表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/138

89 チカラの差

「うおおおお!!」


 開始の合図とともに宮本が剣を振り上げて接近してくる。

 そして、振り下ろされる剣。

 おそらく本気の一撃。

 その剣には殺意が乗せられていた。

 無意識に殺す気だったのだろうか?

 俺はその攻撃に対して何もしなかった。

 いや、正確には既にし終わっていた。

 振り下ろされる剣が俺に当たる目前にして体に沿うようにぐにゃりと曲げられて振り下ろされた。


「は?」

「どうした? もう終わりか?」

「くっ、なめるな!!」


 返す刀で剣が迫って来るが再びぐにゃりと曲がる。


「な、何をした!?」

「さあ? ほら、時間がないぞ?」


 そこから宮本の猛攻が始まるが全て俺に届く直前で曲げられて当たる気配すらない。

 俺がやっている事は簡単だ。

 俺の周囲の空間を捻じ曲げているだけだ。

 空間は連続している。

 それを曲げてやると物を真っ直ぐ進ませても曲がった通りに進んでしまう。

 溝に水を流せば、それに沿って水が流れるように。

 それを俺の周囲でやればこの通り物体が俺を避けて通るのだ。


 一見、万能な防御法に見えるけれど、そうでもないんだよな。

 俺が戦いと言えるレベルで戦えるような奴はこの程度なら余裕で突破してくるから全く使えない。

 ハルさんとか余裕で突破するしな。

 ジークでも可能だろう。

 でも、こいつなら無理だ。

 こいつが操られていた時にこいつの実力はだいたい把握している。

 どんなに高く見積もってもこいつにこれを突破する事は不可能だ。


 あ、なんか光りだした。

 ちょっと強くなったかな?

 俺からしたら誤差の範囲だけど。

 なんかスーパーな野菜人みたい。

 金髪にはなっていないけど。

 これが宮本のスキルか。

 あの時使ってなかったみたいだけど。

 使わなかったのか、それとも使えなかったのかな?

 おそらく後者。

 能力の補正値からいってなんらかの代償があるのだろう。

 大体分かってきたけどやっぱり視るだけじゃなくて捕食しないとちゃんと解析が出来ない。

 まあ、何にせよ状況が変わる事はない。

 100が200になった所で億には程遠いのだから。


「ほら、もう時間がないぞ?」

「くっそおおおおお!!」


 宮本は後退し、剣を上に掲げた。


「うおおおおおおお!!」


 剣に光と魔力が集まってくる。

 剣に全魔力を集中しているようだ。


「なっ!? 宮本!! 止めろ!!」


 先生が止めようとするが宮本は聞いちゃいないようだ。

 先生の言い方からして彼らにとって大きな攻撃なのだろう。


「くらええええ!!」


 そして放たれる光の斬撃。

 膨大なエネルギーの奔流が俺を飲み込もうと迫って来る。


「はい、2分間たった」


 俺はそれに向かって手をかざし、吸収した。


「は?」

「じゃあ、俺の番な」


 そのまま手を宮本に向ける。


「"リ・バース"」


 手から放たれたのは先ほど宮本が放ったモノと同じモノ。

 "リ・バース"は相手の放出系の技をそのまま捕食して相手に向かって吐き出す技だ。

 基本的にはそのまま自分のエネルギーにして自分で技を放つ方が強力だし効率はいいのだが、相手の動揺を誘う事が出来る技でもある。

 今回は、少し威力を弱めてから吐き出した。

 そうしないと宮本死ぬしな。


 宮本は呆然としまま自分が放った技を自分でくらった。

 威力を絶妙に調整したため死にはしないがしばらく動けないだろう。


「先生、俺の勝ちだな?」

「あ、ああ。茨木の勝ちだ」


 こうして力の差を見せつけて圧勝した。

 俺が誘っておいてなんだけどよく勝てる気でいたな。

 あの時の記憶があるなら俺がこいつらを一瞬で戦闘不能ししたってわかっていただろうに。

 操られていたから本気ではなかったとか思っていたのか?

 それとも、スキルを使ったら勝てるとでも思っていたのか?

 そもそも、最後に放った攻撃も俺を逸れて当たらなかっただろうし。

 仮に当たったとしてもあの程度じゃあ傷一つつかない。

 弱すぎるなあ。


「爺や、こいつを部屋に寝かせてやれ」

「かしこまりました」


 どこからともなく現れた爺やは宮本を担いで出て行った。

 これでうるさい奴は消えたな。


「さて、他に何か聞きたい事はあるか?」


 俺は何事もなかったかのように再び元の位置に戻り、質問を受け付ける。

 彼らは先ほどの戦いとも言えない戦いを見て呆然としている。

 まあ、再び俺のチカラを見せつけたので変な事はしないだろう。

 ならばよしだ。


 その後もパラパラとあがる質問に答えていった。

 最終的に彼らのほとんどが学園に入学する事を決めたようだ。

 極一部。

 いわゆるオタク系のような奴は学園に入学せず、自由になる事を選んだ。

 俺のような例外はいるが、自分は大きなチカラを持っている、チートを持っている。

 学園? どうして異世界に来てまで学校に行かなくてはならないんだ?

 冒険者になって、モテモテになって、ハーレムを作って好きに生きてやるぜ!!

 的な感じに考えているのかな?

 まあ、欲望に濁った顔をしているからそんな感じなのだろう。


 チカラを持っているって言っても技量もないこいつら程度なら実力はせいぜいA〜Bランク。

 強いけどそれ以上に強い奴なんか五万といるからな。

 強めの魔物とかに遭遇して油断して死んだりする可能性が高そうだ。

 まあ、俺の関与する事ではないな。

 死のうが生きようがこいつら選択だ。


 ーー後日、非常に高慢な態度の新人冒険者がメルデル大森林で死んでいたという話を聞いたが、俺には関係のない事である。



側から見ればスズは一歩も動いていないという。

覇気とか、光を曲げて幻覚見せたりとかいろいろ考えたけどこうなっちゃった。

"因果喰い"とか"リアルイーター"とか新技も出したかったんだけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ