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超人さんの転生譚〜人間超えて鬼になる(旧題:超人さんがいく!異世界転生)  作者: 羽狛弓弦
第二章:よくあるかもしれない王都学園生活(仮)
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18 メルデル大森林の屋敷

「で、俺は合格?」

「当たり前だ。明日までにAランクの冒険者カードを発行しておく。それ以降に取りに来てくれ」


 試験を終えてギルマスの部屋に戻ってきたのだがどうやら無事に合格したようだ。

 当然だが俺もだけどおねぇも手加減していたのだ。

 能力をほとんど使わず力を抑えていたと言ってもいい。

 おねぇは今回巨大な闘気の拳を放ってきたが、せいぜい全長2メートルくらいの大きさだった。

 実際はもっと大きく作れる。

 それこそ巨大なドラゴンを素手で殴り殺すほどのだ。

 さらに闘気の分身を最大10体ほと作り出せるらしい。

 見たことはないが。

 

 俺も"爆神掌"の威力を押さえつけたり他の技を使わなかったりしたけれどおねぇもやはり本気ではなかったのだ。

 だから勝ったけれど失格なんてことにならなくて良かった。


「それじゃ、あたしはそろそろ帰るわね。スズちゃん今度またお店に来てね」


 おねぇが帰ろうとした時、ノックの音が響きわたる


「はいれ」

「失礼します」


 入ってきたのはエリーとは違う受付嬢だ。


「プリティーナさんにあなたはスズさん?」

「なんだ、知っているのか?」

「お会いしたのは初めてですが既にエリーが興奮したかのように色んな人に言い回っています。たしかにこれは…」


 受付嬢は俺の顔をジロジロ見てくる。


「で、なんの用だ?」

「あ、そうでした。(例のメルデル大森林の屋敷の調査依頼ですがBランクパーティーが依頼を受けたのですが失敗したそうです。)」


 受付嬢はギルマスに近づき俺たちに聞こえないように耳打ちする。

 残念ながら聴力のいい俺には聞こえているんだけど。

 たぶんおねぇにも聞こえている。


 にしても、メルデル大森林の屋敷ね。

 まさか……。


 報告が終わった受付嬢は部屋を出て行く。

 一緒におねぇも出て行った。


「ねえ、そのメルデル大森林の屋敷って?」

「なんだ聞こえていたのか。最近、メルデル大森林の内部で屋敷が見つかったのだ。」


 聞くと、その屋敷の周辺は何故か魔物が近寄らず、またその屋敷に入った瞬間何者かの攻撃を受けて気絶して屋敷の外に放り込ん出されるらしい。

 もし、うまいこと活用出来ればメルデル大森林での安全地帯を確保できる為調査依頼をギルドが出していたのだ。


 最初は死ぬことはない為Dランク程度の依頼だったが全て失敗に終わり、Bランクの依頼にまでなった。

 しかし、Bランクパーティーが挑むもたった今失敗の報告が入ってきたのだ。


「……その依頼、俺が受けてもいい?」

「なに?」


 結果的に俺は依頼を受ける事になった。

 もっともまだギルドカードが出来ていないので受けるのは明日以降になのだが。



 翌日、昨日と同じ時間帯にギルドにやってきた。

 受付にエリーがいたので彼女の元まで行く。


「あっ! スズくん! 何かご用?」


 この人、様やらくんやら呼び方よく変わるな。

 

「冒険者カードできてる?」

「ええ、できていますよ」


 エリーは奥まで行くと、銀色のカードを持って戻ってきた。


「はい、コレがスズくんの冒険者カードですよ。それにしてもすごいですね。初めて発行されるカードがAランクのカードなんて。将来有望なんてものじゃないですよ! Sランクだって夢じゃなんのではありませんか!?」


 エリーが興奮しながらカードを俺に渡す。


「一応説明しておきますが、もし紛失した場合は再発行に銀貨5枚必要となりますのでご注意ください。……ところでもうすぐ私、お昼休憩なんですけどよかったら一緒にお昼しません?」

「ああ、ごめん。無理だ。」


 エリーが昼食を誘ってくるが俺はすぐに依頼を受けるので断ることにする。

 面倒なのでたぶん用事があろうが断っていたと思うが。


「そ、そうですか。また機会があったらお願いします」


  エリーはションボリしたように言う。


「ところで、この依頼を受けたいんだけど」


  俺はエリーに昨日ギルマスから貰っていたメルデル大森林の屋敷の調査の依頼用紙を渡す。


「この依頼ですか。Bランクパーティーも失敗してAランクの依頼になっていますね。死者は出ていないようですが少々危険では?」

「問題ないよ、一応俺Aランクだし受けれるでしょう?」

「…はい、わかりました。では受理いたします」


 依頼を受ける事ができたので、ギルドを出て目的地に向かうことにする。



 王都の門を通るのは面倒だったので転移で王都の外に出たあと、目的の場所へ一気に空を飛んで向かった。

 空中に一時的に魔力で結界のような足場を作って走っているのだ。

 俺の脚力なら一歩でかなり進むため走っているというよりは飛んでいるの方が正しいかな。

 ちなみにこれは俺やハルさんのような上位者の必須技能を応用したものである。

 俺たちクラスが戦闘時に思いっきり踏み込むと踏み込んだ場所にクレーターができる。

 そうなるとバランスを崩してしまうため戦闘がままならないのだ。

 そこで今やっているように踏み込み時に地面に特殊な足場を作って戦うのだ。

 今やっている空中移動はこれの応用だ。

 浮遊魔術でもいいのだが、こっちの方が早い。


 空を駆けてメルデル大森林までやってくる。目的の屋敷は大森林の中層部よりは浅い場所にある。

 それでもメルデル大森林は広大なため多少時間がかかった。

 目的の屋敷の近くまでやってくるとあたりの空間が変化するのを感じる。

 森であるけれど木々で光が遮られるのではなく、少し陰鬱とした薄暗さになり辺りの魔力濃度が急に濃くなった。

 闇の領域のように半異界化しているようだ。

 おそらく魔物はこの異様な空間の気配を危険に感じて近寄らないようにしているのだろう。

 さらに進むとある建造物が目に入った。

 それは、ギルドでは屋敷と呼ばれているが屋敷と呼ぶにはとても小さな建物だった。


 この屋敷の事はギルドで知る以前から知っている。

 なぜなら、かつてこの屋敷に俺は住んでいたことがあるからだ。

 俺が両親に拾われるまで。


 屋敷の玄関の扉を開けて中に入る。

 屋敷に入ると光が屋敷内に入ってこないのかとても暗い。

 しかし、俺は歩を進める。

 扉から数歩歩くと突然背後から何者かが襲いかかってきた。


 闇に紛れ極限まで殺された気配のまま、何者かは強烈な手刀を俺の首筋に放ってきた。

 しかし俺は後ろを見る事なく回避する。

 常人なら確実に気絶する威力だったが当たらなければ意味がない。

 極限まで殺された気配であったが俺の感知能力を超えることはなかった。


『突然の攻撃、申し訳ございません。しかしお客様、この場には何もございません。早急にお帰りなさいませ。』


 とても物腰の柔らかい落ち着いた男の声が屋敷全体から響き渡るように聞こえてくる。


「すまないけど、いくつか用事がある。」

『そうですか。なら、仕方がありません。この場を荒らされる訳にはまいりません。少々乱暴ですが早急に出て行ってもらいましょう!』


 再び俺に攻撃を放ってくる。

 一撃を加える毎に闇に紛れ、また一撃を加えてくる。

 俺はそれを全て回避するか防御した。

 相手が傷つかないように。


『はあああああ!』


 今度は女の声した者が俺に強烈な拳の一撃を加えてきた。

 男のものの攻撃よりも遥かに強烈な一撃が。

 おそらく男だけだと俺を相手にすることは難しいと感じたのだろう。


『今すぐここから出て行きなさい!』


 男と違って闇に紛れず息つく暇もないような怒涛の攻撃を放ってくる。

 女は必死の形相だ。

 何かを守ろうと必死になっているようだ。

 男も女をサポートするように見事なタイミングで攻撃を仕掛けてくる。

 すばらしい連携である。

 しかし、俺に全て防がれる。


「俺がここに来た目的の1つはギルドに調査依頼を受けたからだ」

『ここには何もありません! 直ちに出て行ってください!』

「2つは、ここにある人達の墓を建てるつもりだった。が、お前たちを見てやめた!」


 俺には目の前にいる女の顔を見覚えがあるような気がする。

 覚醒前だった為ほとんど記憶になく、顔も名前も覚えていないが、両親に拾われる前に二人の男女に育てられていた記憶が微かにある。

 男の方は老人で、女の方は20代前半の人だった。

 丁度俺に攻撃してくる目の前の女性のような。


「3つ、俺の名前はスズだ! この名前に聞き覚えはないか!」


 その瞬間、二人の攻撃が止まった。




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