24 入学パーティー
やっぱりそのまま帰って〜なんてことは無理だろうな。
正直ちょっと面倒だが、俺もシアン入学パーティーに参加する事になっている。
というか、シアンは王女のため参加は必須であり、シアンが俺も参加しろとの事だ。
という訳で一旦帰宅。
馬車は俺の屋敷に寄ってくれた。
時間になったらまた来るとの事だ。
屋敷に入ると爺やとセレスがお出迎えしてくれた。
なんかいいねこのVIP感。
「「おかえりなさいませ。スズ様ご入学おめでとうございます」」
「ん、爺やもセレスもありがとう。地下にいると思うから迎えが来たら教えてね」
「かしこまりました」
爺やとセレスの様子を見る限りこの屋敷に慣れてきたみたいだな。
2人のおかげで家具も揃ったし庭も庭っぽくなってきた。
かなり助かっている。
俺は一旦自室に戻る事にした。
荷物を置いて俺は屋敷の地下に向かう事にした。
実は地下も"ゴーレムクリエイト"で作っている。
そこそこ深くまで作っているため、総合的な空間の広さは地上の屋敷よりも広くなっている。
追加で広くもできるのでもっと広大になっていくかも知れない。
地下のとある一室に入ると、そこには数体のゴーレムが鎮座していた。
最近ゴーレム制作にハマっていて結構作っているのだ。
"ゴーレムクリエイト"は意外と応用に長けていて、良くあるゴーレムだけでなく、電化製品みたいなのも作る事が出来る。
ドライヤーとか、アイロンとか他にもいっぱい。
調理道具もたくさん作れるだろう。
そんな感じでハマった俺はゴーレム制作に勤しんでいる。
今作っているのは門番にでもさせようと思っているゴーレムだ。
この屋敷、と言うより俺がハルさんから貰った土地の周辺に結界を張っているので防犯に関してはほぼ安全なのだけど、やっぱりこれくらい大きな屋敷だと門番もいるよねって話になり、ならば俺がゴーレムで作ろうという事になったのだ。
二体ほど作ればいいかな。
そして作るなら強いゴーレムを作りたい。
ゴーレム製作をして時間を潰していると爺やが部屋に入ってきた。
「スズ様、お迎えが来ました」
「わかった」
爺やに呼ばれたので部屋をでていった。
迎えに来た馬車に乗り込み、シアンを見ると服装が変わってパーティー用のドレスに着替えていた。
「そのドレス、おねぇとこの?」
「ええ、彼女の作るドレスはどれも一級品ですからね。頼んで作ってもらいました」
「そっか。似合ってるよ」
俺の言葉とともにシアンは顔を赤くした。
「え、そそそ、そうですか? スズもそんな事おっしゃるのですね」
「失礼な、俺だってそれくらいは言うよ」
「そうですか。ふふ、ありがとうございます。スズは制服のままなんですね」
「着替えるの面倒だし、パーティー用の服なんか持ってないからな。制服でいいらしいし」
なんて事を話しながら馬車に揺られているとどうやら会場についたみたいだ。
「それでは、しっかりエスコートしてくださいね」
「はいはい、お手をどうぞお姫様」
シアンは俺が差し出した手を取り、共に会場内に向かう。
会場に入ると既に人がたくさんいた。
話し声がたくさん聞こえて来たが、俺たちが会場に入った途端、一瞬静かになったあと、先ほどを上回る話し声が聞こえるようになった。
「シアン様が殿方と一緒に」とか「あの方は入学生代表の」とか「やはり、他国の王子様では?」とかいろんな話し声が聞こえてくる。
しばらくすると会場の入り口からハルさんとリーシアさんと学園長が入ってきて、祝辞の挨拶とともにパーティーがスタートした。
シアンは交流のある人たちと話している。
そして、俺はひたすらメシを食っている。
最高峰の学園のパーティーなだけあって中々上手い。
なんだか俺に話しかけたそうな人たちーー女性が多いかなーーが結構いるが俺がひたすら食べているので話しかけずらそうだ。
別に話す必要も無いので無視して食べ続ける。
だって、ほとんど貴族だろうし話すには食事を止めなければいけないじゃないか。
時間もかかりそうだし。
そんな時、ジークと一人の女性がやってきた。
基本的に新入生と教師のみのパーティーだが、例外として国王であるハルさんや王妃のリーシアさん、そして主に生徒会などに所属している少数の上級生もこのパーティーに出席している。
ジークは在校生代表なだけあって、生徒会長らしい。
本当によくやるよ。
「やあ、スズ、パーティーは楽しんでいるかい」
ジークが話しかけて来たので、口に含んでいるものを飲み込んだ。
「……まあ、料理はなかなか美味しいよ」
「そうかい、それは良かった。……一応大量に料理は用意されているはずだけど食べ過ぎないでね。ああそうだ、スズ、入学おめでとう」
「スズ様、ご入学おめでとうございます。とても喜ばしいことですわ」
「ありがとう。ジークにティリア」
ジークと一緒にいるこのですわ口調の見るからにお嬢様っぽい女性はティリア・クロード。
クロード公爵家のご令嬢でジークの婚約者である。
ジークの婚約者なだけあって幼い頃から結構な交流がある。
「それじゃ、僕たちはまだ話す人がいるからそろそろ行くよ。引き続きパーティーを楽しんでいってくれ」
「それでは、スズ様ごきげんよう」
少し話すとジークとティリアは去っていった。
二人とも大変だなあ。
二人を見送りながらまた食べ始める。
あまりにも早く自然な動作で食べ始めたため、俺と話したそうにしている人たちはジークたちが去った瞬間と言う俺に話しかけるタイミングを逃したようだ。
くくく、簡単には負けないぞ?
……俺は戦っているのだろう?
それからしばらくすると、シアンが俺のところにやってきた。
「さっき、お兄様とティリアお姉様と話していたみたいですけど何を話していたんですか?」
「入学おめでとうって」
「そうですか。それにしても、ここら辺の料理もうほとんど無くなってるじゃ無いですか。食べるの早すぎですよ」
まあ、途中から俺と話そうとしていた人たちが呆然としだしたしね。
明らかに人一人が食べる量じゃないし。
そんな事を話していると一人の男子生徒がやってきた。
「これはこれはシアン様、相変わらずお美しい。」




