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超人さんの転生譚〜人間超えて鬼になる(旧題:超人さんがいく!異世界転生)  作者: 羽狛弓弦
第二章:よくあるかもしれない王都学園生活(仮)
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13 ハッシュバルト・グローリアス

 ハルさんの先祖、初代グローリアス王国国王はハーフエルフである。


 彼はその絶大な力で国を作り上げた。

 また、彼の子供は人間として生まれたが親の大きな生命力と膨大な魔力を受け継いだ。


 そして、その子は膨大な魔力を持っているにも関わらず、暴走で死ぬことはなかった。

 また、その力はその子供の子にも、またその子供にも受け継がれていった。

 同じく魔力暴走で死ぬことはなかった。


 そして、彼らは皆、なんらかなユニークスキルを所持していたほど力を有していたのである。

 こうして代々力は受け継がれてグローリアス王国は繁栄していった。


 これがハーフの家系は栄えると言われる所以である。


 さて、そんなハーフエルフの血だが、徐々に薄れていき、王家本家でさえも他と比べれば優秀であるが、ユニークスキルを持たぬものがほとんどになってきていた。

 王家の血を濃くしようと画作するが、初代の血の濃い者はとある特性によりほぼ不可能であった。


 今まで、初代の子孫が力の大小はあれどユニークスキルを保持する者がい続けたのが異常だったのだ。


 そんな中、ハルさんが生まれた。

 彼は初代に続く異常者であった。

 それはグローリアス王国にとって良い意味だった。

 ハルさんの両親は共に人間だ。

 しかし、彼の耳はシエルほどでは無いが普通の人間よりも尖っている。


 ハルさんは先祖返りである。

 一応種族としては人間として生まれたがハーフエルフにも寄っていた。

 そして、初代をも凌駕するほどの生命力と魔力を持って生まれた。

 もちろん魔力暴走をする事はなかった。


 そんなハルさんだか持って生まれた力に満足する事なく修行をしたり、冒険をしたりして己を鍛え上げていった。

 そして、その結果、『人間』から、人類の守り手とされる『聖人』へと進化した。

 その力は絶大であり魔王にも匹敵すると言われている。

 それこそ、冒険者時代に勇者で無いにも関わらず、魔王の1柱を倒し、お互いに認めあっているほどに。


 そんな彼は現在、ユニークスキル『槍聖』を保有し、『槍聖王』とも呼ばれてグローリアス王国の国王として君臨している。




 お互いに地を蹴り一瞬で距離を詰めた。

 ハルさんは間合いに入ると神速の突きを放つ。

 俺はそれは紙一重で避け、ハルさんの胴目掛けて横薙ぎの剣戟を入れる。

 しかし、それで決まるわけもなくハルさんは槍の柄で防御すると、そのまま槍の刃の部分で切り上げてきた。


 それを、刀で防御してそのまま滑るように切り込むが躱される。

 返す刀でさらに切り込むが槍で防御され、今度は回し蹴りを放ってくる。

 俺は刀で防御するのでは間に合わないと判断し同じく蹴りを繰り出して相殺し、一旦距離をとった。


 今回の手合わせは、純然な技量だけでの勝負である。

 一部特殊技能を覗いて、魔法も闘気もスキルも使用しない。

 そうしないと、周りに甚大な被害がでるから。


 もし、俺とハルさんが本気で戦う事になったら、ここら一帯、王城はもちろん王都も最悪更地になってしまうだろう。

 しかし、それでも、俺たちの身体能力は非常に高く、場合によれば周りの騎士に被害が出てしまうので結界を張っているのだ。



 素早さは俺の方が上で他はハルさんの方が上かな。

 そう判断した俺は、地を思いっきり蹴り、一瞬で距離を詰め、切り掛かる。

 当然防御されるが俺はそのままハルさんの周りを常に動き回り死角から攻撃するようにする。


 それに対してハルさんはまるでミキサーのように激しく、そして、針の穴に糸を通すように正確無比に攻撃してくる。


 そのまま数合打ち続け、俺は一瞬距離を取り、そして、この試合で一番の踏み込みで上段から斬り下ろす。

 それに対して、ハルさんは刀の刃に合わせるような正確かつ力強い突きを繰り出す。


 その結果、俺の刀は折れた。


 しかし、俺は切り掛かった勢いのまま回転し、方膝をつくような姿勢でハルさんの胸に手のひらを当てた。

 対するハルさんはそのまま槍の刃を俺の首に突きつけた。



「…あーあ、負けた」


「ふう、流石だなスズ、こっちも危なかったぞ」


 俺とハルさんは構えを解き、ハルさんは俺に手を差し伸べてきたので、その手をとって立ち上がる。


 俺は構築していた結界を解除する。


 その瞬間、周りの騎士からワァーーー! という歓声が響きわたる。


「陛下、スズ殿、お疲れ様です。素晴らしい試合でした」


 エシェントさんがそう言って拍手しながら近づいてきた。


「うん、ありがとう。はあ、疲れた」


 俺はそう言いながら折れた刀の刀身を拾いにいく。


「ハルさん、毎回毎回刀折るの止めてよ。直せるけど親方が知ったら怒られるよ?」


「アホか、それくらいしないと俺が負けるだろうが」


「この刀だってかなりの業物なんだけどな」


 俺はそう呟くと刀を『暴食』に収納した。


 実際この刀はかなりの業物だ。

 それこそお値段にしたら目玉が飛び出るくらいには高い。

 この王都で一番の鍛冶師と言われている人物が打った特質級(スペシャル)の刀だ。


 しかし、ハルさんの持つ槍は、伝説級(レジェンド)の槍、聖槍"グランシェーレ"。


 武具は幾つかのグレードがある。

一般級(ノーマル)特質級(スペシャル)希少級(レア)、そして、伝説級(レジェンド)といった具合だ。

 一般的には希少級(レア)の物が最高の物であり、国宝としても十分な代物である。


 しかし、ハルさんの持つ"グランシェーレ"は伝説級(レジェンド)

 その名の通り伝説的な破格の性能を誇る。


 そんな槍と俺の刀では残念ながら武器として圧倒的なまでの差がある。

 よっていつも俺の刀が耐えきれなくなり折れてしまって試合が終わるのだ。

 もし、全力で戦えば下手したら一撃で折られかねない。


「さて、俺はシアンのところに行ってくるよ。そろそろ行かないと文句言われそうだし」


「ああ、わかった。俺はこのまま、ここに残ってこやつらの稽古をつけるとしよう」


 ハルさんのその言葉に周りの騎士からおぉ! という感激の声が聞こえてくる。


「わかった、じゃあまた後でね」


 俺はその場を後にしてシアンのところへ向かった。



ー▽ー


「よし!お前ら!6名の小隊に別れろ!纏めて相手をする!」


 ハルのその言葉に騎士達は小隊を作り始める。


「陛下お疲れ様です。スズ殿は本当に強いですね。是非とも我が騎士団に入団して欲しいものです。」


 その間にエシェントはハルに今の試合を見て感想を述べる。


「止めておけ、どうせあいつは嫌がる。はぁー、それにしてもあいつ本当に強くなったな。初めて見たときから異常だと思ったけどここまでやばくなるとは」


「正直、私では手も足も出そうになさそうですけど陛下から見てもそこまでですか?」


「ああ、お前は知らないのか。最後にあいつ俺の胸に手を置いていただろう? 今回は場所が場所だし騎士達がいるからスキルも闘気による技も魔法も使わなかったから意味がないんだが、あいつには"爆神掌(ばくじんしょう)"という技がある。手に闘気を収縮させ、掌底とともに一気に爆発させるように闘気を放つ技だ。使うだけなら俺でもできるぞ」


 そう言うと、ハルは手に闘気を少し収縮させ、地面に向かって掌底打ちをした。

 すると、地面がえぐれ、小さなクレーターが出来上がった。


「見ての通りこれぐらいの闘気でも結構な威力がでる。これが最大限まで闘気を収縮させればとんでもない威力だ。しかし、闘気を収縮させるまでに時間がかかるし、かなり精密な闘気の制御が必要だし、敵にもろに何かしようとするのがバレてしまうので技として不完全も良いところだ。実践じゃまずい使えない」


「確かに、使うだけなら私でも出来そうですが闘いながらこれは難しい、というより不可能に近いですね」


 エシェントは、闘気を収縮させようとするがその制御が意外に難しく、闘気を手というかなり限定的な所にに闘いながら制御するなどほぼ不可能だと思った。

 それでも先ほどハルが見せたくらいの闘気の収縮に成功させているのはさすが騎士団長といったところか。


「しかし、スズは一瞬でこの技を放つ事が可能だ。もし、実践だったらあの時使えたので実際には相打ちに近いな。」


 (もっとも、こちらがそれ一撃で負けるとは思わないがスズも首に刃を突きつけたくらいでは負けることはないだろうな)


 そうハルは考える。


「なるほど、しかし、こんな事私に教えても良かったのですか?」


「ああ、どうやって一瞬で"爆神掌"を打つ事が出来るかはさすがに内緒だけどな。ここまではスズに良いって言われている。なんだったら技を懇切丁寧に教えてやっても良いと。まあ、実際にあいつにしか使えない技だしな」


 そう言うとハルは話を切り上げた。


「よし! それでは、一隊ずつかかってこい!」


 ハルは槍を構えて騎士達に訓練を施した。



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