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超人さんの転生譚〜人間超えて鬼になる(旧題:超人さんがいく!異世界転生)  作者: 羽狛弓弦
第二章:よくあるかもしれない王都学園生活(仮)
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28 古代金剛亀竜討伐

 上空から赤い閃光が金剛亀竜(アダマンタイマイ)を貫いた。

 金剛亀竜(アダマンタイマイ)は呻き声をあげてひるむ。


「スズ! 大丈夫か!?」


 この赤い閃光を俺は知っている。

 "流星閃"、ハルさんの技だ。

 つまりハルさんが来てくれたのだ。


「おお、ハルさん! 来てくれてマジで助かった」

「当たり前だ! それよりこいつはなんだ?」

「おそらく金剛亀竜(アダマンタイマイ)だよ。」

「なるほど、こんなに大きいのは聞いたこともないな。それだけ年月を重ねたってことか?

 古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)ってところだな」


 エンシェントね。

 確かにそれがぴったりだろう。

 それほど年月を重ねているのだろうから。


「それで、王都は大丈夫なの?」

「多少強い地震があったけど特に損害はない。最初はただの地震かと思ったがこれが原因とはな」

「あれ? ジークから詳しく聞いていないの?」

「ああ、ジークからは「ヤバい奴があらわれた、スズが闘っている、すぐに加勢して欲しい」としか聞いていない。まあ、おかげですぐに加勢できたがな」


 ジークナイスだ。

 おかげで思ったより早くハルさんと合流できた。


「さて、こいつをどうする?」

「なんか、王都方面に移動しだしたから早急に倒さなければならないよ」

「ほんとか!? くそっ! スズ、こいつを倒すのに俺とお前でどれくらいかかると思う?」

「……かなり短く見積もって10日くらいかな?」


 俺とハルさんの二人がかりだと確実に勝てるだろうが、それだけの時間がかかるだろう。

 それ程の防御力と生命力がある。

 解析した魔力量では俺やハルさんを超えている。

 そんな奴が防御や生命力に特化しているのだ。

 それでも勝てるだけマシだろう。


「チッ、下手にこいつに進まれたら倒すよりも早く王都についてしまうぞ。プリティーナもおそらく来ると思うがそこまで短縮できないだろうな。軍で相手しても死人が出るだけで何の足止めも出来なさそうだな」


 そうだよな。

 学園長が来た時に放った魔術も無傷だったからな。

 魔法耐性が高いのだろう。

 もちろん物理的にも。

 しかも、それだけ防御力が高い上に再生能力も高い。

 そんな奴に軍では足止めも出来ないだろう。

 俺やハルさんの攻撃でなんとかダメージが与えられてるってところだ。

 おねぇでもいけるだろうけどやはり時間がかかり過ぎる。


 ……仕方がない。


「ハルさん、俺に作戦があるんだけど」

「なんだ?」

「あいつの核を砕く」

 

 魔物には魔石、核がある。

 こいつにももちろん存在している。

 それを砕けば殺せるはずだ。

 だけど問題はある。

 

金剛亀竜(アダマンタイマイ)の核の周辺には名前の通りアダマンタイトで守られている。普通の金剛亀竜(アダマンタイマイ)なら俺たちなら可能だろうが、こいつの防御力から考えたら不可能ではないか?」


 ハルさんの言う通りこいつの核を砕くのは不可能に近い。


「だけど、それしか方法はないんじゃないかな?」

「なら、どうやって核を砕くのだ?」

「俺のとっておきの技で砕く」

「……可能なのか?」

「うん。ただ、発動まで時間がかかるしその間ほとんど動けないから時間を稼いで欲しいんだ」


 そこまで言うと、ハルさんにやられた傷を回復させた古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)は俺とハルさんめがけてブレスを放ってきた。

 俺はハルさんを守るように前まで移動して『暴食(グラ)』にて捕食する。


「わかった。お前を信じよう。どれくらいかかる?」

「わからないけどそこまではかからないよ。準備出来たら合図するよ。そしたら俺の後ろに来てくれ。巻き込まれたら危ない」

「わかった」


 作戦が決まったので俺はその場から離れて古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)の核に最も近い部分、腹の方まで移動した。


 頭の方では大きな戦闘音が聞こえてくる。

 古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)は攻撃してこなくなった俺よりもハルさんの方が重要だと思ったのか俺に攻撃してこなくなった。

 おそらくこの位置でも触手で攻撃できるのだろうがラッキーである。


 位置に着いたので技の準備を始める。

『暴食』内には魔力などのエネルギーが大量に蓄えられている。

 その魔力の一部、1%位を暴走させる。

 1%と言ってもその量は凄まじいものだ。

 何しろ俺が日々蓄え続けた魔力だ。

 その魔力量は測りしれない。

 暴走した魔力は不安定に増大していく。

 そして、俺はそれをしっかりと制御していく。

 気を抜けば暴走した魔力によって俺が死んでしまいそうだ。

 まるで核融合のようだ。

 しっかりと慎重に制御しながら『暴食』内の魔力を暴走させていく。

 暴走させ、増大させ…………できた!


(ハルさん準備完了! 早く来て!)


 俺はハルさんに念話を送る。

 暴走させた魔力の制御のせいで念話を送るのも一苦労だ。

 すぐさまハルさんは俺の背後にやってきた。


「準備できたか?」

「うん、いくよ。一応注意しておいて!」


 俺は手を古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)の核がある場所に向けてかざす。

 そして、俺の最大の奥義を放つ。


「"ラストリゾート!"」


 俺の手のひらから白い巨大な閃光が放たれる。

 その閃光は古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)の腹をぶち抜き、アダマンタイトに守られているはずの核をも消滅さて、背中の甲羅も貫通していった。

 もし、下から上へではなく、上から下に打っていたら世界に甚大な被害を与えていただろう。

 それほどのとてつもない威力だ。


 "ラストリゾート"、名前の通り俺の奥義にしめ最終手段だ。

 放出系の技であり『暴食(グラ)』内で暴走させた魔力を放つ技だ。

 その威力はとてつもない。

 今回はその威力が欲しかったため仕方なく使ったが、できれば二度と使いたくない。

 なぜなら、俺も甚大なダメージを受け、しばらくほとんどのことができなくなるからだ。


 空中に立っていた俺は足場を維持できなくなり、落下していった。

 あまりの威力に呆然としているハルさんに受け止められることなく地面にドサッと落ちる。

 慌ててハルさんが降りてきた。


「おい! スズ! 大丈夫か!?」

「あーー、うん、あんまり大丈夫じゃないかも、自力で立てないや。ちょっと手かして」

「あ、ああ」


 ハルさんの手をかりて立ち上がるが自力で立っていられずそのまま肩を借りる。


「ありがとう」

「いや、いい。それにしてもさっきのはなんだ?」

「んー、秘密。それよりあいつの死体まで行きたいんだけど」

「わかった」


 そう言うとハルさんは俺を背負った。

 この歳でおんぶとは。

 

 ハルさん背負われて古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)の死体の元まで向かう。

 そして、背負われたまま俺は古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)の死体に手を当てて『暴食』で捕食する。


 うーん、こいつでかいし"ラストリゾート"の反動でなかなか捕食できないな。

 それでも時間をかけて山程でかい巨体を捕食した。


 捕食した理由は二つあり、一つ目は、そのまま放置して、魔物が古代金剛亀竜(エンシェントアダマンタイマイ)の死体を食ったら進化してしまうかもしれない。

 魔物が魔力量の多い死肉を喰らうと強化されたり進化したりする。

 これだけの巨体だ。

 数多くの魔物が進化するだろう。

 そうなると生態系も変わるし単純に魔物の危険度も上がって危険だから捕食したのだ。

 ハルさんもこの事を理解しているので何も言わない。


 で、二つ目は、こいつの核を守っていたアダマンタイトが欲しかったからだ。

 "ラストリゾート"であらかた吹き飛んだだろうけどこれだけの巨体だ。

 結構残っているだろう。

 俺は『暴食』内でどれだけ残っているか確認する。


 あれ? これって。

 んー、まあいいか。


「じゃ、帰ろうか」

「ああ、転移は…出来ないよな?」

「もちろん」

「俺は一応できるが苦手だから時間がかかるぞ?」

「そうだね。じゃあ、爺やを呼ぼう。爺や、ちょっと来て」


 爺やがすぐさま側に現れる。


「はっ! ここに。陛下もご一緒ですか。何やら巨体な魔物が現れたご様子。スズ様は大丈夫でございますか?」

「あんまり大丈夫じゃないかな。早く帰って休みたいから家まで送って欲しいんだけど」

「かしこまりました。陛下もご一緒に我らの屋敷に向かいますか?」

「ああ、頼む」

「かしこまりました。それでは失礼いたします」


 爺やは俺とハルさんに触れて、うちの屋敷に転移した。


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