五話 食事会
「はぁ…はぁ…」
今、俺は全力で自転車をこいでいる。
「集合時間まで後5分!うぉおおおお!!!!!!!!!」
全力でこいでいるせいで相当なスピードがでてる。こうでもしないと集合時間に間に合わない。残り時間、後1分!
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「はぁ…はぁ…」
「大丈夫か?蒼」
「あ…あぁ…大丈夫だ…。何とか集合時間に、はぁ…間に合った、はぁ…だろ?」
「ギリギリだね。5秒前だよ」
「あぁ、今流行ってんのさ。5分前行動ならぬ、5秒前行動ってさ」
「5秒前行動って…全ての事がギリギリじゃん!」
優が怒った顔で言った。その顔ですら美少女のようで可愛い…っと今のなし。
「それじゃあ、蒼。行くよ」
俺達は自転車に乗って近くの駅に向かった。
「でどこに食いに行くの?」
「よく分からないけど、たしかどこかの個室を一部屋借りたらしいよ。」
「へぇー、けっこう大掛かりだなぁ」
駅に着くと近くの自転車置き場に自転車を停めてから、集合場所の大きい時計台に向かった。
「優〜、今日って誰が来るの?」
「蒼って何も知らずに来たって感じだね。」
「お前が何も教えてくれなかったからだろ。」
「そうだっけ?」
「そうだよ!」
そんな事を話してると時計台が見えた。
「優、あそこか?」
「うん。たぶんあそこだよ」
まだ俺達以外誰も来ていない。
「まだ誰もいないな。」
「ちょっと早く来すぎちゃったかなぁ」
「集合時間って何時?」
「7:30だよ」
俺は時計台の時刻を見る。7:00を指している。
「なっ!?お前っ30分前じゃねぇか!」
「男たるもの女を待たしてはいかぬ。という言葉を知らないの?」
優は笑いながらそう言った。
あまりの可愛さに俺はすぐさま "お前男じゃねぇだろ!" と言いそうになったがなんとか抑えた。危ねえ…みてくれに騙されるとこだったぜ…
ドンっ!
俺が一瞬後ろに下がった瞬間誰かとぶつかった。ぶつかった女の子が倒れたので俺は慌てて声をかけた。
「すいません!大丈夫ですか?」
そう言いながら倒れた女の子に手を差し出した。
「ありがとうございます。大丈夫です」
女の子は俺の手をとり、立ち上がる瞬間に俺と目が合った。
すごい美人だった。他の色の侵入を拒むような真っ黒な長い髪。吸い込まれそうな大きな真っ黒な瞳。柔らかそうな形の整った唇。
俺は一瞬見惚れてしまった。