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台本形式? いいや、ちょっと手を加えれば一般小説文さ!

 

 なろう上では特に見かけやすいかと存じます、セリフ書き出しのカギカッコ前に作中キャラクター名を記しておくことで地の文の描写を省く、いわゆる「台本形式」についてです。

 これは「小説文の体ではない」として嫌われやすいですね。この指摘はたしかにその通りです。

 当著者(あんころ)個人としては素人の趣味書きなのだし別にあってもいいじゃないかとも思うのですが(ただしそれで好評価されないこと、感想が低評価に陥りやすいことは承知の上で選ぶことだとも思いますが)、この書き方、もうちょっとだけ手を加えれば“見られる形”に整いもする――と述べましたら、はたしてご理解いただけますでしょうか。


 そもそもセリフ書きのカギカッコというもの、これ自体が簡便のための手法で、小説文の作法としては近代の後期から普及していった派生的亜流ともいえるものです。

 特に、セリフ書きカギカッコは行を改めて頭から、という教えは、必ずしもその通りであることが普遍的なものではありません。いわゆるラノベ調の文庫本ではこのやり方が当然のように使われていることが多く、出版流通量も多いため人目に触れる頻度が高く、事実上の標準のように化しつつあるかもしれませんが、だからといって小説文としてそれがすべてだなんてこともありません。


 さて、では具体的にはどうすればよいのかという点、以下に例示してみます。


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 A氏は言った。「たとえば一般小説においては、こういった書き方もあるだろう?」

 B君がうなずく。「ですね。別にやり方なんていくらでもあるし、意味が通ればいいんだ」

 Cさんが二人に向き直って、「そうはいうけれど――」肩をすくめつつ続ける「意外とこういう基本って、忘れられがちなものよ」

 そこにD氏も応じて笑いかける。「なに、知識は逃げない。何度だって確かめられる」

「おっと、ボクだって賛成ですからね?」あわてて割り込むようにE君が手を挙げた。

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 いかがでしょうか。

 いわゆる教科書的な「原稿用紙の書き方」として、物書き志望の方であればたぶん一度は目にしたことがあるような例文ではないかと存じます。

 これなら、台本形式ではないのですね。小説文としては“可”とされる範囲になってくるのです。それでも最終的には好みが別れはするでしょうけれども……。


 セリフ文は行頭から始まって一行を占有しなければならないわけではないし、一行に一つだけと決まっているわけでもないのです。

 また、セリフ文よりも前に発言者の表記があることによって、読解側の負担を軽減できます。先頭からイメージを固めつつ読み進められるからです。逆に、行の後方まで読まないと発言者が見極められない場合、脳裏にイメージが固まらないままのセリフ文を“処理待ち”で保持しておかなければならないため読み手にとってストレス(負荷)になります。(その例示も含めてご理解いただきたかったので最後のE君に関してはあの形で後方に配してみました。)

 多人数が同時に登場して発言を繰り返すようなシーンの場合(おおむね四名以上が同時に喋る場合)、無理にラノベ的な記述形式を保とうとするよりはいっそ思いきって上述の例示に含まれるような形式へ切り替えてしまった方が、書き手と読み手の双方にとって無難であるかもしれません。


 もちろん、最もスマートな解決法は、はじめから計画的に登場キャラ数やシーン、セリフの特徴分けを配しておいて、記述形式(文体)に無理を強いるまでもなく読み分けが容易なようにコントロールを貫くこと、ではあります。

 そうはいっても素人が趣味で書くことですからプロ作家のようにまで完璧さを求めても仕方がありません。つい勢いでキャラを増やしてしまった、愛着が湧いたのでレギュラーメンバー化してしまいたい。それで作品に勢いが乗って作者さまも楽しんで書き進められるのであれば、何が悪いというほどのことでもないのですから。

 ただ、読む方が辛くなりすぎてしまうと問題としてこじれかねないので、妥協案もしくは落とし所として、当稿のような工夫を一手、ちょいと加えてみられたらいかがでしょうか。



 以上、乱文乱筆にて失礼致しました。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 ちょうど見かけた日刊ランキングのご作品などが台本形式らしき書き方をなさっておられ、一部酷評も見受けられましたため、急ぎ仕上げの雑まとめながら投稿させていただきました。

 もしこの機会にご一考賜れましたら、お手間を頂戴し恐縮ながら大変嬉しく存じます。

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