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第一章 砂塵の都 第三話 パナタスに集う者達 後編

リティアは自分に浴びせられた重圧に完全に動きを止められていた。

まるで、四方から壁が伸し掛かってくる様な物理的圧迫感を伴ったそれは、先刻、シュウから感じられたじわじわと身を侵すような異様な気配とは全く違う。

純粋な戦意とでも言うべきか… 命を対価にした修羅場を幾つも潜り抜けた者が放つ闘気が己との絶望的なまでの実力差を嫌でも教えてくる。

シュウとは全く別の意味で危険な相手だ。


「まず、その物騒なモン納めようか。話はそれからだ」


いつこちらに近付いたのかリティアのすぐ斜め後ろから男の軽い調子の声音が聞こえてくる。

体を押さえ付けていた重圧が消え、彼女はゆっくりと両手に持った武器を元の位置に戻すと、顔を俯かせ肩を小刻みに震わせ始めた。


(もう、終わり…? 冒険らしい事、何もしてないのに…)


冒険者になってから7ケ月… やった事と言えば故郷の山村にあった小さなギルドで受けた害獣駆除やモンスター討伐、薬草採集だけ。

有名な冒険者達が記した本に書かれていた古代に栄えていたとされる文明の遺跡。

世界中に溢れる到底、人の理解の及ばない不思議な現象。

神の御技としか思えない魂を震わせる程の美しい風景。

自分は何一つ目にしていない…

冒険者のライセンスがなければ普通の家の出の人間など自国から出るのさえままならなくなる…

リティアはこれから言い渡される言葉に泣いてしまいそうだった…




一方.天井に取り付けられている光る鉱石が入れられたランプを呆っと眺めていたシュウは遥か彼方にある故郷へと想いを馳せていた。どうやら現実逃避がここに極まったようである。


(楢山の阿呆はちゃんと県大会勝ち抜いて全国に行けたんだろうか…)


アチラ側にいた、いつも何が面白いのか馬鹿みたいに騒ぎたてる運動以外まるで駄目な友人を思い出す。


(そういえば、アイツの悪ノリせいで…)


それに付随するように受けた被害の数々が記憶に蘇って来たのか、苦い顔になるとその思考を打ち切った。

現実回帰を果たした彼は再びリティアを見る。そこには意識をどっかに飛ばしている間に人が二人増え、ギルド職員の女性が肩を怒らせながら俯いた少女を詰問していた。

シュウはもう片方の帽子を被った見覚えのある赤髪の男性を見遣ると、彼は視線に気付いたのか、こちらへと歩み寄って来る。


「おい、シュウ… あの嬢ちゃん何したんだ? やっと来たかと思えば、着いた早々問題起こしやがって…」


赤髪を短くを刈り込み、頭にカウボーイ・ハットとよく似た帽子を被った、シャツにズボンというかなりラフな恰好。そして、腰元に緑色の発動体が嵌められた銀の手甲を二つぶら下げた三十代後半の男性…

――オラン・クルーズは腕を組むと難しい顔でシュウに問い質した。


「…俺は何もしてませんよ。というか何で俺がなんかしたって前提なんですか… 」


「つってもなぁ…」


そう言うとオランは、床に視線を落したままの褐色の少女をチラッと見た。シュウもつられるようにそちらに目を向ける。


「ギルドの中での戦闘行為は御法度だ。それに無抵抗の相手に魔法まで使ったとなっちゃあ…可哀相だが、たぶん…」


資格剥奪は確実だろう。

シュウもそれなりに事情を聞かれるが、自分は武器も構えず突っ立ってただけだ。いきなり絡まれたとでも言えばどうとでもなる。

しかし、彼女がそんな行動を起こしたのは自分のアレのせいかと思うと…(厳密に言えば、ネーリアが馬鹿な事をしようとしたせいだが)

職員に詰め寄られ、うなだれる少女に罪悪感が募ってくる。

オランの方も相手が年端もいかない明らかに新米の娘である為か、後味の悪そうな表情でその様子を眺めていた。…少女と職員との応答が聞こえて来る。


「―― 何故あのような事をしたんですか? 私が見ていた限り、あちらの方が貴女に何かしたようには見えなかったのですが」


「……それ…は」


厳しい表情で問い質してくる職員にリティアは答えに窮していた。

まさか、あそこのシュウと名乗った黒ずくめが人間に思えなかったからなどと言うワケにもいかず、結果的に「あの… その…」と要領を得ない言葉しか出てこない。

そんな彼女に職員は話を打ち切る事にしたらしく、規則に乗っ取った判断で告げる。


「…とにかく、理由がどうであれ、ギルドの規則上、貴女の行為は厳罰に値します。ギルド証を渡して下さい」


事務的に言い渡されたそれにリティアはビクッと一度、大きく身を震わせると強く拳を握り締める。

そして諦めるように力無く手を開くとゆるゆるとジャケットの内側に伸ばし、そこから固そうな素材で出来た厚みのあるカードの様な物を取り出す。


「後の事は支部長が判断なされますが、資格剥奪も覚悟「待って下さい」…?」


リティアの手からギルド証が職員に渡る寸前、シュウから静止の声が掛かる。


「なんでしょうか?」


怪訝な表情で、問い掛けてくる職員に彼は未だ顔をふせたままの少女を一瞥すると、


「いや、彼女はうちのパーティーのメンバーで、さっきのあれは、その行き過ぎたツッコミというか、何というか…別に俺に危害を与えようとしたんじゃないんです。だから、そこまで事を大袈裟にしなくてもいいんじゃないかと俺自身思うのですが…どうでしょう?」


一気に早口で、捲し立てた。


「はっ?」


「えっ?」


いきなり、そんな事を言い出したシュウに職員は何言ってんだコイツ的な視線と共に間の抜けた声を出す。リティアも顔を上げるとそれに倣った。しかし、彼はお構いなしとばかりに更に言葉を紡ぐ。


「ですから、さっきのは我々の中のコミュニケーションみたいなものでして、俺のボケ至らなさに彼女が…」


「シュウ、流石に無理だろ」


急に歩きだし、二人の方へと向かったと思えば、意味不明な事を言う彼にオランは呆れた声を放った。シュウはじゃあどうすんですか!っとでも言いたげな様子でこちらを睨んでくる。


(嬢ちゃんを何とかしてやりたいって気概は買うんだけどなぁ…)


オランは疲れた様に溜め息を吐き、シュウの肩にポンと肩手を置くと、彼女達に聞こえない程の小さな声で「貸し一だ」と言うと職員へと顔を向けた。


「襲われそうになった本人もこう言ってるし、もうこの辺でいいんじゃねぇか?」


暗に見逃してやれというニュアンスを含んだ物言いに、女性職員はさっきの毅然とした態度とは変わって困惑した顔でオランを見る。


「で、ですが規則上…」


「何も壊れてねぇし 誰か怪我したわけでもねぇ こいつも何かの間違いだったって言ってんだろ? それに嬢ちゃん新米みてえだし、こんな些細な事で若者の未来を一つ潰しちまうのはちょっとやり過ぎじゃねえか?」


そう言われると、思うところがあるのかシュウが出て来た辺りからオロオロしているリティアに視線を向け、深く考え込む様に押し黙る。そして、


「……そう、ですね。分かりました。今回は貴方の顔に免じて不問にしましょう。しかし、また彼女が問題を起こしたらオランさんにも責任をとって貰いますよ?」


と若干、優しそうな声音でオランに返事を返した。


「へいへい… ちゃんと取りますよっと」


「ハァ…」


適当に言葉を返す彼に目元を押さえ、何だかなぁという感じで息を吐くと女性は表情を改めリティアの方を向く。


「今回の件は見逃してあげますが次はないですよ。分かりましたか?」


「は、はい、分かりましたっ!!」


リティアは部屋中に響くくらいの大声で返事をし、まるで軍隊式の敬礼をするように姿勢を正す。

その顔には先程あった危うい影は無く、嬉しさ抑えきれない笑顔があった…




(オランさんのおかげで何とかなったな)


三人のやり取りを心配そうに見ていたシュウは彼女を助けてくれたオランに感謝しつつ、事ここに至った原因…

ネーリアに文句を言うべく、さっき意図的に接続を断った彼女の意識に自分の意識を繋げようとしていた。

今回ばかりは一つガツンと言ってやらなければならない。危うく一人の冒険者の人生を目茶苦茶にするところだったのだ…

そう思いながら回線を開こうとするのだが、彼はなかなか上手くネーリアの意識を捉える事が出来ずにいた。

どうやら彼女の方に問題があるらしく、何やら乱れた意識の波が二人の間を妨げているのだ。

シュウは何、拒否ってやがると額に青筋を浮かべるとそこを割り進むようにして、強引にネーリアにチャンネルを合わせる。そして怒鳴りつける為に意思を高め、ぶつけようと――


(ふあぁ!、うぅん…、やっやぁぁ、な、何をする! 止め、るの、じゃぁぁ…ひゃああぁ! っ!? 、あ、あぁぁぁぁ!き、貴様、く、くさ、りの癖に何処にはいりこむ気じゃあああぁぁっ!!!)


――した瞬間、妙にうわずった変な悲鳴をあげるネーリアの声が聞こえ、思考を停止させられた。


(っ! ネーリア、どうし……はっ?)


すわ何事かと急いで大剣から彼女の姿を頭の中に汲み出したシュウは茫然自失といった風にそんな素頓狂な声を己の内に響かせる。


(ねーりあさん、いったい、なにを、してるんだ?)


(っ!? シュウ!見るなあぁぁぁっ!!)


そこには太い鎖4っつにそれぞれ手足を絡め捕られ身悶える、リティアより幼い黒い少女の姿が浮かびあがっていた。

絹を思わせる光沢を持つ、自分の足元まで届く黒髪を振り乱しながらイヤイヤと首を振ると、普段は強い意志を宿す黒曜石の様な輝きを放つ瞳が、今は涙を潤ませながらこちらを見詰めシュウに懇願する。

よく見ると細かな小さな鎖がネーリアの体に貼り付きながら、いつも申し訳程度に身に着けている胸と腰元に巻かれた布の中に入り込み、怪しく蠢いていた。

……背徳感溢れる実に×××構図に言葉を失うシュウ。


(…………)


(ああぁぁっ!! 黙ってないでさっさとこれを消さんかぁぁぁっ!)


時折、何かを堪えるかの様にビクっと桜色に上気した体を震わせるネーリアは鬼気迫る表情で叫ぶ。


(あ、ああ.分かった。)


そんな鬼神もかくやと言わんばかりの剣幕に流石のシュウもビビったのか、慌てて拘束している鎖のイメージを消すように念じた。

そうすると全ての鎖が砕け散り、ジャラジャラと音を起てながら落ちる。

彼女の足下に散らばった鎖は次第に輪郭が薄れてゆき10秒も経たずに完全に消失した。

少しの間、荒く息を吐いていたネーリアはその場にへたりこむと、見る者を怖気させる危険な笑みを浮かべ始める。

――しかし、シュウはそんな彼女に気付かず…


(……何故だ、確かに強く締め上げろとは念じたが、あんな変態的な動きをしろとは言ってないっ!! …ハッ! まさかあれが俺の隠れた性癖とでも言う気かっ!! ふざけるなよ俺っ!!!)


ネーリアの衝撃的な痴態を目にしたせいか、当初の目的を忘れ、自分自身にキレていた。

どうやらイイ感じに壊れ、混乱の極みにいるらしい…

自分はそんな変態じゃない!っと言い聞かせる彼の耳にネーリアの不気味な笑い声が響いてくる…


(フッ、フフ、ウフフ負負、腐腐、腐…アハハハ…)


まるで地獄の悪魔がマントラを唱えているかの様な調子外れの暗い笑い声にシュウは顔を青褪めさせた。


(ま、待てネーリア!あれはわざとじゃ…)


(シュュュウゥゥ… よくも よくもっ! よくも我を嬲り者にしてくれたなぁぁっ!!)


イメージの中のネーリアは長い髪をザワザワと波立たせ、彼女の世界と言うべき、四角に区切られた中央に祭壇の様な物が置かれた、かなり広い部屋の様な空間を埋め尽くさんとばかりに体中から真っ黒い陽炎を立ち昇らせる。


(我が存在して二千年余り… この様な辱めを受けたのは初めてじゃ… 覚悟は出来ておろうなっ!!)


怒りに身を震わせたネーリアが両手を前に突き出すと空間中に充満した黒い霧が手の前に集い、漆黒の迅雷を放ちながらみるまに拳大の大きさに圧縮されてゆく。

シュウは冷や汗をダラダラと流しながら、その様子を見た。

……下手するとこの部屋が吹き飛ぶ……

現実世界では、そんな状況を知らないオランとリティアが和やかに談笑している。

だが彼にはネーリアの鞘がギリギリと軋んだ嫌な音を発しているのがはっきりと聞こえていた。


(“冥府をたゆたう黒き霧海の欠片よ 暗き閃光となりて…)


いよいよ力を解放せんと詠唱を始める彼女にシュウは切羽詰まった声で語りかけた。


(ネーリア!)


(“……あるべきものを あるべき場所へと ……)


そんな彼を無視して術を最終段階へと移行させるネーリア。手の前に浮かんだ紫電を放つ球体が形を変え漆黒の魔法陣を描き出す。

――魔力では無く、闇の精霊を使った陣式魔法、彼女の身に込められた力を使ったそれはネーリアのみが行使出来る固有能力だ。

本家本元の精霊魔法や似たような系統の陣式魔法よりやや威力は落ちるが、使役する精霊の力や精神にかかる負担が四分の一を切る、破格な代物である。

過去、ネーリアに何故そんな物を使えるのかと聞いたシュウは、


「知らん。使えるから使ってるだけじゃ」


とすげなく答えを返された記憶がある。どうにもネーリアは知識はあるが自分が何者であるかなどの部分がごっそりと抜け落ちているらしい。

二千年存在してるというのは自我が現われたのが、その時期と言うだけで、もしかしたらその遥か以前から在ったのかも知れないというのは本人の弁である。

シュウはヤバ過ぎる状況に半ば自棄っぱちになりながら叫んだ。


(ああ くそっ! ネーリア、俺が悪かった!何でも言う事聞いてやるから、落ち着いてくれ! 頼む!!)


(“送り届け…” むっ…)


ネーリアは“何でも言う事を聞く”という部分に反応したのか詠唱を中断させた。


(それは、真じゃろうな?)


いつも、そういった約束事をのらりくらりと理屈を重ね反故にしてしまうシュウをジト目で睨む。彼はここだ!っと言わんばかりに一気に畳み掛けた。


(今回はちゃんと約束は守る! だからそいつをぶっ放すのは止めてくれ!)


かなり焦っているシュウをジーーっと眺めていたネーリアはフンっとそっぽを向くと魔法陣を霧散させ、不機嫌な様子を隠しもせずに話し掛ける。


(…今宵、こちらにお主を呼ぶから、その時になにをさせるか言う事にするのじゃ… 逃げるでないぞ)


(あ、ああ)


話を終わりと今度はネーリアの方から接続を断ち切られた。シュウはどんな無理難題を吹っ掛けられるかと憂鬱になりながら、頭を抑え顔をふせると−−




視界中に自分を見上げる緑髪で軽く陽に灼けた感じの薄褐色の肌持つ少女−−リティアがいた。


「おわっ!」


自分の顔のかなり近い位置にあった為か、シュウは慌てて後ずさる。


「こうして見ると普通の人にしか見えないのに…あんた、シュウだっけ?本当に人間?モンスターとかじゃなくて?」


リティアは納得がいかないと首を傾げながら、そんな事を言う。すると彼女の後ろからやって来たオランが無精髭が生えた顎を擦りながら、声を掛けた。


「リティアの嬢ちゃんもそう思うよなぁ」


いつの間に自己紹介を済ませたのか、二人は親しげな様子でやり取りを交わしている。

いきなり人間否定をされ、加えて先程のネーリアとの問答で精神を磨り減らしていた彼は幾分か固い声を出して、話しかけた。


「何の話をしてるんですか…」


「シュウよぉ お前さんのアレは初心者にはキツ過ぎるんだよ。さっき嬢ちゃんに詳しい事情を聞いたんだが…」


おそらく、戦闘モードの時の自分の状態を言っているのだろう。

シュウとしてはただ気持ちを切り替えているだけなのだが…


「あの状態のお前さんは俺でさえ、最初はビビったからな… 嬢ちゃんがあんな事しちまうのもわかるさ…」


うんうん頷きながら、そう述べるオランにシュウは投げやりな視線を送ると、もう何とでも言えとばかりに肩を落す。

――っと大事な事を今更気付いたのか、彼は急にリティアの方を向く。


「リティア…でいいんだよな? あんな事になったがパーティーの件どうする… 組むか?」


「え… そりゃ わたし組まないとあのクエストに参加出来ないし… ていうか、あんたさっき“自分のパーティーのメンバーです”って言ってたじゃない。あれ、嘘なワケ?」


「あっ」


殆ど言葉を垂れ流していただけの状態だった為か、そういえばそんな事を言ったなと思い出し、シュウはオランの方へ向き直ると視線で良いですか?っと問い掛けた。


「俺は別に良いぜ。シュウのアレを見て突掛かっていけるんだからな。なかなか見所のある嬢ちゃんみてぇだし」


「じゃあっ!!」


オランの言葉にリティア嬉しそうに微笑むと、二人の顔を交互に見回す。


「だったら、早く受付を済ませるとしようか。オランさんは…?」


「うなもん、とっくに済ませたよ。俺は先に宿に引き上げるから、お前らもさっさと来いよ。確か【黄昏砂猫亭】ってとこだ。んじゃな」


そう言って後ろに振り返ると手をヒラヒラと揺らしながら、出口へと歩き出すオラン。


「それじゃ行くか」


「…ねぇ、あんた達って、何なの?」


出て行くオランを見送った後、カウンターに向かおうとするシュウにリティアはそう質問した。どう考えても普通の冒険者とは一線を画す、段違いの実力を二人は持っていると感じたからだ。


「その辺は宿で詳しく自己紹介するさ。ただオランさんの言葉を借りるなら、ぴったしのが一つある」


「それって、何?」


興味深そうに、自分より大分高い位置にあるシュウの顔を見上げるリティア。その視線が交わると彼はおかしそうに笑いながら告げる。


「なぁ、冒険者ってなんだと思う?」


「ギルドに所属して集められた依頼を…」


「オランさんに言わせるとだな、“未知の冒険に挑む者だからこそ、俺は誇りを持って冒険者を名乗ってる。そんなギルドのお使い連中と一緒にすんな!”だそうだ」


「未知の…冒険に挑む…」


「まぁ俺は少し違うが考え方は大体似たような感じでな。気が合うんだオランさんとは」


「じゃあ、あんた達は…」


目を見開いてまじまじとこちらを見る彼女に笑みを深くし、右手を胸に置くとシュウは厳かに宣言する


「そう俺達は“冒険者”だ」


その言葉はリティアの胸にある想いに何処までも響いていた…


三話 完

オランの基準だと、


一攫千金や名声を求めて冒険者になる者→ギルドのお使い

冒険というロマン?や未知の世界に挑む為に冒険者になった者→“冒険者”


となっています。シュウとオランはもちろん後者。



少し、余裕ある連載をする為に話数を書き貯めようと思います。

更新速度が月2〜3回程度に落ち込むかも知れません。

全部、書き上がり次第ハイペースで掲載していくと思うので、良かったらこれからも読んでやって下さい。

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