回復している。

 本調子とは程遠いけど。


 ーーコンコン


「スズ、起きていますか?」


 ガチャリとドアが開いてシアンが部屋に入ってきた。


「ああ、よかった。起きたのですね」

「どれくらい眠っていた?」

「1日も眠っていませんよ。それよりも、また例の技を使ったんですね。今後使わないでくださいよ。心配しますから」

「ああ、なんかごめん」

「わかればいいんです。それで、スズにお客様がいらっしゃるのですが」

「俺に客?」

「あら、起きたようね。おじゃまするわよ」


 シアンに聞くまでも無くその客は俺の部屋に入ってきた。

 その客は美女であった。

 しかもごく最近見たことのある美女だった。


「げっ、海神王、なんでここに」


 海神王レヴィア・アトランティスだった。

 やばいやばい、どうしよう。


「げっ、とは何よ失礼ね」

「散々俺に攻撃してきたじゃないか」

「まあ、そうだけど。ああ、別に戦いに来たとかじゃ無いから安心しなさい。私がここにいるのは半分偶然よ」


 海神王の話を聞くとこうだ。

 どうやらハルさんと知り合いらしく、あの後近くーー1000キロくらいあるがーーにハルさんの気配を感じたので挨拶に来たらしい。

 そして、ここで逃げたはずの俺がハルさんと一緒にいる事が分かり、話をする為にここにいるそうだ。


「まさか、逃げられるとは思わなかったわ」

「殺されそうになったんだ。逃げるに決まっているだろう」

「あら、ちょっと力を試しただけよ」

「お前にとってはそうかもしれないけど俺にとっては命懸けだったよ。おかげでこのザマだ。んで、戦闘中はちゃんと聞けなかったけど、どうして俺と戦った、力を試したかったんだ?」


 これがずっと疑問だったんだ。

 力を試したいと言われてもはいそうですかと戦えるわけが無い。

 それでも海神王から攻撃してきたし、こっちも話す余裕なんて無かったので結局わからずじまいだ。


「そうね。私達には敵がいるの」

「敵?」

「そう。天使大戦は知っているわね」


 天使大戦、その名の通り数百年に一度天使が襲来してくるものだ。

 それによって幾つもの国が消滅したりと大きく世界の勢力が変わってくる。

 どうして天使が襲来してくるかわからない。

 神の試練だとも言われているし、別世界から攻めてきている外来勢力だとも言われている。


「まあ、概要だけなら」

「それで十分。まあ、その天使が私達の敵ってことよ」

「でも天使っていっても話によるとせいぜいC〜Aランクくらいだろ? いくら数が多いからってお前の敵じゃないだろ?」

「お前って、これでも私は神王の一柱なんだけど。もう少し敬意を持ったらどう?」

「殺されそうになったんだ。敬意なんて持てるわけないだろレヴィアさん?」


 そう、本当に死にかけたんだ。

 これからはレヴィアと呼んでやろう。


「まあ、いいわ。それで、普通の天使大戦ならさほどの脅威じゃないわ。特に私は海底にいるしね」

「普通の?」

「ええ、普通のならね。最後の大戦はそうはいかないわ」

「最後だと? そんなこと聞いたことないぞ」

「ええ、そうでしょうね。でも、いつかは起こるわ。その時の天使の勢力はそれまでと比べ物になら無いものになるわ。それに対抗できる人材が欲しいの。だからあなたの力を試させてもらったのよ」


 最後の大戦。

 神王がそこまで警戒するほどのものなのか?

 だとしたらそれこそ世界の危機なんじゃないか?


「まあ、10年20年で起こる話でもないわ。次の大戦が最後とは限ら無いし。焦るような話でも無いのも事実ね」

「そうか。まあ、それまでに力をつけておけって話だな」

「そういうことよ」


 レヴィアの話は理解した。

 その最後の大戦に対抗できる戦力が欲しくて、その力があるかもしれない俺を試したというわけだな。


「だいたいは分かった。でも、何もあそこまでしなくてもいいじゃ無いか! 何度も死にかけたぞ!」

「ふふふ、ごめんなさいね。予想以上にあなたの力がすごいから少し張り切っちゃったわ」


 張り切っちゃったわって、そんなんで死んだらたまったものじゃない。


「それで、あなた達はまだここにいるのよね?」

「ああ、あと10日くらいいるぞ」

「そう。ハッシュバルトもいるしちょうどいいわ。あなた達を鍛えてあげる」

「鍛えるってレヴィア直々にか?」

「ええそうよ。神王直々に鍛えてもらえるなんてそうそう無いわよ感謝しなさい!」


 ふむ。

 さっきの話を聞く限り強くなっていた方がいいだろう。

 多分俺は寿命的には1000年以上生きるだろうし、最後の大戦とやらに巻き込まれるかもしれない。

 それに、自分より上の相手と戦えるのは強くなるという意味ではとてもいいことだ。

 だったら、鍛えてもらうのはアリだな。


「そう。だったらお言葉に甘えるとするよ。だだ」

「ただ?」

「お前との戦いでまともに動けないんだよ。回復するのに2日くらいかかりそうだ」

「……鍛えるのは回復してからね」



 レヴィアは去り、パタンとドアが閉まった。

 レヴィアは何故かこのままここに居座ることになってしまった。

 まあ、本当に危害を加える気は無いみたいなので放っておいてもいいか。


「えーと、結構重要な話をだったと思うのですが私も聞いていて構わなかったのでしょうか?」


 部屋に残されたシアンが俺に聞いてくる。


「最後の天使大戦とか初耳だしな。まあいいんじゃないか?」

「そんな適当な」


 もう聞いてしまっているから、どうにもならないじゃないか。


「はあー、しっかしまさかレヴィアと再会するとは思わなかったな」

「えーと、逃げてきたんですよね?」

「ああ、逃げたにもかかわらずこのザマだけどな」


 神王相手に逃げる事ができただけでも上出来かな?

 すぐに再会してしまったが。

 何にせよもうレヴィアに殺されそうになる事は無さそうだし、逆に鍛えてくれると言うのだ。

 お言葉に甘えるとするか。


「それだけの相手だったって事ですよね海神王様は。今回は見逃しますけど、もう例の技は使わないでくださいよ?」

「わかったって。何度も同じ事を言うな」

「何度でも言います。本当に心配したんですからね」


 シアンは真剣に本気の目をしておれを見つめてくる。


「悪い」

「わかったらいいのです。スズはとっとと回復してくださいね」

「わかったよ」


 レヴィアとの鍛錬もあるし、シアンにも言われたので俺は2日かけて回復させた。

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