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106 神の勇者

あとちょいだけどGW中は竜少女と交互に投稿します。

 時は遡る。

 約六年前。

 宮本勇輝はとある天使と行動を共にしていた。

 宮本勇輝はこの天使、レミエルに命を救われた。

 マモンに吹き飛ばされ、気を失っていた時に看病されたのだ。

 その時宮本勇輝はこの世の真実を知った。


 本来、この世界には正当な神がいた。

 それに悪魔と堕天使が仲間と共に反旗を翻し、神と天使を別世界に封じ込めたのだ。

 そんな悪しき集団、神王を名乗る集団が現在この世界を己が欲望のままに支配していると。


「じゃあ、この世界の人々は」

「ええ。悪しき神王たちの掌の上です」

「そんな」


 レミエルはこう言っているのだ。

 本来この世界は神の元で平和に暮らしていたにもかかわらず、神は追い出され、人々は神王たちの人質になっていると。

 宮本勇輝はそのように理解した。


「お願いです宮本勇輝さま。どうか、神とこの世界でそうとは知らずに神王によって支配されている人々をお救いください!」


 そんなことを言われると断れる宮本ではない。


「もちろんだ!俺にできることなら協力する!」


 やはり神王は悪だったのだ。

 当然だ。

 国一つ平気で滅ぼすような奴らだ。

 魔王に協力するような奴らだ。

 そんな奴ら放っておくことなんてできない。

 クラスメイトたちだって危険だ。

 だって、悪しき神王の一柱である鬼の側にいるのだから。

 いや、もしかしたら彼らはあいつの側に自分の意志でいるのではないのでは?

 もしかしたら洗脳されているのかもしれない。

 何としても救わなくては!

 支離滅裂な考えだが、宮本はそれが真実であった。


 しかしと宮本は考える。

 絶対にクラスメイト達を救い出さなければならない。

 だが自分にそれができるのか?

 たった一柱の神王にも勝てない自分が


「だが、俺はどうすればいい?悔しいが俺は神王の一柱にも勝てない」

「大丈夫です。あなた様が真の勇者になることができれば神王とも渡り合えるでしょう」

「俺が真の勇者になる?」

「ええ」

「だが、茨木は俺は勇者ではないと」

「鬼神王がそのようにいったのですか?」


 こくりと宮本はうなずく。


「考えてみてください。神王が言ったのですよ。それが嘘だとは?」


 ハッとなる宮本。


「鬼神王はあなたを恐れていたのです。あなたが勇者だと自覚して力をつけたなら自らを滅ぼす存在になりかねないと」

「そうか!だからそんな嘘を!」

「ええ。しかし、あなたは今ご自身が勇者だと自覚することができました。これよりあなた様には真の勇者として覚醒していただきたいのです。そして、神をこの世界に呼び戻し、人々を救い出すのです!」


 この時、宮本は幸福の絶頂にいた。

 やはり、スズは悪だったから。

 自分は勇者だったから。

 神に選ばれた存在なのだ。

 人々を救うべき勇者なのだ。

 悪を倒す勇者なのだ。

 特別な勇者なのだ。

 勇者なのだ。

 真の勇者なのだ。


 宮本は幸福だった。

 自身が特別な存在だと知って興奮した。


 あの時、朱里がマモンにむねを貫かれたことなどもう忘れさっていた。

 だって、自分が救うべきは世界で、敵はスズをはじめとする神王なのだから。

 相手は強大極まりない存在。

 傷つきながらも戦い、そして勝つ。

 なんて自分の為の世界なのだろう。


 ああ、本当に素晴らしい世界に来た。







頭パッパラパーな人って書くの難しいね

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