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超人さんの転生譚〜人間超えて鬼になる(旧題:超人さんがいく!異世界転生)  作者: 羽狛弓弦
第二章:よくあるかもしれない王都学園生活(仮)
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32 闇の氾濫 その2

 戦場を駆け巡る。

 すれ違いざまに魔物を斬り裂き、魔術を複数発動させながら縦横無尽に走り回り無数の魔物の屍を築き上げていく。

 中にはAランクの魔物もいるが一撃で切り伏せる。

 妖刀"空切"を実践で使うのは初めてだが何の問題もない。

 よく馴染む。


『スズ、地点153・215にAランク相当と思われる魔物が複数体。かなりの被害を受けている。急いで援護に向かってくれ』

『了解』


 魔物を殺しながらジークに指示された場所に向かう。

 そこには、複数の蛇のような魔物がいた。


「ひ、ひぃーーーー!!」


 そのうちの一体が大きく口を開き、生きたまま兵士をまさに捕食しようとしていた。

 俺は真っ先にその個体に詰め寄り、刀で切り裂いた。

 そのことによって他の蛇の魔物は俺を危険と思ったのか囲い込み、一斉に攻撃してきた。

 俺は攻撃が届く前に上空へと飛んで避けた。

 ついでにその場にいた捕食されそうになっていた兵士を掴んで一緒に飛ぶ。

 せっかく助けたのに死んだら意味ないからね。


 そして、そのまま上空から蛇たちに向かって"天翔烈空斬"を放つ。

 巨大な斬撃は俺たちを狙った蛇だけでなく周辺の魔物、さらには戦っているはずの兵たちをも飲み込んだ。

 しかし、兵達は傷一つない。

 当然だ。

 さっきの斬撃を『調理師』で"敵だけを攻撃する"ように作り変えたのだから。


『ジーク、目的地の魔物を殲滅した』

『了解、引き続き、遊撃を頼む』


 ジークに連絡すると同時に地に足を着いた。

 俺が掴んでいた兵士は尻もちをついている。


「さて、助かって良かったな」

「あ、あの……」

「じゃあ俺は行くよ。死なない程度に頑張れ」

「あ、ありがとうございます」


 俺は再び戦場を駆け巡る。

 高い魔力量を感知。

 おそらくSランクの魔物と思われる。

 闇の領域から出てSランクとは。

 弱体化には個体差があるのかな?


『スズ! 騎士達の一隊が苦戦している。ドラゴンだ! 位置は……』

『ああ、それなら今向かっているよ』

『そうか、頼んだ』


 目的地に着くと騎士達は死闘を繰り広げていた。

 大きなドラゴンに対して果敢挑んでいる。


「ここは通すな! こいつ一体で戦況を変える力を持っていると思え! 必ずここで討伐しろ!」

「「「おぉ!」」」


 騎士達は最精鋭のようで全員がA〜Bランクほどの力を持っているようだが、それでもドラゴン一体に対して防戦一方だ。

 それでもまだ死傷者が出ていないことを褒めるべきか。


 ドラゴンが距離をとり、喉に力を溜め込んでブレスを吐く。

 ブレスは騎士達に襲いかかる。

 回避する余裕はない。

 このままではほとんどの者が死んでしまうだろう。

 しかし、すぐ近くに俺がいる。

 俺は騎士達を守るように立ちはだかり、ブレスに向かって片手を突き出して、『暴食』にて捕食した。


「あ、あなたは…」

「遊撃部隊だよ。ジークから指示があってね。援護にきた。」


 その言葉と同時にドラゴンが距離を詰めてきて、その大きな爪で俺に攻撃してきた。

 刀でそのまま受け止め、弾き返す。

 そして、そのまま流れるようにドラゴンの爪を何本か斬り飛ばした。

 爪を斬り飛ばされたドラゴンは後ずさり、クルッと後ろに回ってそのまま飛んで逃げ出した。


 逃がさんよ。


 逃げるドラゴンを跳躍して追いかけ、真上まで飛び、空中でドラゴンを地面に蹴り落とす。

 そのまま、地面に叩きつけられたドラゴンの頭の上まで落下していき、


「"爆神掌"!!」


 極限まで収縮された闘気は掌底とともに放出され、ドラゴンの頭を潰した。


「ふう。強かったと思うけどギリギリSってところかな。魔力量にしては弱かったかな」

「このドラゴンをあっさり倒すとは…。おっと、我らを助けていただきありがとうございます」


 後方から騎士の隊長? がやってきた。


「いや、いいよ。それより、ここらにもう魔物は……いないよね?」


 感知したがここら辺に魔物はいなくなっていた。

 終わりに近づいてきたかな?


「ええ、おそらくいないかと。失礼ですが、あなたは?」

「あー、遊撃部隊のスズだよ。総司令官殿の指令で助けにきた」

「さようでごさいますか。では改めて、我らを助けていただきありがとうございます」


 俺は手を振って返す。


『スズ、もう倒したのかい?』

『うん』

『さすがだね。視た感じ今倒したドラゴンが最も強い魔物だと思うよ。スズのおかげで他の強い魔物もほとんどいなくなったし魔物の数も最初に比べれば残り僅かだ。ありがとう。』

『ふふん、どうってことあるかな?』

『ふふふ、そうだね。魔物の数も残り僅かだ。すでに戦力的には勝利は確定している。もういいよ、戻ってきてくれ』

『わかった』


 ジークとの通信が切れる。


「総司令官殿によれば魔物の数は残り僅かみたいだよ。勝利は確定しているって」

「おお、本当ですか?」

「うん、俺は戻るけど頑張ってね」


 そう言って俺は去っていく。

 あ、しまったな。

 さっきのドラゴン持って帰ればよかった。

 ドラゴン肉って結構美味しいんだよな。

 今更戻るのも……

 はあ、諦めるか。


 それからそう時間も経たずに全ての魔物を倒す事ができた。

 闇の氾濫王都防衛戦は王国軍の勝利である。



 ー▽ー


「ねえ、ハルさん」

「なんだ?」

「勝ったはいいけど違和感を感じない?」

「お前もそう思うか?」

「うん」

「あれだけの魔物がまるで軍団みたいに一斉に行動しているのはおかしい」

「そうだよね。群れならともかく明らかに捕食関係にあるやつも一緒にいたしね。それに俺が言った闇の氾濫の可能性だけどそれに至るほどの魔物が闇の領域から出てくる可能性は1%にも満たないはずだった。本当に念のために言ったんだ。しかも仮に闇の氾濫になったとしても今回ほどの魔物が出てくるなんて普通はありえない。」

「何者かが仕組んだって事か?」

「わからない。ただキデンサーの事といい、前の古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)の事といい、メルデル大森林で何か起きているのかもしれないな」

「調べてみた方がいいかもな」

「そうだね。何かいるとしたら闇の領域にいるだろうしそこは俺が調べるよ。それ以外はハルさんがお願い」

「わかった」



 ー▽ー


(???)


 いくら数があろうがやはりあの程度ではダメか。

 しかし失敗だったな。

 あの亀を目覚めさせたのはいいがなかなか言う事を聞かなかった。

 おかげですぐに討伐された。

 まさしく魔王以上の存在であったのだが。

 アレをうまく使う事が出来ていたら目的に近づく事が出来ただろうに。

 すぐに討伐されたためキデンサーの代わりにならなかった。


 しかし収穫もあった。

 あの危険なハッシュバルトと共に亀を討伐したもう一人の男。

 私ですらあの亀を殺すのにかなりの時間が必要であったはずなのに僅かな時間で、いや、実質最後の異常な一撃で殺した男。

 警戒するには十分すぎるやつだ。

 ハッシュバルト以外に厄介な存在を認識する事が出来ただけマシか。

 一応闇の領域の魔物を操って向かわしたが全滅したみたいだ。

 あの程度じゃやはりダメだったか。


 あの二人は私直々に断罪してやりたいところだが1対1ならともかく1対2は厳しすぎる。

 それに下手に動いたら奴らに私の存在がバレてしまうかもしれない。

 しばらく身を隠す必要があるやもしれん。

 身を隠すなど神の僕たる私にはふさわしくないが神のためだ。

 汚れ仕事だろうがなんだろうが喜んでやろう。

 すべては我が神の為に。

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