幕間 結婚式
やっと書けたぜ。
後書きで重大発表が!!
汝スズは、この女シアンを妻とし、
良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、
病める時も健やかなる時も、
共に歩み、他の者に依らず、
死が二人を分かつまで、愛を誓い、
妻を想い、妻のみに添うことを、
神聖なる婚姻の契約のもとに、
誓いますか?
「誓います」
汝シアンは、この男スズを夫とし、
良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、
病める時も健やかなる時も、共に歩み、
他の者に依らず、死が二人を分かつまで、
愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、
神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?
「誓います」
「それでは誓いのキスを」
…。
……。
………。
とまあ、こんな感じで結婚式を行なっているわけで。
グローリアス王女との結婚という事でグローリアス王国形式の結婚式を行なっている。
と言っても、グローリアス王国でも主にミルセフィア教が信仰されているのでそちらの形式でもあるのだが。
ミルセフィア教の総本山からかなり距離はあるので、そちらの形式と少し違っているようなのだが。
しかし、そんなミルセフィア教の結婚式もまた地球でのよくありそうな結婚式と同じ様な感じなのだ。
神父さんが俺たちに誓いを誓約させるといった感じの。
さて、その神父さんなのだが、なんと教皇が直々にやってくれているのだ。
なんかミトラが手配してくれたのだよ。
世界最大の宗教の教皇が結婚式の神父をやってくれるなんてなかなかない事だよな。
持つべき友は神だな。
「スズ、シアンおめでとう」
「おめでとうなのじゃ」
誓いの言葉や色々を終わり、パーティが始まった。
簡単な立食パーティだ。
簡単なと言ったが、そこに並んでいる料理はもちろん俺が丹精込めて作った物だ。
転生してから一番気合を入れて作ったかもしれない。
素材選びはもちろん、調理には俺の力の全てをつぎ込んだ。
神の領域の食事だ。
あまりに美味すぎて一口食べれば廃人になってしまう。
……もったいないけど、ある一定のレベルの存在しか食べれない代物になってしまった。
まあ、それでもハルさんとか神王とかは食べられるし、他の人には一般向けの料理を作っておいたので大丈夫。
閑話休題。
そんなパーティになって最初に俺たちの所にやって来たのはレヴィアとアルマだ。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「結婚ねぇ。ほんとおめでたいわ。基本的に私たちには縁がないから」
まあ、俺たち神王は寿命がないからな。
つまり、子供を残す必要がない。
というか、一般的な子供をつくる事がほとんどできない。
無理やりつくる事は出来なくもないが、ほとんど分体みたいな感じになるし何か違う。
それか自分の存在を犠牲して生まれたての精霊に魂の一部を受け継がせてつくるか。
前者はベルフェストの子供や孫たちだ。
彼らは分体を改良して固有の自我を持たせた存在。
ベルフェストは彼らを自らの子孫と呼んでいるしある意味そうなのだが、俺の感覚からすれば子供というよりもクローンのような感じがしてしまう。
そして後者はアルマだ。
大神が死に際にそれをした結果誕生したのがアルマ。
もちろんこれも論外だ。
とまあ、こんな感じで番いをつくる必要もないしで俺たち神王は結婚なんて普通はしない。
彼らの部下も基本的に高位生命体なので似たような事になるので結婚に縁がないのだ。
最近のですら数百年前にユウとメーシュが結婚した時だ。
「おめでとう二人とも」
「おめでとうなのじゃ」
なんて考えていたらその二人がやって来た。
一通り二人とも挨拶を交わして雑談にはいる。
「そういえばアルマとメーシュって話し方似ているよな」
「「うむ。そうじゃの」」
「アルマはメーシュを昔から姉のように慕っているからね。いつの間にかメーシュの口調がうつってしまったみたいなの」
そうだったんだ。
アルマはレヴィアが育てたみたいだけど他の神王達とも大いに親交がある。
というか、神王全員で育てたって感じみたいだ。
なかでもルシアの配下であるメーシュは数少ない女性としてアルマの子育てに参加していたので当然仲は良いのだろう。
「それじゃあ楽しんでいってくれ」
ひとまず、四人と別れると次から次へと俺たちの元に祝いの言葉を述べに客がやって来た。
「がはははは。スズよ、めでたいな!」
豪快に酒を煽りながらやってくる巨大な男、巨人王シャイターン。
「先ほどまで起きていらしたのですが眠ってしまいましたので私がお爺様に代わってご祝辞を。鬼神王様、鬼神王妃様。この度は本当におめでとうございます」
シャイターンの隣で眠っている竜神王ベルフェストを乗せた車椅子を引く少女。
彼女はベルフェストの孫に当たり、普段眠っているベルフェストに代わって神王の支配地を支配する七体の王竜の一柱である。
「スズ〜、シアン〜。おめでとう!!」
その三人に続いて来たのは霊神王イルミスと、
「めでたいな。本当にめでたい。二人ともおめでとう」
一際異彩なオーラを放つ、男とも女とも大人とも子供ともとれる存在。
神王の創設者で実質トップの魔神、魔神王ルシア。
「二人とも来てくれてありがとう」
「当たり前じゃない! こんなおめでたくて楽しいイベント来なきゃ損よ。ね、ルシア」
「おう、そうだな」
終始楽しそうな雰囲気でいるイルミスに対してルシアの返事は軽いものだが、決して退屈しているとかそんな雰囲気ではないようだ。
よかったよかった。
「スズ」
そして、最後にやって来たのは天神王ミトラ。
「ミトラ、今日はありがとうな」
いや本当に感謝している。
彼のおかげですばらしい結婚式を挙げるする事ができた。
なんたってミルセフィア教の教主が神父役をやってくれたんだからな。
……やってやれって命令しかしていないな。
まあ、それが無かったら教主が神父役をやってくれる事はないのだからやはりこいつに感謝すべきなのだ。
「ふっ、気にするな」
それにしてもこいつはクールだな。
いや、感情を表に出さないって感じだな。
この前、自分で祭りとかは好きだって言っていたし、ちゃんと楽しんでいるのだろう。
今だって意外と照れているのかもしれない。
……ないな。
「お兄ちゃん! シアンお姉ちゃん!」
そんなミトラと話している最中にシエルが俺とシアンにまとめて抱きついてきた。
そんなシエルを追って爺やとセレスが慌ててやってくる。
「むー、お話長いよ! 私だっておめでとうって言いたい!!」
どうやらシエルはいち早く俺たちの元に来たかったみたいだが、神王達が挨拶にやってきていたため、爺やとセレスが気を利かせて止めていたみたいだ。
そして、がまんの限界を迎えて今来ちゃったと。
まあ、悪い事ではないからいいのだけど。
「それでは私は失礼しよう」
「すまんなミトラ。ああそうだ、この子が俺の妹のシエルだ」
と、せっかくなのでミトラにシエルを紹介する。
ミトラはシエルを一瞬ジッと見て見つめたかと思うとフッと笑って頭を撫でた。
「よろしくシエル」
「えっと、よろしくです!」
「時間を取らせて悪かったな。ではまた」
んー、気に入ったのかな?
たぶんそうだ。
それにしてもあいつがあんな風に笑うの初めて見たな。
まあ、それだけシエルは可愛いって事だな!
なんせ俺の妹だし。
「お兄ちゃん! シアンお姉ちゃん!」
シエルが俺とシアンに向き直る。
「ご結婚おめでとう!!」
まるで自分の事のように、とても嬉しそうに、顔に花を咲かせて俺たちを祝ってくれた。
「スズ様、シアン様。遅らせながらご結婚おめでとうございます。今日という日を迎えられてこの爺や、爺やは、クゥゥゥ」
「ちょっとお爺様! こんな時に泣かないでくださいよ! スズ様、シアン様。おめでとうございます。私、今日とっても嬉しいです」
珍しく泣く爺やとそれを嗜めるセレスといった珍しい組み合わせを見たが、二人も俺たちを祝福してくれている。
それからも様々な人たちが俺とシアンを祝福してくれた。
「あ、あの、私たち完全に場違いな感じするんだけど」
「……(コクコク)」
神王だったり、魔王だったり、王族の関係者だったりと世間一般では雲の上の存在が多数いるこの空間に気後れしているゼンジローとサヤ。
「ちょっとスズ! あの方なんなのよ! あたしのちょー好みなんだけど!」
「二人ともおめでとうございます」
恐れを知らないのか神王が一柱、巨人王シャイターンに色目を送るおねぇに普通に祝辞を述べる学園長。
「おめでとうございますスズ様、シアン様」
「おめでとうございます」
「「「鬼様、お妃様おめでとうーー!!」」」
俺が守護するこの村の住人となっている悪鬼を束ねるリオンと妖精を束ねるテレスさん。
そして、楽しそうにしている妖精たち。
ちなみに、式を挙げている場所はこの村だ。
それと、これは余談だが、妖精達は俺を鬼様と呼ぶ。
シエルの事は鬼姫様。
シアンはお妃様だが、最初は違った。
まあ、アレはさすがにな。
珍しくシアンのキレている顔を見たよ。
「「「おめでとうございます」」」
他にもジークのパーティメンバーだったり、シアンが呼んだ招待客だったりと様々な人たちが俺たちの結婚を祝ってくれた。
「スズ、シアン。おめでとう」
「お二人方おめでとうございますわ」
「お兄様、お姉様」
そして来たのはジークと彼にエスコートされているティリア。
「いろいろと話したい事はあるけれど、とりあえずはコレだけ。スズ、シアンの事は頼んだよ」
「任せろ」
「シアンも幸せにね」
「はい!」
ジークは本当にそれだけを言って去っていった。
ジークはこの世界に転生して以来、最も付き合いの長い親友だ。
余計な事は言わなくても大丈夫だと分かってくれているのだろう。
大丈夫。
ちゃんとシアンは幸せにするよ。
任せておけ。
「スズ、シアン」
最後にやって来たのはこの人たちだ。
この人達がいないはずがない。
父さんの、母さんの親友であり、シアンとジークの両親。
「ハルさん、リーシアさん」
「お父様、お母様」
「シアン、おめでとう。とっても綺麗よ」
「お母様ぁ、私、私」
ふるふると泣きそうになるシアンと抱きしめるリーシアさん。
「スズ」
「ハルさん」
「はぁ、とうとうシアンが嫁に行ってしまうのか」
「いや、おめでとうぐらい言ってよ」
あなたは何しに来たんだ。
「俺だって昨日までそのつもりだったんだ。だが、いざシアンが嫁にいくとなると憎しみが」
「あなた」
「……冗談だ」
うーん冗談じゃないよね。
だって今度模擬戦でもして一撃お見舞いしてやろうって顔しているもん。
だけどそんな顔はすぐに失せた。
「二人ともおめでとう」
それはとても穏やかな表情をしていた。
思えば俺はこの人にずっと憧れていたのかもしれない。
今でこそ力の関係者は逆転したが、この人は俺よりもずっと上の存在だった。
前世では俺は最強だった。
あらゆる才能を極限まで持ち合わせていた。
もちろん戦いに関する才能も。
事実、某国の特殊部隊に追いかけられた時は逆に本部に乗り込んで無傷で壊滅させた事がある。
今みたいな強靭な肉体を誇っていない、生身の人間の時に。
そんな俺がこの世界に転生して初めてぶち当たった壁がハルさんだ。
能力による差異があり、総合的に不利であっても自らの技量で子供ながらこの世界でもトップクラスの力を子供の時からあった。
しかし、その技量でハルさんには一向に勝てなかった。
固有の力に関係ない技術や技量で負けたのは前世ではない事であった。
だから憧れていたんだと思う。
自らの上をいく存在に。
神王になってもそれは変わらない。
俺は今でもハルさんに憧れているし尊敬している。
だから、そんな彼に認められた気がして祝福されて俺はとても嬉しくなった。
「シアン、幸せにな」
「グスッ、お父様っ。わた、私っ。もう、幸せです! こんなに嬉しいのは初めてです!」
さらに号泣するシアン。
シアンもハルさんに祝ってもらえてとても嬉しくなったのだろう。
泣くのを我慢できないくらい。
「父さんも母さんも喜んでいるかな」
だから、ふとそう思った。
「喜んでいるよ」
本当にふと出た独り言だったが、それにいつの間にか近くにいたシエルが反応した。
「お父さんもお母さんもおめでとうって」
シエルは刀を取り出す。
それは抜き身の刀。
銘は"桜"
シエルが持っている事で刀が進化しつつあるのか、その刀身は紅く染まりつつある。
それはまるで、刀がシアンに合わせて共に成長しているようだ。
「私、ちゃんと聞こえたもん。二人ともお兄ちゃんとお姉ちゃんにおめでとうって言っていたもん」
その言葉に合わせて一瞬、刀が淡く光った。
「これは!?」
どうやら俺だけではなくハルさんも、シアンもリーシアさんも見えたらしく驚いている。
"桜"は父さんの形見だ。
たぶんそういう事なのだろう。
これはきっと奇跡なのだ。
こんな結婚式を挙げる事が出来たのも奇跡だ。
こんなに幸せなのも。
「スズ」
「シアン」
こんなに愛する存在ができた事も。
だから俺が戦う。
この奇跡を守るために。
相手がそれを壊すというのなら誰でもあろうと。
神だろうが天使だろうが悪魔だろうが。
俺は戦う。
大切な存在を守るために。
こんな日がずっと続くように。
なんか綺麗に終わって最終回っぽくなった。もうコレ最終回で良くない?ダメ?まあ、後2章ぐらいで終わるしプロットも出来ているのだけど。
告知!!
なんと我慢しきれずに新作投稿しちゃいました。テヘ\(//∇//)\
題名は『過剰回復の竜少女』
異常な回復能力を持った少女が精霊と共に、過剰回復というものを武器に旅したりする物語です。
涙あり、笑いあり、感動の物語!!
だったらいいなの物語です。
皆さん是非読んでください。
ブックマークしてくれたり評価してくれたり感想をくれたりすると作者が幸せになるので是非に。
まあ、豆腐メンタルなんですけど。
せっかくなので映画の予告みたいなのやっちゃいます。
ー▽ー
それは人と竜と精霊の物語。
「私、死んじゃうのかな」
少女が死に瀕した時、精霊が現れる。
《死んじゃダメ!!》
「死んじゃダメ? 誰なの?」
《私はメーティス》
少女はさらに運命の出会いを果たす。
『わたくしは星竜メラク』
少女と精霊と星竜の出会いはいずれ世界を大きく動かす。
「いいこと! あなたよりもわたくしの方がレオナルド様に相応しいのよ! 身を弁えなさい!」
悪役令嬢系天才魔法少女。
「これは"流星"の」
世界にその名を轟かすおっさん剣聖。
「あたし、この森から出た事ないの。ねぇ、教えて。世界ってどんな光景が広がっているの?」
エルフの里で虐げられるハーフエルフの少女。
仲間と出会い、世界を旅する冒険譚。
出会いと別れを繰り返し、少女は世界の中心へと誘われていく。
「不浄の化け物!! みんな戦闘準備!!」
そんな少女の宿敵、謎のアンデット不浄の化け物。
少女は戦う。
みんなの為に。
自らの為に。
怖くても立ち向かう。
仲間と共に。
『過剰治療の竜少女』
絶賛連載中!!
「みんな見てねー」
ー▽ー
それでは皆さんさようなら。




