文章作法/質問と回答2:感嘆符疑問符「!?」などについて
先日Twitter上でご質問頂きまして回答した事例となります。
【質問内容】
「!」と「?」を同時に組み合わせて使う場合、「!?」と「?!」のどちらが正しいのか。
回答としては、どちらも正しいです。どちらも使用可能です。
ただし、全角二字ではありません。
「!?」は感嘆符疑問符、「?!」は疑問符感嘆符などと呼ばれる記号(約物)の一種です。
これらは本来それ一つで一字であり、一つの全角文字です。
しかし、特殊記号(特殊文字)であるため、コンピューター上では機種依存文字や特定アプリケーション内フォントとなってしまい、ローカル内運用限定もしくは印刷出力すること前提であれば使用も可能ですが、Webサイト上における使用には適しません。(ケータイで言うところの絵文字としての「!?」斜体字のようなものです。)
そのため、代替用法として、半角の「!」と「?」を連続させて組み合わせることで、「!?」や「?!」を構成する代用が普及しています。
また、特に縦書きの場合、「縦中横」書式(※欄外参照)を割り当てることで表示上は一字扱いの「!?」「?!」を成り立たせています。これは元々は印刷前提の考えである面が強いのですが(同一アプリケーション内でファイルを受け渡すならともかく、一旦Text出力などの普遍化を経てしまうと書式情報が失われてしまうため縦中横が無効になる、つまりローカルな域を越えない)、慣用的に縦書きも視野に含める文書では「!?」「?!」を半角ずつの組み合わせで記述することが作法となっています。
この縦中横系の組み合わせ運用は、一般的に半角三字分までが可用範囲であるようです。すなわち書き出すと、「!?」「?!」「!!」「!!!」などです。半角アラビア数字も三字分までは縦中横書式によって「一枠」扱いすることが可能です。(無理すれば四字分まで可能な場合もありますが推奨はされません。)
なお、「!?」と「?!」のどちらがより一般的に使われているかということであれば、当著者(あんころ)の知る限りでは「!?」の方が普及的です。迷ったらこちらを使われると無難でしょう。
表現上の意味としては、前方に位置する記号の方がわずか「意味が強め」と目されるようです。(ただし実質上の差異はほとんどない。)
最後に、例外的事項、横書き前提の場合における全角表記について。
横書き前提であって縦書きなどへの転用や読み手側環境次第の任意性(ユーザービリティ)を考慮しない場合、全角文字の連続としての「!?」「?!」および「!!」「!!!」も使用は可能です。
特にWebサイト上に限定した場合、半角記号は視覚的に細々として見えてしまうことが多く、より安定した視覚表示を求めて全角で記号が記述されてきた経緯などもあります。(ただし、そのサイト上の適用フォント次第で大きく変わる問題であるため、一概に判断はできず都度の確認を要します。)
また、大きく強く記号を突きつける(表示する)ことで視覚上のインパクトを意図することにも利用可能でしょう。
前提となる媒体や閲覧環境を限定してしまいますが、それら問題性を「承知の上で」かつ「意図して」その作品の表現に用いることは、推奨はされませんが否定もされない範囲かと存じます。
ただし、同一作中では表記乱れせず(半角と全角が入り乱れたりせず)、どちらかに一貫した運用であることを厳守してください。
以上です。いかがでしたでしょうか。
「なろう」上だけだとこんなくどいこと考えるだけ無駄に思えるかもしれませんが、少し他に視点を向けた場合(印刷したり、出版社の小説大賞に応募したりなど)、こうした知識を備えておくことはいざ判断を下すときに役立つのではないかと存じます。
もしそうしてお役立ちできるところがありましたら幸いに存じます。
※縦中横について:コンピューター上の文書ファイルにおいて、縦書きの書式文中では半角の英数字や記号類は横向き表示(角度が90度時計回りした状態)される。それを複数字まとめて「一枠」扱いとした上で、縦向きに表示を整え直す部分指定書式のこと。一種の特殊書式、特殊運用。
印刷出力した場合には結果として得られる書面に問題は少ないため、従来の小説投稿(出版社主催の大賞応募)においては縦中横使用の上で印刷を見据えることが当然であった。
なお、読みは「たてちゅうよこ」。
今はまだその流れを引きずっている最中、あるいは過渡期と呼べる時期なのでしょう。明確な運用作法上の、Web媒体向けに新しく最適化されたルールというものは定型化されていません。