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超人さんの転生譚〜人間超えて鬼になる(旧題:超人さんがいく!異世界転生)  作者: 羽狛弓弦
第二章:よくあるかもしれない王都学園生活(仮)
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20 執事とメイド2

 なるほどね。

 俺は二人から語られる話を聞いた。

 ……感謝するしかないな。

 何しろ死してなお俺を守ろうとしてくれたのだから。


 俺も二人に話す。

 その後両親に拾われ、二人の子供になったこと。

 立派に成長したこと。

 そして、自身が転生者であること。

  転生者であることについては誰にも話した事がない。

 もちろん、両親にも、シアンやハルさんたちにも。

 だだ、彼らには言っておかなければいけない気がしたのだ。


『転生者。そのような者がいるのですね』

「ただ、転生者って言っても覚醒したのは1歳を過ぎてからだよ。二人がいなければ俺は覚醒するまでもなく死んでいた。俺が生きているのは二人のおかげだ。ありがとう」

『そのようにおっしゃってくれるとは、それだけで私たちは報われます』


 ゼシェルが感慨深そうに言う。

 セレスティナも先ほどからずっと泣きっぱなしだが頷く。


「さて、これから二人ともどうするの?」

『どう、とは?』

「どうやら、二人ともこの地の呪縛から解き放たれたみたいだし、こうして俺は生きている。もう守ってくれる必要はない。自由だよ」


 そう、彼らは自由なのだ。

 彼らはこの地に縛られたレイスだったが、解放されてどこだって行ける。

 この地に留まる必要も無くなったのだ。

 レイスと言えば幽霊みたいな者だが、魔族の中にレイスもいる。

 一種の不死魔族みたいなものだ。

 死んだのだから成仏しなければいけないという訳でもない。


「俺は二人に出来る限りのことはするよ。ってすぐには決められないよね。ちょっとこの辺を調べてくるよ。ギルドの依頼報告もしないといけないし」


 そう言って屋敷にから出て行く。

 辺りを調べてみると、半異界化は解除されている。

 魔力濃度は濃いままだが徐々に薄まっていくだろう。

 しばらく調査してから屋敷に戻った。


『スズ様、これからの事、我ら二人とも決めました』


 屋敷に戻るとゼシェルが俺に報告してくる。

 セレスティナも既に泣き終わっておりゼシェルの隣にいる。

 どうするのかな?

 この国は魔族も少ないがいるので暮らす分には十分だし他の国に行ってもいい。

 どちらにしろ二人とも幸せになってくれるのを祈るばかりだ。


 そんな俺の予想とは裏腹に二人は突然俺の目の前で跪いた。


『『我ら二人、スズ様にお仕えしとうございます!』』

「……は? どういうこと? 二人とももう自由なんだよ? もう俺に縛られる必要はないんだよ?」

『確かに、我らはスズ様に縛られていたのでしょう。しかし、これより自由になるのだとしたら私たちは自らの意思としてスズ様にお仕えしとうございます』


 ゼシェルが顔を上げて言う。

 隣ではセレスティナも顔を上げて俺を見つめてくる。

 二人とも本気で言っているようだ。


「……わかった」


 正直言えば後で建てる予定のマイホームを管理してくれる人が欲しかったのだ。

 元々は適当に悪魔でも使役して管理させようかと思っていたけど、二人が俺に仕えてくれるなら歓迎しよう。

 何しろ死んでまで俺を守ろうとしてくれたのだ。

 信頼できる。

 正直言ってかなり嬉しい。


『おぉ! では?』

「うん。こちらからもお願いするよ」


 そう言うと二人は同時に頭を下げて、宣言した。


『『我らの忠誠をスズ様に捧げます!』』

「わかった。ゼシェル、セレスティナ、二人の忠誠を受け取ろう。……さて、だったらその体だと何かと不便だろう」


 レイスは魂だけの受肉していない精神生命体だ。

 物に触れる時に魔力を消耗してしまうし、存在の維持にも魔力が消耗する。

 この地は魔力濃度が濃いため、そんな事は無いが外に出ればそうなる。


 ならば受肉させてやればいいのだ。

 二人の魂を核として肉体に受肉させる。

 そうすれば、レイスとしてのデメリットを消すことができる。

 そして、俺ならば二人に受肉させる事ができる。

 その事を二人に伝える。


『なるほど、さすがはスズ様。あいわかりました。スズ様、お願いいたします。セレスもそれで良いな?』

『はい、お父様。スズ様、よろしくお願いします』

「わかった。すぐに王都に帰るつもりだけど何か持ってくる物はある?」


 俺の問いに二人は首をふる。


「そう。じゃあ、始めるよ」


 俺は二人の元まで行って、両手をそれぞれにかざした。

 そして、二人を『暴食(グラ)』で捕食した。


 一部の魔物は魔力の塊から生まれる。

 代表的なものはスライムだ。

 そこで俺は二人の魂を核として大量の魔力をもって二人の体を構築していく。

 普通に魔力を固めただけならそのうち霧散してしまうだろうが、『調理師』を使って作り変えていく。

 あえて言えば二人の魂を核としたマジックゴーレムみたいな感じになるだろう。

 まあ、ゴーレムとはかけ離れているだろうけど。


 二人を『暴食』で喰った俺は屋敷を出て王都に帰る。

 もうすっかり夜である。

 お墓は必要無くなったな。

 屋敷を出た俺は一度振り返りる。

 この屋敷にいた記憶はない。

 でも俺にとってここは大切なルーツだ。

 二人がいなければ、この屋敷が無ければ俺はここに存在していなかっただろう。


「ありがとう」


 そう呟き、転移で屋敷を後にした。


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